僕らの青春と共に駆け抜けた「ホットハッチ」という「情熱」
1974年、基本設計が古くなったビートルに代わり、時代にマッチした車両としてVWはFF 2BOXのゴルフを上梓。3BOXセダンが自動車の基本型と考えられていた当時、大きなリヤハッチゲートを持ち後部座席の折りたたみでトランクスペースを自在に使えるようにした2BOXカーの形態は若者層を中心に支持され、1980年代に入ると他メーカーも相次いでゴルフに追従。ヨーロッパで小型車の2BOX化が一気に加速した。 さて、こうした状況でFF 2BOXカーの数が増えていくと車種の細分化も自然に進み、ゴルフGTIが発端となった高性能2BOXカーの路線が注目を浴びることになった。いわゆるホットハッチ路線だが、この動きは2BOXカー市場の拡大に歩調を合わせ、1980年代に入ってから目立つ動きを見せるようになっていた。こうしたヨーロッパ市場での動向を代表的なモデルを挙げ、時系列に沿って紹介することにしよう。
ホットハッチの起源は海外にあらず! 日本のシビックが最初だった
フォード・フィエスタXR2
まず最初に動きを見せたのがヨーロッパ・フォードだった。1976年、フォード・フィエスタを発表。フォードはこのクルマが初となるBプラットフォームを開発し、1L、1.1L、1.3Lエンジンを主体とする全長3.6mの実用小型車を企画した。これがフィエスタシリーズで、1981年、1.6L SOHCのケントエンジンにウェーバーDFTキャプレターを装着したフィエスタXR2をリリース。 パワーは85bhp(86ps)と1.6Lエンジンの数値としては珍しいものではなかったが、開発コンセプトが最高速度100マイル(160km)を目指す車両で、軽量コンパクトな車体と組み合わせることで、当時の2BOXカーとしては優れた動力性能のモデルとなっていた。
プジョー205GTI
ところで、ホットハッチ路線をリードしたのは言うまでもなくFF 2BOXの本家VWのゴルフGTIだったが、同じ1.6Lエンジンを使うゴルフGTIのライバルとして、1984年にプジョー205が登場した。最新設計の軽量高剛性のモノコックボディにプジョーらしい、しなやかながら強化されたサスペンションを持ち、インジェクション装着のSOHC105psエンジンを組み合わせた。優れたハンドリングを武器にワインディングを軽快に走り抜ける元気のよいクルマとして仕上げられていた。 全体の印象は、フランス車ながらドイツ車に似たハンドリングで走り志向のドライバーを喜ばせた。その後205GTIは1.9Lエンジンに換装され、1.9GTI(130ps触媒レス)として動力性能はさらに強化されることになる。なお、205シリーズにはWRCを前提としたミッドシップ4WDターボ、グループBホモロゲートの205T16も存在したが、ランチア・デルタS4と合わせて通常のホットハッチと呼ぶにはあまりにも大きくその枠組みを踏み越えているため、ここでは除外することにした。
フォード・エスコートRSターボ
プジョー205GTIと同じ1984年に登場したモデルがフォード・エスコートRSターボだ。フォード系のホットハッチはフィエスタXR2が先鞭をつけていたが、性能競争が激化するホットハッチ市場で、より高い競争力を持つ車両が必要だと判断。開発された車両が第3世代のエスコートに加えられたRSターボだった。 エンジンは新世代のフォードCVHシリーズのSOHC1.6L版にターボを装着して132psを発生。FRからFFに切り替わり、車両コンセプトの見直しが図られたエスコートシリーズ。メカニズムも最新の仕様が投入され、時代の最先端を象徴する車両として市場に送り出されていた。とくに電制インジェクションによるターボシステムは、リニアリティに優れた違和感のないコントロール性が大きな特徴となり、ライバルに対するアドバンテージとして有利に働いた。 振り返れば、エスコートのハイパフォーマンスモデルと言えば、前モデルのコスワースBDEやBDGを搭載した準レーシング仕様のようなモデルを思い浮かべるが、このRSターボも市販車としてはクラストップの性能を持ち、ハイパフォーマンスエスコートの呼び名に恥じない内容を備えていた。
ルノー5GTターボ
プジョーと同じフランスのルノーも、ホットハッチ路線に足を踏み入れたメーカーだった。ルノーの小型FF 2BOXとなるルノー5は初代モデルが早々と1972年にデビュー。1980年にはWRCを想定したグループ4ホモロゲートのミッドシップ・ターボモデル、ルノー5ターボも登場しているが、ここでは2代目のルノー5に加えられたFF方式のルノー5GTターボが対象車となる。
オーバーフェンダーやサイドスカート、スポイラーなどで外観のスポーツ性を強調。1985年のデビューで、車名どおり1.4LのOHVエンジンにターボを装着するモデルだった。エンジン出力は115psと動力性能面で他のFFホットハッチと比べて遜色はなかった。しかし燃料供給系がキャブレター方式で電制インジェクションのような細かな制御が効かず、ターボラグの対策が十分できないまま、クセのあるパワーレスポンスを示して未完の大器という印象もあった。
VWゴルフGTI(2代目)
1983年、FF2BOXとして新たな市場を開拓したVWゴルフが第2世代にモデルチェンジした。車体はひと回り大きくなり、搭載エンジンも上級モデルでは1.8L(ゴルフ1末期に1.8L化)を軸とするモデル設定になっていた。ホットモデルのGTIは当初SOHC8バルブのエンジン(112ps)を採用したが、より洗練された動力性能、運動性能を標榜するGTIには不十分な性能と判断され、1986年にDOHC16バルブエンジン(139ps)に換装された。 このエンジンの採用で最高速度は200km/hを超すようになり、俊敏な動きだけを追い求めたホットハッチではなく、高速ツアラーとしての車両性格も合わせ持つようになった。なお、GTIは1989年にスーパーチャージャー付きのGTI G60が登場。出力は180psと大幅に引き上げられたが、最高速度は16Vと大差なく、低中速域からハイエンドにかけてのトルク特性全般の改善、加速力の引き上げを図った変更だった。
ボクスホール・アストラGTE16V
興味深いモデルとして、ボクスホールのアストラGTE16Vを挙げておきたい。ボクスホールはドイツオペルのイギリスブランドとして知られるが、ここで紹介するアストラGTEは、本国ドイツではオペル・カデットEの名前で販売されていたモデルだ(写真はオペル版)。カデット自体は1979年までFR車として作られていたが、同年のモデルチェンジで全面刷新が図られFF方式となり、新時代のユーザー層に対応するモデルとなっていた。アストラGTE16Vは、FF2世代目となるカデットEのボクスホール仕様車で、コスワース開発のC20XE型DOHC16バルブエンジンを搭載。もともとモータースポーツユースを見据えたエンジンだったため、出力値は156bhpと同クラス車両と比べて高めの設定。0~96km/h(60マイル)加速で7秒という快足ぶりを示していた。 もともと機敏な走りが魅力のFFホットハッチだったが、どのモデルもモデルチェンジを経て大型重量化の道を歩み、より強力となったエンジンは高速巡航性能に方向性が振り向けられていた。ホットハッチに「山椒は小粒でピリリと辛い」を求めようとするならば、創生期の軽量コンパクトなモデルがいちばんそれらしいのかもしれない。
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