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【くるま問答】2019年12月の道路交通法改正で自動運転レベル3搭載車の登場の舞台は整った

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【くるま問答】2019年12月の道路交通法改正で自動運転レベル3搭載車の登場の舞台は整った

2019年12月1日に道路交通法が改正され、ながら運転の厳罰化が話題になっているが、実は同日に道路車両運送法も改定された。主な改正点は5点だが、中でも大注目なのは「自動運転レベル3システムが保安基準対象装置に追加」されたことだ。改正道路交通法でも、自動運転車の運行について、詳細を策定している。

※タイトル写真は、自動運転レベル2にあたる日産プロパイロット2.0を搭載したスカイライン。

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2019年12月の改正道路交通法で、自動運転レベル3実用化へ法整備が整った
2019年12月1日から施行された改正道路交通法では、ながら運転が厳罰化され話題の中心になっている。しかし、もうひとつ重要な内容が改正道路交通法に定められている。それが自動運転レベル3の法制化である。

自動運転は「レベル1」から「レベル5」まで策定されており、現在実用化されているのは「レベル2」までだ。レベル1は先進安全装備が1点機能し、レベル2では2点以上の先進安全装備が統合的に車両を制御する。つまり、自動安全ブレーキのみの作動はレベル1。車線中央部を前走車と一定の車間距離を維持する走行は、レーンキープアシストとアダプティブクルーズコントロールが車両を統合制御しているためレベル2となる。

レベル3とは、運転手が緊急事態などシステム要求時に対応準備をしている前提で、システムが車両の運転を特定条件下(主に高速道路)で行うもの。日産のプロパイロット2.0は手放し運転(ハンズオフ)可能だが、合流路や料金出口、トンネル内走行や追越し時には運転者がステアリング操作を行う必要があり、レベル2.5と謳っている。これが緊急時以外、手放し運転できるようになれば、レベル3となる。

運転自動化のレベルの定義
レベル 0(運転自動化なし):ドライバーがハンドルやペダルなどすべての運転操作を行う
レベル 1(運転支援):ハンドル操作、もしくはアクセル/ブレーキ操作のいずれかをアシスト
レベル 2(部分的運転自動化):ハンドルと加減速の制御を車両システムがアシスト
レベル 3(条件付運転自動化):限定エリアですべての運転制御を車両システムが行う。ただし、緊急時を含む不測の事態でドライバーが対応
レベル 4(高度運転自動化):限定エリアで運転制御を車両システムが行う。ドライバーは不要
レベル 5(完全運転自動化):すべてのエリアで運転制御を車両システムが行う。ドライバーは不要
※レベル1/レベル2は運転支援に分類され、レベル3以降は自動運転にあたる。
※自動車技術会(JSAE)発行の「自動車用運転自動化システムのレベル分類及び定義」参照。

これまで自動運転レベル3が市販されなかった理由は、主に2点考えられる。1点めはレベル3自動運転システムが作動時に事故を起こした場合、運転者もしくは自動運転システムのどちらが事故の責任者となるのか明文化されていなかったこと。2点めは、そもそも自動運転レベル3システムが、自動車の保安基準対象装置に含まれていなかったことだ。

これらの問題は、2019年12月改定の道路交通法と道路運送車両法で対応した。

まず1点め、自動運転レベル3システムが運転している際の事故責任者は、自動車の運転者になる(道路交通法第119条2)ことが明文化された。これにより、任意自動車保険会社から今後、自動運転レベル3向けの保険商品が発売されるだろう。

2点めとなる改正道路運送車両法では、自動運転レベル3システムを保安基準対象装置とし、システムの最低構成要件も策定した。システム内容は車両の運行状況を監視するセンサー、周囲の状況を探知するセンサー、センサーの情報を処理するコンピューターとプログラム、自動運転システムの作動状況の記録装置である(道路車両運送法第41条2)。さらに、警察官が整備不備車両に該当すると認めた車両の運転手は、警察官の求めにより自動運転システム作動状況の記録内容を提示する義務が付け加えられた(道路交通法第63条1)。

自動運転記録装置はもちろん車載されるが、記録メディアについては決められておらず「警官に提示できるように」とだけ決められた。今の時代なら振動に強いSDカードやフラッシュメモリー、SSDなどを自動車に搭載する方法が一般的だが、こうした記録メディアは事故時に破損する恐れもある。そこで携帯通信を用いてコネクトシステムのサーバーに、自動運転装置記録のバックアップを取ることも考えられる。

自動運転レベル3のシステムを搭載した市販車、第1号はどのモデルになるのか
ここまで法整備がなされると、気になるのは自動運転レベル3システムを日本で初めて搭載する第1号車が何かということである。筆者はアウディ A8になると踏んでいる。その理由は、2018年の現行モデル発表時に、すでに自動運転レベル3システムの「アウディAIトラフィックジャムパイロット」を完成させているからだ。

ただし、今回発表された自動運転レベル3システムの内容は、アウディAIトラフィックジャム発表後の2019年3月に合意がなされた「国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)」を受けてのもの。自動運転システム作動状況の記録が大きな追加点だが、技術的難易度としては低い。アウディ社なら、すぐに対応できる変更だろう。あとはアウディAIトラフィックジャムパイロット搭載車が、型式認定を受けるだけだ。自動運転レベル3システムで自動運転する車両を、日本の高速道路で見られる日も近いはずだ。(文:猪俣義久)

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