技術が進歩するスピードはすさまじく、クルマにもドライバーをアシストするさまざまな新技術が投入されている。しかし、運転を安全かつラクにするための装備のはずが、かえって難しさを招いているケースもある。
今回は、そうした“使いこなせれば便利かもしれないけど、正直少々難しすぎる”装備を見ていくことにしたい。果たしてその装備はアナタにとってホントに便利なものなのか?
「もー!! わからん!!!」おじさん大混乱!? イマドキのクルマの運転は難しすぎる!!
文/長谷川 敦、写真/スバル、トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、写真AC
最近のシフトレバーはどうなってるの?
ホンダ CR-Vのスイッチ式シフト。昔からあるシフトノブを見慣れた目には違和感もあるが、これはこれで合理的なスタイルではある。ただし慣れは必要か?
オートマチックトランスミッション(AT)が全盛の現代では、走行中にシフトチェンジを行う機会が激減している。これがマニュアル(MT)であれば、右ハンドル車の場合はドライバーが左手で操作しやすい位置にシフトレバーが置かれ、運転中は絶えず操作を行っている。
しかしATの場合、一度Dレンジをセレクトしてしまえば、目的地に到着するまでシフトレバーは触らないということも多い。
AT車のシフトレバーも基本的にはMT車と同じ位置にある。いや「あった」というのが正しいかもしれない。実際、そこまで頻繁に操作を行わないのであれば、従来の位置にシフトレバーがある必要はない。
そうした状況を踏まえて、近年のクルマ、特にハイブリッド車やEVではトラディショナルなシフトレバーを持たないものも増えている。
だが、今度はこうした近代的シフトがベテラン(オジサン?)ドライバーの混乱を招いてしまっているという。変速や後進操作は従来のレバーではなくスイッチのみで行う。
もちろん現在使用しているモードはパネルに表示されるのだが、スイッチ操作だけではどうしても感覚的につかみづらい人も多いようだ。
また、トヨタのプリウスには従来型に近いシフトレバーが装備されているものの、制動力重視の「B」レンジと、バック走行用「R(リバース)」レンジの操作パターンが以前のATやMT車とは異なるため、バックするはずが思わずBレンジに入れてしまったなどの失敗もあるという。
これらの操作に関してはしっかり説明書に書いてあるし、購入の際には販売店のスタッフが細かく説明してくれる。
しかし、ベテランにとって長年身についた動作を切り替えるのは難しいのも事実。やはり伝統的なシフトレバーがよかったと思っている人も少なくはないかもしれない。
電動パーキングブレーキはホントに便利?
スイッチひとつでパーキングブレーキの操作ができる電動パーキングブレーキ。便利な機能なのは間違いないが、解除の方法が車種によって違うのが難点と言える
勾配のある場所に停まっているクルマが勝手に動き出さないようにする機能がパーキングブレーキ。
MT車ならば停車中はニュートラルになっているため、外力で動かないようにするパーキングブレーキは重要な装備だ。そして当然ながらAT車にもこのパーキングブレーキは装備されている。
従来のサイドブレーキ操作は、シフトノブの後ろ、または横にあるレバーを引くかフットペダルを踏んで行っていた。だが、ここにも電動化の波はやってきた。近年のクルマには電動パーキングブレーキが装備されていて、操作はスイッチひとつで行える。
電動パーキングブレーキのメリットは操作に力が必要ないこと。かつてのクルマはサイドブレーキを引くにもある程度の力が要求され、力の弱い人はしっかりブレーキをかけられないという問題があった。
しかしスイッチを押してしまえばあとは電動モーターがブレーキを作動させる電動パーキングブレーキなら、誰でも同じようにブレーキをかけられる。
電動パーキングブレーキに関連して、オートブレーキと呼ばれる機能を装備するクルマもある。オートブレーキのスイッチを入れておくと、フットブレーキを踏んだ後は再びアクセルペダルを踏むまで自動的に停車状態を維持してくれる。
これは渋滞時や駐車券を取る際などに便利だ。ただし、オートブレーキ装備のクルマに慣れている人が未装備のクルマに乗る際には、停車中にしっかりブレーキペダルを踏んでおくことを心がけなくてはいけない。
ここまで見てきたように、電動パーキングブレーキにはメリットが多い。
ではどこが混乱するのかというと、それは解除の操作。パーキングブレーキを解除したいときに、車種によってスイッチを押す場合と引く場合がある。それはアナログ式のレバーとペダルでも同じと言われるだろうが、スイッチは手応えが少ないのでちゃんと解除できているが不安になってしまう人もいる。
電動パーキングブレーキも、電子式シフトと同様にしっかりと説明書を読み込んでおく必要はありそうだ。
運転支援機能をすべて理解するのは大変!?
一般的にアダプティブクルーズコントロールと呼ばれる機能のイメージ図。車載センサーが前走車の速度や距離を測定し、車間距離を自動的に保つ運転支援機能だ
クルマの安全性を高めて事故防止に効果を発揮する運転支援機能は、近年のクルマにおいて最も進化が著しい機能といえる。
その種類は多彩で、代表的なものは、アダプティブクルーズコントロール(ACC)、車線逸脱警報、衝突被害軽減制動制御装置、ナイトビジョンシステム、リアモニタリングシステム、駐車支援システム、誤発進抑制制御機能など。
上の記載を見るだけも実に多岐に渡っていて、正直オーナーひとりがすべての機能を正確に理解するのは難しい話だ。これらの機能はいざというときにしっかりと作動してくれれば問題はなく、その意味ではすべてを理解する必要もない。とはいえ、最低限知っておかなければいけないことも多い。
それは、こうした運転支援機能の多くが“全部クルマにおまかせ”ではダメなことだ。リアモニタリングや駐車支援などは、他の車両や人、壁などに自車が近づきすぎた時にアラーム音やモニターで警告してくれるシステムだが、回避操作はドライバーが行わなくてはならない。
なかにはほぼ自動的に作動してくれるシステムもあるが、オーナーはどの機能が自動でどれが警告のみなのかを知っておくのがマスト。
名前が難しすぎて何のための機能なのかわからないというケースもある。
例えば誤発進抑制制御機能とは、要するにアクセルとブレーキの踏み間違いによる急発進を抑制する機能のことだが、名前を聞いただけではピンとこないという人も多いだろう。
作動時にただ警告音を慣らすだけの機能もあれば、自動的にブレーキが作動することもある。いずれの場合もまずは誤った操作をしないよう心がけることが大前提ではある。
センサーや制御プログラムの進化によって、クルマに搭載される機能は今後も複雑化していくことが予想される。
完全な自動運転の実現まではまだまだ時間がかかり、その日までクルマはドライバーが操作する乗り物であり続ける。だからこそ、難しいからといって理解をあきらめるのではなく、しっかり学んで使いこなせるようにしたい。
とはいえ、メーカーにはさらに操作が容易で理解しやすいクルマ作りを目指してほしいのは言うまでもない。
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みんなのコメント
慣れない、使いにくいってのは別におっさんに限らない。
ベストカーのおっさんネタも食傷気味でうんざり。
オッサンは関係ない。