現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > KTMのフラッグシップに試乗! オーストリアが生んだ最強ウェポンの実力

ここから本文です

KTMのフラッグシップに試乗! オーストリアが生んだ最強ウェポンの実力

掲載 更新
KTMのフラッグシップに試乗! オーストリアが生んだ最強ウェポンの実力

KTMは常に「個性の塊」というべきモデルをつくり出しているメーカーだ。もともとオートバイは趣味性の高い乗りものではあるけれど、KTMのバイクはとりわけキャラクターが濃い。その理由はメーカー自らが謳う「READY TO RACE」というキャッチコピーが端的に表している。KTMが自分たちの原点に置いているのは「レースでの活躍や勝利」であり、そのコンペティティブな精神が各モデルにしっかりと注がれているのだ。

じっさいKTMは1970年代からモトクロスの世界選手権で何度も優勝し、2000年代にはいってからはダカール・ラリーの二輪部門で18連勝を遂げるなど、主にオフロードのレースシーンで活躍してきた。さらに近年はオンロードレースにおいても“二輪のF1”と言うべきMoto GPに参戦するなど、現在はオン/オフ両方のレースカテゴリーにおいて世界のトップクラスで戦っている。
 
そんな二輪界いちの「負けず嫌い」なメーカー、KTMのフラッグシップモデルが1290スーパーデュークとスーパーアドベンチャーだ。どちらもKTMのラインナップ中最大排気量の1301ccVツイン「LC8」エンジンを積み、スーパーデュークはオンロードスポーツ、スーパーアドベンチャーはオン/オフ両刀のデュアルパーパスモデル。ポルシェでいうなら911とカイエンのような関係といえばいいだろうか。
 
2台に共通しているのは、機能をそのままデザインに落とし込んだような、質実剛健なスタイリングだ。フラッグシップモデルとはいえ、あえて豪華に見せようとしたり、高級感を演出しようというところがない。いい意味で“道具”に徹したソリッドなデザインから、そこはかとない凄みが滲み出している。

“中免ライダー”が喜ぶ2輪のボーイズ・レーサー!──KTM RC390試乗記

とくにスーパーデュークRの造形は刺激的だ。触れたら切れそうなほど薄く、シャープな形状のLEDヘッドライト、トラス状に組み上げたパイプフレーム、かち上げられたエクゾーストパイプに片持ちのスイングアーム。乗る前から身構えてしまうほどアグレッシブな印象だが、いざ跨って走り出すと「あれ?」と思わされる。

見た目の獰猛さに反して走りは軽やかで、思ったよりずっと扱いやすいのだ。195kgの車体重量に対して1301ccVツインのエンジンは最高出力177psという強力なパワーを発揮する。だが電子制御スロットルによって巧みに躾けられているおかげで、優しく扱えば優しく、激しく扱えば激しく、ライダーの意を汲んでそのパワーを供給してくれるのだ。またスポーツ/ストリート/レインを選び出力特性を切り替えられるライディングモードやトラクションコントロールなどの電子デバイスも備わり、街乗りやツーリングのレベルではそれらが出しゃばることなくサポートしてくれる。ライダーはマシンを意のままに操るような感覚を楽しみながら、気持ちよく走ることができる。

もしフルアジャスタブルのWP製サスペンション、ブレンボ製の強力なブレーキなど、その「READY TO RACE」な性能を思い切り開放して試したいならば、クローズドコースに持ち込むのが賢明だろう。とはいえストリートでもその片鱗を感じることはできるし、適度な刺激を味わいながらライディングを楽しめる。スーパーデュークRはその振り切れた見た目からは想像できないほど柔軟なスポーツネイキッド・バイクなのだ。

もう1台のスーパーアドベンチャーSは、その名のとおりあらゆる道を走破すべく、ロングストロークのサスペンションにフロント19インチのホイールを組み合わせた大きな車体に圧倒される。21インチのスポークホイールを履きオフロード走破性を重視した「アドベンチャーR」もあるが、この「S」はオンロードをメインにオフにも対応するロングツアラー的性格が与えられたモデルだ。

シートハイトも860/875mmとかなり高いが、スリムなVツインエンジンのおかげで跨った際の足つきは思ったほど悪くはない。重量も215kgとこのクラスのアドベンチャーモデルとしては軽量だ。とはいえ、もちろん誰もが容易に乗れるサイズではないのも確か。ちなみに身長173cmの僕は両方のつま先が着いたが、170cm以下のライダーだと扱いには少し苦労するかもしれない。

エンジンはスーパーデュークRと同じ1301ccのVツイン。だがチューニングは低、中回転域でのトルク重視に振られ、そのぶん最高出力は17ps低い160psに抑えられている。排気音もビッグツインらしい荒々しさを感じさせるスーパーデュークRに較べると、少々穏やかでマイルドな印象だ。

今回の2台はともに通信式のキー、つまり鍵穴のないキーレスのイグニッションを採用している。インストゥルメントパネルはカラーのTFT液晶で、Bluetoothの機器を接続できるコネクティビティやオートクルーズ備えるなど、現代の二輪車としては最も進んだハイテク装備を持つ1台と言える。四輪車の背中を追いかけ、次第に二輪車もデジタル化が進んでいるのだ。

大柄なスーパーアドベンチャーだが、いざ跨って走り出せばその大きさはほとんど意識せずにすむ。感心するのはオンロードスポーツばりの俊敏な走りだ。19インチのフロントホイールは絶大な安定感をもたらすいっぽうで、カーブでの身のこなしはとても軽やか。意識して「えい!」と車体を倒しこまなくても、視線を向けた方向へと自然に曲がっていってくれるようなニュートラルなハンドリングだ。

さらに走っていて心地よさを感じるのはシフトフィールの滑らかさ。試乗車にはオプションのオートシフターが装備されていたが、これは左手でクラッチ操作をしなくてもシフトのアップ/ダウンができる機構で、慣れれば発進/停止時以外はまったくクラッチを使わずに走ることもできる。ちなみにデュークRにもオートシフターが装備されているが、アドベンチャーのほうがさらにタッチが柔らかくスムーズな印象だった。このオートシフターはスポーツライディングを楽しむときの素早いシフト操作にはもちろんだが、ツーリングなどで疲れを軽減する意味でも有効だ。
 
オーストリアのモーターサイクルメーカーであるKTMは、かつて日本では一部のオフロードレース好きが知るニッチなブランドというイメージだった。だが今やヨーロッパではBMWをも凌ぐ販売台数を誇る大メーカーだ。レースで培った機能性の高さに品質が追い付き、そして何ものにも似ていない個性的でアグレッシブなデザインがユーザーに受け入れられたのだ。加えて性能に対するコストパフォーマンスの高さもKTMの強みと言える。スーパーデュークR、スーパーアドベンチャーSともに、モーターサイクルライフを楽しむための最良の“道具”として勧められる1台であることは間違いない。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

アキュラIMSA車両ドライブしたフェルスタッペン、デイトナ24時間は出ないの?「出るには十分な準備をしたいけど、今は不可能だ」
アキュラIMSA車両ドライブしたフェルスタッペン、デイトナ24時間は出ないの?「出るには十分な準備をしたいけど、今は不可能だ」
motorsport.com 日本版
約183万円! 三菱「新型“5ドア”軽SUV」発表に反響多数! 「走りがいい」「好き」の声!半丸目もカッコイイ「ミニ」が話題に
約183万円! 三菱「新型“5ドア”軽SUV」発表に反響多数! 「走りがいい」「好き」の声!半丸目もカッコイイ「ミニ」が話題に
くるまのニュース
新車99万円! ダイハツ「“最安”ワゴン」どんな人が買う? イチバン安い「国産乗用車」は装備が十分! 超お手頃な「ミライース」支持するユーザー層とは
新車99万円! ダイハツ「“最安”ワゴン」どんな人が買う? イチバン安い「国産乗用車」は装備が十分! 超お手頃な「ミライース」支持するユーザー層とは
くるまのニュース
2025年は赤・黄・黒の3色 スズキ「V-STROM 250SX」2025年モデル発売
2025年は赤・黄・黒の3色 スズキ「V-STROM 250SX」2025年モデル発売
バイクのニュース
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
レスポンス
KTM1390スーパーデュークGT発表!カテゴリーで最も過激なスポーツツアラーを標榜するGTが1390系エンジンでバージョンアップ
KTM1390スーパーデュークGT発表!カテゴリーで最も過激なスポーツツアラーを標榜するGTが1390系エンジンでバージョンアップ
モーサイ
新しい2.2Lディーゼルエンジンと8速ATを搭載したいすゞ「D-MAX」および「MU-X」がタイでデビュー
新しい2.2Lディーゼルエンジンと8速ATを搭載したいすゞ「D-MAX」および「MU-X」がタイでデビュー
カー・アンド・ドライバー
新型「メルセデスCLA」のプロトタイプに試乗!次世代のメルセデス製電気自動車の実力やいかに?
新型「メルセデスCLA」のプロトタイプに試乗!次世代のメルセデス製電気自動車の実力やいかに?
AutoBild Japan
紀伊半島の「最南端」に大変化!? 無料の高速「串本太地道路」工事進行中! 関西エリアの交通を一変する「巨大ネットワーク計画」とは
紀伊半島の「最南端」に大変化!? 無料の高速「串本太地道路」工事進行中! 関西エリアの交通を一変する「巨大ネットワーク計画」とは
くるまのニュース
ホンダ、栃木県とスポーツ振興協定を締結…ラグビーとソフトボールで地域活性化へ
ホンダ、栃木県とスポーツ振興協定を締結…ラグビーとソフトボールで地域活性化へ
レスポンス
軍用車マニアはたまらない!? 大戦中の1942年に製造された“フォード製ジープ”をオークションで発見 フォード「GPW」ってどんなクルマ?
軍用車マニアはたまらない!? 大戦中の1942年に製造された“フォード製ジープ”をオークションで発見 フォード「GPW」ってどんなクルマ?
VAGUE
ズボラ派にもバス&タクシーにもうってつけ! 洗車後の拭き取りをサボれる純水洗車にメリットしかなかった
ズボラ派にもバス&タクシーにもうってつけ! 洗車後の拭き取りをサボれる純水洗車にメリットしかなかった
WEB CARTOP
スズキが新型「ソリオ」1月発表!? “迫力顔&先進機能”採用!? 既に予約した人も!? 何が変わった? 販売店に寄せられた声とは
スズキが新型「ソリオ」1月発表!? “迫力顔&先進機能”採用!? 既に予約した人も!? 何が変わった? 販売店に寄せられた声とは
くるまのニュース
カワサキ「Z2」エンジン お気楽過ぎる「丸塗り」では後々後悔 可能な限り緻密なマスキングを目指す!! ~日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承~Vol.23
カワサキ「Z2」エンジン お気楽過ぎる「丸塗り」では後々後悔 可能な限り緻密なマスキングを目指す!! ~日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承~Vol.23
バイクのニュース
[DSP大全]「位相」を合わせられれば、“一体感のあるサウンド”を獲得可能!
[DSP大全]「位相」を合わせられれば、“一体感のあるサウンド”を獲得可能!
レスポンス
ノリス、ラスベガス初日は上位タイムも低グリップに手を焼く「市販車の方が速い気がする……」燃料多載での走行にはまだ課題も?
ノリス、ラスベガス初日は上位タイムも低グリップに手を焼く「市販車の方が速い気がする……」燃料多載での走行にはまだ課題も?
motorsport.com 日本版
アドベンチャーツアラー「V-STROM 250SX」が色変更!新設定「ソノマレッドメタリック」の鮮やかな赤が眩しい!   
アドベンチャーツアラー「V-STROM 250SX」が色変更!新設定「ソノマレッドメタリック」の鮮やかな赤が眩しい!   
モーサイ
初代日産リーフは「普通に乗れる」電気自動車だった【10年ひと昔の新車】
初代日産リーフは「普通に乗れる」電気自動車だった【10年ひと昔の新車】
Webモーターマガジン

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

95.2105.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

20.0101.8万円

中古車を検索
ストリートの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

95.2105.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

20.0101.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村