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ジャガーMk VII/VIII/IX 英国版クラシック・ガイド エリザベス王妃も愛用 前編

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ジャガーMk VII/VIII/IX 英国版クラシック・ガイド エリザベス王妃も愛用 前編

XK120譲りのエンジンに優雅なボディ

1950年のロンドン・モーターショーで主役級のデビューを飾った、ジャガーMk VII。新設計に見えたものの、実際はMk Vのシャシーに手を加え、XK 120の高性能なツインカム・エンジンを融合させた、ラグジュアリー・サルーンだった。

【画像】1950年代のジャガーMk VIIとVIII、後継モデルのMK Xと最新モデルのXFも 全78枚

3050mmのホイールベースを伸ばすことなく、Mk Vより76mm長いエンジンをシャシーの128mm前方へ搭載。先代より車内空間を拡大させた、1950年代風の優雅なボディが載せられている。

全幅1867mmという恰幅のいい全幅は、北米に住む人の体型にも対応。英国製ライバルに対する、ストロングポイントにもなった。

フロントドアにはツールケースを内蔵。リアフェンダーの左右には、合計77Lのガソリンを詰めることができる燃料タンクが分割されて収まり、荷室空間を広く取れている。

先進的な機能として、寒冷時の始動性を良くするオートチョークや、自動調整サーボ付きのブレーキ、外気導入によるヒーターとデフロスター、スライディング・サンルーフなどを標準装備。1952年からは、2速ワイパーも与えられている。

北米仕様には当初から3速ATが載っていたが、1953年からは英国仕様にも搭載。英国では初となるATが選べる量産車になった。

1952年に試乗した自動車評論家が感じた唯一の不満は、MTの変速感。レバーが長く、ストロークは短く、より強力なシンクロメッシュが欲しいと指摘されている。ジャガーは1960年代半ばまで、そのモス社製トランスミッションを採用し続けたが。

運転の喜びにも事欠かない4ドアサルーン

同時期のアメリカ車と比べると、初期のMk VIIのルックスは控えめ。禁欲的にすら見えた。そこでジャガーの創業者、ウイリアム・ライオンズ氏はクロームメッキを追加。きらびやかさを加えた。

英国のエリザベス王妃もジャガーMk VIIに好んで乗っていた。しかしインテリアが気に入らなかったのか、コーチビルダーのパークウォード社によってアップグレードが施されている。

それを知ったライオンズは、コスト増を抑えつつ同水準の豪華さを実現するように開発スタッフへ指示。その結果誕生したのが、Mk VIIIだ。

Mk VIIIの車内は壮観で、ウッドパネルを贅沢に採用。リアシート側にはピクニックテーブルに3つのシガーライター、5つの灰皿、ラムズウールのマットなど、これでもかという装備も与えられている。

シャシーは設計に優れ堅牢。そのおかげで英国では現存数も多い。しかし、場合によっては取引価格よりレストア費用の方が高く付く。ボディやインテリア、メカニズム関係の修理や維持には、相応の予算を組んでおきたい。

ジャガーが掲げた「優雅で広々と、速く」というスローガンは、このモデルへピッタリ。壮大な4ドアサルーンは運転する喜びにも事欠かない。驚くほど攻め立てた走りにも応えてくれる。Mk VIIは、レーサーとしても活躍したほど。

ただし、初期型のATはあまりお勧めできない。3.8Lエンジンを載せたMk IXが、最もバランスに優れるといえる。

オーナーの意見を聞いてみる

英国でジャガー・エンスージアスト・クラブを長年運営してきた、生粋のジャガー・ファン、 グラハム・サール氏。これまでにほとんどのモデルを所有してきた経歴を持つ。

「ジャガーMk VIIIは珍しいモデルで、英国に残っているのは60台ほど。ダンロピロー社製のシートは座り心地が抜群で、どんなドライバーも快適に過ごせるはず。ラグジュアリーですが、インテリアのレストアはジャガーで1番高く付くでしょう」

「このクルマは、かつて王族のジャン・エルフィンストーン卿が乗っていました。ツートーンのボディカラーも、当時へ忠実に塗り直しています。1996年に、屋外に放置されていたものを購入。専門家へ依頼し、12年もかけて仕上げてもらっています」

「フロントブレーキはディスクに、ATはXJ S3用の3速に交換しています。パワーステアリングも交換済み。X300型XJ用の部品も用いています。オリジナルより運転は快適です。当時は大きなクルマでしたが、近年ではそれほどとは感じませんね」

英国で掘り出し物を発見

ジャガーMk IX AT

登録:1960年 走行:6万7900km 価格:2万8500ユーロ(約370万円)

アメリカ・ノースカロライナ州で長年乗られた後、欧州に持ち込まれたMk IX。見た目は良いものの、注意は必要な様子。売り手によれば、塗装は悪くないが完璧ではないと説明している。ドアの底面には波打ちが見られるようだ。エンジンルームはきれい。

インテリアは、レザーの風合いが良く見える。ウッドパネルの状態は直接確かめたい。走行前にしっかり点検整備して欲しいとも説明されている。

ジャガーMk IX AT

登録:1958年 走行:1万6789km 価格:4万7900ユーロ(約622万円)

ボディを磨くより運転が好きなら、このジャガーはいかがだろう。20年前にレストアされ、美しいツートーンカラーに仕上げられている。ボディパネルのフィット感は良く、全体的に整った印象を受ける。新車時に張られたディーラーのバッジも残っているようだ。

インテリアは、風合いのあるレザーが新品のよう。ウッドパネルの仕上がりは素晴らしく、当時物のラジオがダッシュボード全体の雰囲気を引き立てている。

中古車購入時の注意点などは後編にて。

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