2016年3月のジュネーブショーで、新型ボクスターが発表された。形式的にはフェイスリフトであるが、搭載される水平対向=ボクサーエンジンは、6気筒から排気量を下げて、2気筒減らした新開発の4気筒ターボエンジンとなったのがトピックスだ。
<レポート:清水和夫/Kazuo Shimizu>
■新世代のミッドシップは新開発4気筒ターボで勝負車名は1950年代に活躍したミッドシップレーサーのレジェンドに由来する「718」の数字が付いて、新たに「718ボクスター」となり、同じエンジンを搭載するケイマンも「718ケイマン」に変更。ポルシェのミッドシップ・スポーツカーは、すべて4気筒ターボを搭載することになった。
そんな新開発の4気筒ボクサーエンジンを試すべく、さっそく新型718ボクスターの国際試乗会が開催されるポルトガルのリスボンに飛んだ。718ボクスターには2.0Lの4気筒ターボ、718ボクスターSには2.5Lの4気筒ターボが搭載される。
前者は911カレラの3.0Lフラット6を2気筒分チョップしたエンジン、後者は911ターボが採用する3.8Lフラット6をベースとし、各々同じモジュールで設計生産される。ターボはシングルだが、ミッドシップというレイアウトの制約もあり、右バンクと左バンクからのエキゾーストパイプの長さが異なる昔のスバルのような不等長エキゾーストとなった。
■新開発の4気筒ボクサーエンジンの実力718ボクスターが搭載する2.0Lターボは、ダウンサイジングではなくライトサイジング。適切な排気量であるからライトサイジングなのだとポルシェは主張する。開発段階では1.6Lターボもテストしたらしいが、パフォーマンスと燃費で2.0Lをチョイスした。最高出力は300PSで、最大トルクは380Nm。ギヤボックスは7速PDKのほか、6速MTも用意される。
一方、2.5LのボクスターSはスロットルレスポンスを高めるために、991型911の3.8Lターボと同じ可変タービンジオメトリー(VTG)を採用し、最高出力350PS、最大トルク420Nmを絞り出す。燃費は約13.7Km/Lをマークしながら、0-100km/h加速は4.2秒(PDK)で、その速さは自然吸気の時代の911カレラ以上かもしれない。なにせニュルブルクリンクのラップタイムはなんと7分42秒と、ケイマンGT4よりわずか2秒遅いだけなのだ。この速さは997型911前期モデルのGT3に近い。
■718ボクスターと718ボクスターSの実力は?ポルトガル軍が使う空軍基地で、718ボクスターS(350PS)のダイナミクスをチェックした。ミッドシップなので操縦性はリヤエンジンの911よりも素直なのだが、びっくりしたのはステアリングの応答性の鋭さだ。リヤの限界は911よりも高そうで、いままでの弱点だったリヤストラットサスペンションの横剛性と高速でストロークしたときの安定性もかなり改善。20インチタイヤが生み出す大きな横力をしっかりと受け止めている。
ワインディングは718ボクスター(300PS)で愉しんだ。排気の脈動を感じながらスロットルを踏み込む。低いエンジン回転では確かに「昔のスバルの音」が聞こえてくる。多少ターボラグを感じるのは、タービンがVTGではないためだが、ターボのクセや扱いにくさはほとんど感じられず、ポルシェのクルマ造りの非凡さを改めて印象付けた。
ただ残念なのは、フラット6がもたらすよどみないエンジンの回転上昇や、その気持ちよさがもう過去のものとなってしまったことだ。しかし、その代償として手に入れたのが、ターボの力強い加速感である。なかでもベースモデルの718ボクスターは、今回の試乗会のベストピックであった。
これまでミッドシップのボクスターとケイマンは911の弟的ポジションだったが、もはやエンジン配置は互いの個性として受け入れることができそうだ。911カレラはよりGTカーに、ミッドシップの718ボクスターはよりリアルスポーツに進化している。ポルシェが積極的に進めるオールラインターボ化の背景には、そんな戦略も見え隠れした。
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