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「BMW X7」動画レポート! 島下泰久氏が伝える初試乗のリアル

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「BMW X7」動画レポート! 島下泰久氏が伝える初試乗のリアル

BMW X7 xDrive 40i

https://www.youtube.com/watch?v=RRo6OmnESN0

「ポルシェ911 GT3 カップ」試乗! 島下泰久氏がワンメイク最高峰の世界に迫る【動画レポート】

「X7」は頂点のSUV

初めて降り立ったアメリカ テキサス州エルパソは、メキシコ国境に面した街だった。朝、ジョギングがてらボーダーまで行ってみて「向こうに渡るのは1分で済むけど、戻るには3時間かかると思った方がいい」という現地で聞いた言葉を反芻してみる。橋の向こうの治安はあまりよろしくないようだが、こちらは至って平和。街にはスペイン語で書かれた看板があふれ、カフェやレストランのメニューもスペイン語の下に小さく英語が添えられているという具合だった。

BMWがスポーツ・アクティビティ・ヴィークルと呼ぶSUVのラインナップの頂点へと新たに据えた「X7」の国際試乗会は、2月中旬に生産拠点であるスパータンバーグを起点に開始され、最終的にはパームスプリングスまで至るアメリカ横断の行程を、11のグループでリレーしていくかたちが取られた。日本のジャーナリストが受け持ったのは、このエルパソからアリゾナ州フェニックスまでのルート。1日で500マイル(約800km)以上を走破するという強行軍である。同業者とペアを組んで走るのだが、それでも1日に走る距離としては、なかなかのものであることは間違いない。

ビックサイズでもクリーンなデザイン

アメリカで見ると、さほどでもないのかなと勘違いしそうになるが、X7の体躯は実際、相当なものだ。サイズは全長5151×全幅2000×全高1805mmで、ホイールベースは3105mmにも達する。顔つきもいかつい。左右が連結されたキドニーグリルの大きさは過去最大級で、薄い目つきのLEDヘッドランプがその大きさを更に強調している。最初にモーターショーで見た時には絶句したこの顔も、やはりアメリカで見るとそこまでエグくないと思えてしまう。ボディサイドを前後に貫くショルダーラインなど、最近のBMWの中ではあまりこねくり回すことなく、クリーンなデザインとされているのも悪くない。

ラグジュアリー仕立てのインテリア

試乗車は直列6気筒3.0リッターターボエンジンを搭載する「X7 xDrive 40i Luxury」。ステップを使って高い位置にあるシートに乗り込むと、お馴染みのBMWライブコクピットが出迎えてくれる。大型タッチスクリーンを用いたセンターディスプレイ、クリスタルを用いたシフトノブなど、最新のBMWのトレンドも余さず盛り込まれており、デザインはX5と近いが、調度や仕立てはよりラグジュアリーな方向だ。

視点が高い上にガラス面積が広く、視界は上々。フロントスクリーンの向こうにエンジンフードがしっかり見えるから車両感覚も把握しやすい。時間は朝8時半。リラックスした気持ちで走り出した。

22インチとは思えない快適性

市街地、そしてインターステイトでの走りでまずインパクトを受けたのが、その快適性の高さである。標準で備わる4輪エアサスペンションはCOMFORTモードでは想像以上にソフトで、どんな入力も柔らかくいなしてしまう。試乗車がオプションの22インチタイヤ&ホイールを履いていたことを考えると尚のこと、この快適性は驚きだ。

それと引き換えに、うねった路面で揺り返したり進路が乱れたりといったことは無くはない。けれど、このおおらかな乗り味の前では些細なことと言っていい。

静粛性も上々だ。バルクヘッドを二重構造とするなどボディ側の遮音対策、さらにリアゲートのそれ以外の全面への厚さを増した遮音ガラスの採用などによって、エンジン音、ロードノイズ、風切り音などあらゆるノイズが、非常に低いレベルに抑えられているのである。

パワフルな340psと、8速ATの切れ味

動力性能も十分に満足できる。最高出力340ps、最大トルク450Nmというスペックに不足があるはずがなく、特に1500rpmという低回転域から最大トルクを発生するフレキシブルな特性と、切れ味シャープな8速ATのマッチングは絶妙。クルマの大きさ重さを感じさせない軽やかさが光る。

高速巡航も余裕綽々。ステアリングはそれほど落ち着きがある方ではないが、これだけのホイールベースと車重があれば、クルマは自然とまっすぐ走ってくれて、神経質になることはない。運転支援装備も充実していて、3眼カメラを用いる最新のシステムによりACCは優れた追従性を発揮してくれる。欲を言えば、車線変更支援機能を使った時の動き出しがやや唐突なのが気になったぐらいだ。

こんな風にあれこれ試しているうちに、午前中の約340kmを無事に走破。ランチの後には後席の乗り心地も試してみた。

3列目シートは2列目と同等のスペースを確保

試乗車の2列目シートは、左右独立の2人掛けとベンチタイプの3人掛けが用意されるうちの前者。3列目にもほぼ同等のスペースを割り振るべくスライド位置を調整しても尚、膝の前には30cm近い空間を確保でき、前席よりさらに高い着座位置にも関わらず頭上にはまだ20cm近い余裕が残るだけに、非常に快適だ。ウエストラインも低く、視界は良好。速度を上げてもブルブル、ワナワナすることはなく、むしろ車両のちょうど真ん中に座るためか縦横に身体が揺すられることもないから、このクルマの特等席と言えば文句無しにここだろう。実際、ペアを組んだ同業の某氏は乗り代わってすぐに寝息を立て出したが、それも納得である。

3列目も大人2人で長時間過ごすことになってもガマンは要らなそう。着座位置が更に高いので閉塞感はないし、頭上にも横方向にも余裕がある。さすがに足元は広々とは言えないが、独立したエアコンだって備わるのだ。

この3列目を起こした状態でも、荷室容量は326リットルを確保している。しかしながら、おそらく3列目は普段は荷室に充てられる場合の方が多いだろう。バックレストは電動で格納可能。

3列目を格納すれば容量はX5より100リットル多い750リットルまで広がり、2列目まですべて折り畳めば2120リットルにも達する。アウトドアなどを楽しむ人も、これだけあれば納得に違いない。

軽快なフットワークと正確なライントレース性

午後もしばらくはインターステイトを延々と行く行程が続いたが、アリゾナ州ツーソンでいよいよ一般道へ降り、州道77号線を北上することに。サボテンの群生する地域を超えると、今度は奇岩に目を奪われるという絶景の高速ワインディングロードに気分が昂ってきた。

優れた前後重量バランスに加えて、インテグレーテッド・アクティブステアリングはじめ様々なデバイスの効果もあるのだろう。フットワークは車体の大きさを忘れさせるほど軽快で、コーナーの入口で一旦姿勢を決めれば一筆書きでラインをトレースしていける。こうした場面では、普段はやや硬めと感じたSPORTモードがぴったりで、大きな入力をしっとりと受け止め、じわりと四輪を接地させる様には軽く感動すら覚えた。

回せば、エンジン音の気持ちの良い成分はしっかり漏らさず聞こえてくるのも嬉しい演出。撮影に時間を要して、ここまでかなり遅れてしまっていたのだが、楽しみながらついペースが上がり、大いに巻くことができたのだった。

それでも約480kmを走り切り、フェニックスのホテルに着く頃には夜7時を大きく回っていた。実質的な走行時間は約9時間くらいだろうか。それでも驚くほど疲れは感じられず、無事完走の祝杯をあげることもできた。とは言え、さすがに翌朝2時45分にチェックアウトして日本に発つ強行スケジュールには参ってしまったが・・・。

BMWらしいグランドツアラー

近頃のBMWはどれも本当に快適性が高く、それを走りの歓びと巧みに融合させていると感心していたが、X7はその中でも群を抜くグランドツアラーに仕上がっていると実感した。しかも決して鈍重ではなく、軽やかさをしっかり纏っているのが嬉しいところ。ライバルになるであろうメルセデス・ベンツGLSともレンジローバー・ヴォーグとも明らかに異なる、BMWらしさはたっぷりと宿っている。

日本仕様は直列6気筒3.0リッターディーゼルエンジン搭載モデルからとなる模様。BMWらしく、上陸までそれほど待たされることはなさそうだ。

REPORT/島下泰久(Yasuhisa SHIMASHITA)

【SPECIFICATIONS】

BMW X7 xDrive 40i

ボディサイズ:全長5151 全幅2000 全高1805mm
ホイールベース:3105mm
トレッド:前1684 後1705mm
車両重量:2320kg

エンジン:直列6気筒DOHCツインスクロールターボ
総排気量:2998cc
ボア×ストローク:94.6×82.0mm
圧縮比:11.0
最高出力:250kW(340ps)/5500 – 6500rpm
最大トルク:450Nm/1500 – 5200rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD

サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後5リンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前後275/50R20(8.5J)

最高速度:245km/h

0 – 100km/h加速:6.1秒

CO2排出量(EU6d):205 – 198g/km

燃料消費量(EU複合):9.0 – 8.7L/100km

【日本導入予定車】

BMW X7 xDrive 30d

ボディサイズ:全長5151 全幅2000 全高1805mm
ホイールベース:3105mm
トレッド:前1684 後1705mm
車両重量:2370kg

エンジン:直列6気筒DOHCコモンレール ディーゼル ターボ
総排気量:2993cc
ボア×ストローク:90.0×84.0mm
圧縮比:16.5
最高出力:195kW(265ps)/4000rpm
最大トルク:620Nm/2000 – 2500rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD

サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後5リンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前後275/50R20(8.5J)

最高速度:227km/h

0 – 100km/h加速:7.0秒

CO2排出量(EU6d):178 – 171g/km

燃料消費量(EU複合):6.8 – 6.5L/100km

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