久しぶりに乗る、中古のNBロードスター
「マツダが所有しているロードスターに乗りませんか?」と編集部の“てんちょ~”こと大平氏から連絡があった。
BMW i8(2018年4月~ 生産モデル)のカタログはこちら
それも2代目のNBと3代目のNCを、同日にステアリングを握らせてくれるという。
もちろん断る理由はないが、本当は無類のMT好きのてんちょ~が乗りたいのではないか? と感じた。
彼の助手席でどのくらい人馬一体に操るのかを見てみたかったが、とりあえずマツダのR&Dセンター横浜に向かう。
もう敷地内の広場には、2台とも用意されていた。今日一日、存分に乗せてもらう。
マツダは快適なドライビングポジション作りを当時から徹底していた
用意されたNBロードスターは1998年式のRSグレード。4万5000kmほど走った車だ。
私は発売前に、広島県三次市のテストコースで試乗したことがあった。ロータリー型の周回路をほぼフラットアウトで走り、超高速域でのスタビリティを試すことができたのを覚えている。
また、ロードスター メディア対抗4時間耐久レース(マツダが主催するレースイベント)に初めて出場した際も、レース車両はNBであり、自分が思うままのドライビングをすることができた。そんな思い出が詰まった1台である。
2019年の今、改めて目の前にすると、スタイリングは初代のNAロードスターよりもジャガー XKのような、英国風のエッセンスが入っているんだとつくづく感じた。
5ナンバーサイズにして、素晴らしいプロポーションである。
ドアに厚みをもたせたからこそドライビングポジションが中央に寄っていて、スポーツカーらしいタイトで安定感あるスタイリングなのである。
それと、ドライビングポジションも文句のつけようがない。
現在マツダは、シートとステアリング、ペダルのレイアウトを直線にして……などとあらためてドライビングポジションについてアピールしているが、先人たちはとっくに理想のポジションを、何も言わずユーザーに提案していたのだ。
シートは今になってみるとノスタルジックな印象。乗ってみると適度なホールドでタイトすぎない。
レスポンス、音、コーナリング、シフトすべて良し
エンジンを始動する1.8L DOHCユニットが目を覚ます。
レスポンスはとても良い。これだけでもやる気にさせてくれる。
キレのいいクラッチを踏んで1速に入れる。「早く走りたい」そう思うほど気持ちいいシフトフィールだ。
低回転で低音を響かせるエグゾーストノートは、早くエンジンに喝を入れてくれ! と訴えているようだ。
一気に加速し、シフトアップダウンを繰り返してみる。ヒール&トゥもすこぶるしやすい。ブレーキやクラッチの整備も万全だ。コントロール性がよく、安心できるコンディションだ。
コーナリングの安定感は、20年以上前の車とは思えないほど素晴らしい。アンジュレーションでもいなす。このあたりが初代から比べると大きく成長した部分でもある。
泣く子も黙るイタリアの“NRDI”製のステアリングホイールは、今やなかなか見ることができない憧れの名品だ。
リトラクタブルの初代も可愛いスタイリングと相まって愛されるが、NBは大人のスタイリングと本質を高めた性能を考えると5ナンバーサイズとして間違いなく名車である。
20年前の車だからこそ本物の人馬一体が味わえるモデル。本物が欲しいなら、僕はNBを薦めたい。
文/松本英雄、写真/篠原晃一
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