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最強ミドルサイズSUVの座は? ポルシェ マカンターボとBMW X3 Mコンペティションを試す 【Playback GENROQ 2020】

掲載 更新 5
最強ミドルサイズSUVの座は? ポルシェ マカンターボとBMW X3 Mコンペティションを試す 【Playback GENROQ 2020】

Porsche Macan Turbo × BMW X3 M Competition

ポルシェ マカンターボ × BMW X3 Mコンペティション

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SUVを超越した2台

440ps/550Nmと十分すぎるほどの性能を誇るポルシェ マカンターボ。一方、迎え撃つはM社の自信作であるBMW X3 Mコンペティション。510ps/600Nmのエンジンパワーはマカンターボを凌駕する。最強ミドルサイズSUV対決は果たしてどちらに軍配があがるのか?

「マカンという超優等生に対し、ライバルたちは強烈な個性で挑む」

近年、ハイブランド系の参入により横方向の広がりをみせるのがEセグメント超級のSUVだとすれば、ガチガチのパフォーマンスバトルに突入しているのがDセグメント級SUVだ。アルファロメオのステルヴィオ、メルセデスのGLC、BMWのX3と500ps超えのモデルも登場、ニュルブルクリンクを舞台に7分50秒台の攻防でSUV最速の座を競うなど、スポーツカーの立つ瀬がないほどにきな臭い。

この状況を招く導火線となったのが、2014年に発売されたポルシェ マカンであることに異論はないだろう。カイエンの大成功を受けて企画されたそれは、アウディ Q5とアーキテクチャーを共有しながら、ポルシェが独自のエンジニアリングを加えて、このクラスでも屈指のパフォーマンスを得るに至る。

「M GmbHの手掛ける純然たるスポーツモデルとして『X3 M』は登場」

特にポルシェのプロダクトのフラッグシップであることを代弁する「ターボ」は、3.6リッターV6ツインターボを400psの大台に乗せ、7速PDKとの組み合わせで最高速は266km/h、0-100km/h加速は4.6秒と当時は圧倒的パフォーマンスをみせつけるものとなった。ユーザビリティの高さから実益的な選択に偏りがちなDセグメント級SUVにも、速さという付加価値がもたらされたことで、スポーティネスを標榜する周囲のライバルたちも黙ってはいられなくなったというのが本音ではないだろうか。

とりわけ、このセグメントを古くから手掛けてきたBMWにとって、マカンターボを打ち破るX3という目論見はずっと温め続けてきたことかもしれない。先代F25系では306psのN55型直6直噴ターボを搭載するに留まったが、現行G01系では、遂にM GmbHの手掛ける純然たるスポーツモデルとして「X3 M」が登場するに至った。

「285km/hに到達する最高速度は、空気抵抗値を思えば尋常ではない速さだ」

X3 Mが搭載するエンジンは、独自開発そして初採用となるS58。既にZ4等が搭載するB58をベースとした3.0リッター直6ユニットとなる。が、骨格的な繋がりはあれど中身はツインターボ化を筆頭にほぼ完全に別物といっても過言ではないほどに手が加えられており、専用部品の使用率は90%を超えるという。そのパワーは標準仕様で480ps、コンペティションでは510psに達する。そして最大トルクは共に600Nmとこちらも圧倒的な数値をマークする。

これに組み合わせられるトランスミッションはZF製8速ATをベースにスポーツモデル向けにダイレクト感を高めたMステップトロニックを採用。ドライブトレインはフィードフォワード制御機能を持つX3のxドライブをベースにMが駆動配分などのチューニングを加えて、0対100~50対50の範囲内で駆動配分をリニアに変化させている。これらをもって得られる速さはMコンペティションで0-100km/h加速4.1秒。最高速度は250km/hで規制されるが、Mドライバーズパッケージを装着すると285km/hに到達する。空気抵抗値を思えば尋常ではない速さだ。

「マカンターボはマイチェンでブーストピックアップを大幅に向上」

と、そのX3 Mと時期を相前後して、仮想敵たるマカンターボはマイナーチェンジを迎えた。搭載されるエンジンは90度のVバンク間に2つのタービンを並列するホットVマウントの2.9リッターV6ツインターボとなり、ブーストピックアップの大幅な向上を達成、そのパワーは440ps、最大トルクは550Nmをマークする。0-100km/h加速はスポーツクロノパッケージ装着時で4.3秒、最高速度は270km/hとX3 Mに対してわずかに劣る。

だが、走りの印象は相当に異なっていた。X3 Mの走りはその力量を躊躇なく剥き出しにしている。エンジンは強烈で、7000rpm向こうまで一気に吹け上がる高回転域の炸裂感、乗じて伸びていくパワーはSUVの域を超えている。一方でこのハイチューンにして、低回転域のトルクにも不足感はない。トルクコンバーターの手助けもあるとはいえ、高いギヤからでも粘り強く推進力を得ることができる。正直、エンジンは一頭地を抜く出来栄えとしても過言ではないだろう。このユニットが用いられるだろう次期M3が、今から楽しみになる。

「パワーではX3 Mに及ばないがシャシーの奥深さはマカンターボに軍配」

X3 Mはこの怒涛のパワーを支えるべく足まわりの鍛えられ方も容赦ない。低速域でははっきりと硬く、タウンライドでは凹凸の突き上げも強めに感じられる。それでも角が丸められている辺りはダンパーがよく機能しているのだろうが、バネやスタビなどの金物が好戦的なレートに締め上げられている印象だ。それでも加速時は溢れるパワーに足元がムズムズしてしまうほどで、クルマがパワーと大マジで対峙していることが伝わってくる。今日びのM銘柄としてみても相当バンカラな味付けになっていることは間違いない。

対するマカンターボはパワフルさ、そしてエンジンフィールのスポーティネスという点ではX3 Mに及ばない。とはいえこちらには強烈なパワーを余裕綽々で受け止めるシャシーの懐深さがある。

試乗車はエアサス&PCCBと乗り心地に効く要素が揃っていたが、それを差し引いてもフットワークは柔軟さと精緻さが綺麗にバランスしている。パワーと制動力、ハンドリングとスタビリティそして乗り心地と、スペシャルSUVに求められるすべてが高次元で整えられている。言い換えれば優等生のマカンターボにX3 Mが際立ったキャラクターで対峙しているという、その構図はポルシェがSUVで造り上げてきた個性が市場ではもはや平準化されたことを示しているのかもしれない。

REPORT/渡辺敏史(Toshifumi WATANABE)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)

【SPECIFICATIONS】

ポルシェ マカンターボ

ボディサイズ:全長4684 全幅1926 全高1624mm
ホイールベース:2807mm
車両重量:2020kg
エンジンタイプ:V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2894cc
最高出力:324kW(440ps)/5700-6600rpm
最大トルク:550Nm(56.1kgm)/1800-5600rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前265/45R20 後295/40R20
燃料消費率:9.8L/100km(EU複合モード)
車両本体価格:1219万1667円

BMW X3 Mコンペティション

ボディサイズ:全長4730 全幅1895 全高1675mm
ホイールベース:2865mm
車両重量:2030kg
エンジンタイプ:直列6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2992cc
最高出力:375kW(510ps)/6250rpm
最大トルク:600Nm(61.2kgm)/2600-5950rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前マクファーソンストラット 後5リンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前255/40ZR21 後265/40ZR21
燃料消費率:9.1km/L(WLTCモード)
車両本体価格:1394万円

※GENROQ 2020年 4月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

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みんなのコメント

5件
  • 2tダンプに500馬力のスポーツエンジン乗せて走ってるようなもの
    サーキットでは煙たがられ一般道や高速道では持て余す
    一体どこを走ると救われるのか
  • SUVをどう定義するか?がテーマ。走りの優先度を高めれば、勝者はマカンとなる。マカンは圧倒的に走りがよい。
    しかし、本来SUVは早く走る事が目的では無いよね。SUVのゆとり、走破性、センス、所有する満足度、故障の無さなどを考えると最強SUVは、イヴォークとなる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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