現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 不動のダックス50をプチレストア! エンジンをかけられる状態へ【vol.2】

ここから本文です

不動のダックス50をプチレストア! エンジンをかけられる状態へ【vol.2】

掲載 更新
不動のダックス50をプチレストア! エンジンをかけられる状態へ【vol.2】

 DAX50のプチレストア計画・第2回目。まずはキャブレターのオーバーホールをおこないます。現在、バイクの吸気システムには、一部の輸入車を除いて、ほとんどにフューエルインジェクションが採用されています。しかし、ひと昔までは混合気(ガソリンと空気を混ぜ合わせた気体)を機械的に作り出すキャブレターが主流だったのです。

 そして、このキャブレターはその性質上、劣化したガソリンが詰まりやすく、定期的なオーバーホールが必要。今回のような放置車両の場合は必須項目なのです。

初代モンキーよりさらに小さい「リトルモンキー」 微笑みの国「タイ」で生まれた微笑ましい姿のコンプリートバイク

 早速作業を開始します。

 エンジンの上にあるのがキャブレター。まずはトップキャップを外します。

 続いて、インテークマニホールド(インマニ)からキャブレターを取り外します。ボルトを抜くとキャブレターが落下するので、要注意です。

 インマニからエンジン内部にゴミが入らないように、マスキングテープなどで養生をしておきます。

 で、こちらがキャブレター単体。どんどんバラしていきます。

 ちなみに、上の写真で工具を当てている部分は「フューエルコック」。車種によって分解できるものもありますが、ダックス純正は分解不可。もし、燃料漏れなどがあった場合は、コックごと交換です。(今回は異常なし)

 底面のチャンバーを開けると、メインジェットやスロージェットといった“キャブレターの心臓部”が露出。

 これらのパーツは基本的にすべて交換しますが、上の写真で工具を当てている「ジェットホルダー」のみは純正も社外品もなく、交換不可。とりあえず洗浄をして再利用する予定です。

 そして、エンジンをかけてから不具合が見つかれば……「対策を考えます」と細井さん。

 「臭いなぁ」と言いながら、臭いを嗅ぐ細井さん。どうやらガソリンが腐る寸前のようです。

 つまり劣化したガソリンによって、キャブレター内の細い通路などは詰まっている可能性大ということ! これは念入りに洗浄・メンテナンスしなければならなさそうです。

  バラバラになったキャブレター。部品点数は……けっこう少ない(苦笑)。

 たったこれだけで、ガソリンと空気を適切な比率の混合気に変えてエンジンを動かすのですから、昔の人はすごいなーと、改めて思う次第です。

 今回用意した新品パーツ。メインジェットとスロージェット、ストレーナーにパッキン類です。

 前回記事にも書きましたが、メインジェットとスロージェットは前オーナーがセッティングを変えている可能性があるので、サービスマニュアルなどを参照に純正品を購入。はじめはそれを基準にして、セッティングを詰めていくのが定石です。

 キャブレターを洗浄します。使用するのは『エンジンコンディショナー』。

 キャブクリーナーはパッキンなどのゴム類にも使えますが、今回はパッキンは全交換! というわけで、より洗浄力の高い(そしてゴム類への攻撃性の強い)エンジンコンディショナーを使うことにしました。

 ちなみにこの間、ボルト類はサビ落としに浸けています。

 どちらも人体への攻撃性があるので、換気のよい部屋で作業することを強くおすすめします。

 エンジンコンディショナーの泡はすぐに消えるので、その都度補充しつつ、15~20分ほど放置します。

 ちなみにフロートにエンジンコンディショナーはNGです!

 ニードルバルブも先端がゴムになっているので、洗浄対象ではありません。問題があれば交換しますが、今回はとりあえずそのまま再使用します。

 さて、キャブレターの汚れを取っている間に燃料タンクのチェックです。

 燃料タンクで最もやっかいなのがサビ……さて、どうなのかをマイクロスコープカメラを使って確認します。

 画面左上に黒光りする影が!! これはサビに違いないと思ったが、細井さん曰く「よく勘違いされますが、これはガソリンが変質したものでサビではありません」とのこと。

 というわけで、燃料タンクにサビ取りは不要。パーツクリーナーで内部を洗浄することになりました。ちなみにサビの元になるので、基本的に水は使いません。

 ただし、パーツクリーナーで十分に落ち切らない場合は、高圧洗浄機を使うそうです。

 しっかり汚れも取れたので、パーツクリーナーでエンジンコンディショナーを落とします。

キャブレター内には細い通路がたくさんあるので、ノズルを入れてコンディショナーを確実に落としましょう。

 キャブレター内に水分は禁物。エアツールでパーツクリーナーを吹き飛ばします。特に通路にパーツクリーナーが残っていると、それが詰まりの原因になって不調を起こすこともあります。

 新品パッキンにはラバーグリスを塗布します。塗らなくても問題ありませんが、接着剤代わりになるので作業がスムーズになるとのこと。

 また、滑りやすくなって溝に入りやすいし、入ったら落ちにくい。さらに油分を入れるので持ちもよくなります!

基本的にはバラす時と逆手順で組み付けます。注意するポイントは、「フロートの向き」と「ジェットの締めすぎ」。

 そして忘れがちなのが、トップキャップ裏側のパッキン。これも忘れずに新品に交換します。

 これでキャブレターのオーバーホールは終了です!

 前回記事で書いたとおり、エアクリーナーボックスは入庫時すでにバラバラ……。エレメントはどこにもない……

いや、ボックスのあちこちに残骸と思しきスポンジの破片がこびりついていました(苦笑)。

 もう何がなんだか分からない状態ですが、とりあえず中性洗剤と歯ブラシで油汚れを落とします。

 するとボックスのインシュレーター(正式名:コネクティングチューブとインレットチューブ)が外れかかっているのを発見。

 このまま再接着……ではなくて、いったん外してしまいます。

 インシュレーターを外した跡には劣化した接着剤がびっしり! 削ぎ落として綺麗にします。

 そのまま再接着していれば、これらが邪魔して、またすぐに剥がれていた可能性があります。面倒臭くても「急がば回れ」がメンテナンスの基本です!

 エレメントは当然新品です。ダックス50は湿式で、ワコーズの専用オイルを吹き付けます。一般的にはエンジンオイルでOKです!

 さて、これからどうやって組み付けるんだ? というわけで、サービスマニュアルの登場。

 プロでもサービスマニュアルは必須……いや、大切なお客さまの愛車や販売車両です。「プロだからこそ必須なんですよ」と細井さん。

 無事に組み付け完了。キャブレターとドッキングします。

 車体に装着。この際、特に密着させたい箇所から作業するのがポイント。というわけで、ここではインマニのボルトから締め付けていきます。

 本来は燃料タンクからエアクリーナーの脇を通って燃料ホースが通るので、燃料タンク装着時に再度エアクリーナーは外します。

 今回はエンジンをかけたいので、とりあえずエアクリーナーを装着。

 古いプラグを外して、新品に交換します。

 長期放置車両はエンジンオイルが落ち切ってしまい、ヘッドやシリンダー部は完全に枯渇している可能性があります。

 そこで新品プラグを入れる前に、プラグホールからエンジンオイルを1~2滴垂らします。

 同様の理由でカムカバーも開けて、エンジンオイルを適量注入します。

 メインスイッチをオフにしたまま、キックペダルを数回キックしてオイルを潤滑させます。万が一ピストンリングが張り付いていて、「パキン!!」と大きな音がしたらOUT……腰上オーバーホールです。

 幸い、今回は何事もなくキックすることができました。

 次にプラグをプラグキャップに装着し、エンジンなどの車体金属部に触れさせたまま、キックペダルを踏み下ろします。

 プラグ先端から火花が出ればOK。出なければ、電気系を辿って原因を探らなければなりません。

 これまた幸いにも火花が出ましたよ!

 プラグを装着し、臨時ガソリンタンクをキャブレターに繋ぎます。そしてキャブレターのエアスクリュー(混合気の空気の量を決めるパーツ)を調整します。

 さて、エンジンはかかるでしょうか!? ちなみに、細井さんの手前にあるボトルが臨時ガソリンタンクです。

 みごとにかかりました!(バッテリーがないのにニュートラルランプが点灯しているのが証拠です)

 やっぱりエンジンがかかると嬉しいもの。これで心置きなく、車体周りのメンテナンスに着手できます!!

(つづく)

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
レスポンス
KTM1390スーパーデュークGT発表!カテゴリーで最も過激なスポーツツアラーを標榜するGTが1390系エンジンでバージョンアップ
KTM1390スーパーデュークGT発表!カテゴリーで最も過激なスポーツツアラーを標榜するGTが1390系エンジンでバージョンアップ
モーサイ
新しい2.2Lディーゼルエンジンと8速ATを搭載したいすゞ「D-MAX」および「MU-X」がタイでデビュー
新しい2.2Lディーゼルエンジンと8速ATを搭載したいすゞ「D-MAX」および「MU-X」がタイでデビュー
カー・アンド・ドライバー
新型「メルセデスCLA」のプロトタイプに試乗!次世代のメルセデス製電気自動車の実力やいかに?
新型「メルセデスCLA」のプロトタイプに試乗!次世代のメルセデス製電気自動車の実力やいかに?
AutoBild Japan
紀伊半島の「最南端」に大変化!? 無料の高速「串本太地道路」工事進行中! 関西エリアの交通を一変する「巨大ネットワーク計画」とは
紀伊半島の「最南端」に大変化!? 無料の高速「串本太地道路」工事進行中! 関西エリアの交通を一変する「巨大ネットワーク計画」とは
くるまのニュース
ホンダ、栃木県とスポーツ振興協定を締結…ラグビーとソフトボールで地域活性化へ
ホンダ、栃木県とスポーツ振興協定を締結…ラグビーとソフトボールで地域活性化へ
レスポンス
軍用車マニアはたまらない!? 大戦中の1942年に製造された“フォード製ジープ”をオークションで発見 フォード「GPW」ってどんなクルマ?
軍用車マニアはたまらない!? 大戦中の1942年に製造された“フォード製ジープ”をオークションで発見 フォード「GPW」ってどんなクルマ?
VAGUE
ズボラ派にもバス&タクシーにもうってつけ! 洗車後の拭き取りをサボれる純水洗車にメリットしかなかった
ズボラ派にもバス&タクシーにもうってつけ! 洗車後の拭き取りをサボれる純水洗車にメリットしかなかった
WEB CARTOP
スズキが新型「ソリオ」1月発表!? “迫力顔&先進機能”採用!? 既に予約した人も!? 何が変わった? 販売店に寄せられた声とは
スズキが新型「ソリオ」1月発表!? “迫力顔&先進機能”採用!? 既に予約した人も!? 何が変わった? 販売店に寄せられた声とは
くるまのニュース
カワサキ「Z2」エンジン お気楽過ぎる「丸塗り」では後々後悔 可能な限り緻密なマスキングを目指す!! ~日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承~Vol.23
カワサキ「Z2」エンジン お気楽過ぎる「丸塗り」では後々後悔 可能な限り緻密なマスキングを目指す!! ~日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承~Vol.23
バイクのニュース
[DSP大全]「位相」を合わせられれば、“一体感のあるサウンド”を獲得可能!
[DSP大全]「位相」を合わせられれば、“一体感のあるサウンド”を獲得可能!
レスポンス
ノリス、ラスベガス初日は上位タイムも低グリップに手を焼く「市販車の方が速い気がする……」燃料多載での走行にはまだ課題も?
ノリス、ラスベガス初日は上位タイムも低グリップに手を焼く「市販車の方が速い気がする……」燃料多載での走行にはまだ課題も?
motorsport.com 日本版
アドベンチャーツアラー「V-STROM 250SX」が色変更!新設定「ソノマレッドメタリック」の鮮やかな赤が眩しい!   
アドベンチャーツアラー「V-STROM 250SX」が色変更!新設定「ソノマレッドメタリック」の鮮やかな赤が眩しい!   
モーサイ
初代日産リーフは「普通に乗れる」電気自動車だった【10年ひと昔の新車】
初代日産リーフは「普通に乗れる」電気自動車だった【10年ひと昔の新車】
Webモーターマガジン
【最新モデル試乗】すべてがグレードUP! 理想の選択肢、三菱アウトランダーPHEVの驚く完成度
【最新モデル試乗】すべてがグレードUP! 理想の選択肢、三菱アウトランダーPHEVの驚く完成度
カー・アンド・ドライバー
全長3m切り! ホンダの「本格オフロード車」がめちゃ楽しそう! 1リッターエンジン搭載で悪路性能スゴい! 米国で人気の「パイオニア」どんなモデル?
全長3m切り! ホンダの「本格オフロード車」がめちゃ楽しそう! 1リッターエンジン搭載で悪路性能スゴい! 米国で人気の「パイオニア」どんなモデル?
くるまのニュース
全長3.4m切り! ダイハツ「斬新軽トラ」がスゴい! “カクカク”デザイン×「超画期的なユニット」搭載! ファンキーだけど「まじめな発想」で披露された「新時代モデル」とは
全長3.4m切り! ダイハツ「斬新軽トラ」がスゴい! “カクカク”デザイン×「超画期的なユニット」搭載! ファンキーだけど「まじめな発想」で披露された「新時代モデル」とは
くるまのニュース
態度を改めないと「免許返納です」傍若無人な“若者運転”が危険すぎる「5つの理由」って!? 事故を起こすのも当然! 未成熟な「ヤバすぎる運転」とは
態度を改めないと「免許返納です」傍若無人な“若者運転”が危険すぎる「5つの理由」って!? 事故を起こすのも当然! 未成熟な「ヤバすぎる運転」とは
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村