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極めて高耐久のTdi ランドローバー・ディスカバリー(初代) 英国版クラシック・ガイド 後編

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極めて高耐久のTdi ランドローバー・ディスカバリー(初代) 英国版クラシック・ガイド 後編

OEMのホンダ・クロスロードも

ランドローバー・ディスカバリーは、秀でたオフロード性能と上質なオンロード・マナーを両立させたSUVだ。ただし、初期型のディスカバリー・シリーズ1ではボディロールが小さくなかった。

【画像】極めて高耐久のTdi ランドローバー・ディスカバリー(初代) 現行モデルと写真で比較 全124枚

これに対応するため、アンチロールバーを1992年から一部グレードで採用。1994年以降は、標準装備へ改められている。

結果として、コーナーでの安定性は増したものの、悪路でのサスペンションの動きには制限が生じていた。ディスカバリー・シリーズ2では、それが改善されている。

1991年式までのディーゼルターボでは、パワーが若干もの足りず、ノイズや振動も小さくない。とはいえ、メンテナンスを怠らなければ、ディーゼルターボのTdiは極めて耐久性に優れる。実際、英国での支持も高かった。

当初はシフトレバーの動きやクラッチペダルも重かった。1994年に新しいユニットを獲得し、シフトフィールは改善している。

1993年から1997年にかけては、T16型と呼ばれる2.0Lガソリンエンジンが税金対策として用意されていた。しかしオフローダーとしてはトルク不足で、人気は得ていない。

1993年から1998年には、ディスカバリーのOEM仕様、ホンダ・クロスロードが日本で販売されている。見た目はまったく同じだが、ホンダのHのマークがフロントマスクで輝く。英国へ逆輸入された例もあった。

複雑なシステムを積むディスカバリー2

ディスカバリー・シリーズ2に採用された直列5気筒のTd5エンジンは、ヘッドガスケットに不具合が生じやすい。しかし、シリンダー毎に個別の燃料ポンプを搭載し、圧縮比を高め、エネルギー効率を高めている。当時はクラス初の技術といえた。

エンジンだけでなく、上質さを求めたディスカバリー2は、それ以前より遥かにシステムが複雑。アクティブ・コーナリング機能は、スピード感知式の油圧システムでアンチロールバーを制御している。

ボディロールを電子的でに抑え込むことで、コーナーでの安定性は高い。そのかわり修理が安く済まないことは、ご想像できるだろう。

セルフレベリング機能付きのエアサスペンションがリアに組まれ、過酷なオフロードでは車高を持ち上げられる。一方で、トレーラーを牽引する時などは高さを抑えることを可能としていた。

ブレーキを巧みに制御することで、トラクション・コントロールも前後アクスルに採用。ヒルディセント・コントロールも組み合わされている。ZF社製のオートマティックには、スポーツ・モードが用意されていた。

初代レンジローバーを起源とするシャシーと、本格的な四輪駆動システム、アップデートされたサスペンションが融合した初代ディスカバリー。しなやかな乗り心地と、悪路の走破性が両立した、訴求力のあるクラシックSUVだといえる。

購入時に気をつけたいポイント

ボディとシャシー

初代ディスカバリーは錆びやすい。スチール製の骨格をアルミニウム製パネルで覆っているため、内部で進行するサビは発見が遅れがち。

フロント・バルクヘッドにサイドシル、フェンダー、Aピラー、ボディマウント部分、ドアの開口部、リアドアのヒンジ、荷室フロア、クロスメンバー、Aフレーム・マウント周辺、リアサスペンション・マウント、バンパーなどが主な弱点。

またリアのシャシーレール、インナーフェンダー、ブレーキパイプなども錆びる。鏡なども利用して、丁寧に確認したい。

エンジン

オールアルミ製のV8エンジンが当時のディスカバリーのフラッグシップ・ユニットに据えられていたが、ユーザーの8割はディーゼルを選んでいる。

ディーゼルエンジンでは、6万4000kmか5年毎に指定されている、タイミングベルト交換の履歴を確かめる。排気ガスが過度に煙っていないかも試乗で調べたい。

ガソリンエンジンの場合は、オイル漏れに注意。ヘッドガスケットにダメージを与えるオーバーヒートや、クーラント漏れがないかもチェックポイント。英国の場合は、LPG仕様に改造されている例もある。

トランスミッション

LT77と呼ばれるユニットの場合は、内部ベアリングが摩耗しがち。R380ユニットでは、変速しやすくするシンクロメッシュが弱点。どちらも滑らかに変速できるかに加え、フルードの交換履歴や漏れがないかも確かめる。

サスペンションとステアリング

トラックロッド・エンド、ハブベアリング、ドライブシャフト・ブーツ、バンプストッパー、サスペンション・スプリングの状態を確認する。デフやステアリングラックなどからのフルード漏れもチェックポイント。

ブッシュ類は劣化しがち。英国では、ゴムブッシュをポリウレタン製へ置き換えるオーナーも多い。

電気系統

ドアロックやサンルーフ、パワーウインドウ、ヒーターなどが正常に動くか試してみる。ヒルディセント・コントロールやトラクション・コントロール、アクティブ・ロール機能、ABSなどに異常がないかも試乗で確認したい。

インテリア

初期型のライトブルーの内装は珍しく、部品も出てきにくい。ディスカバリー1では、3列目は横向きの折りたたみ式。ディスカバリー2では前向きになり、折り畳めるヘッドレストも備わる。

ランドローバー・ディスカバリーのまとめ

ディスカバリー1でも2でも、最大の敵はボディやシャシーのサビ。オフロードでの酷使もダメージを残しがち。シリーズ2では、複雑なシステムも悩みのタネになりやすい。

いつものことだが、予算の範囲で最良の1台を探し出し、適切なメンテナンスを施すことが理想。オプションは多彩に用意されていたから、装備内容も選択基準の1つとしたい。

誕生から30年以上の月日が立ち、ディスカバリーは熟成が進んでいる。状態の良い初期型は、クラシックカーとして順調に価値を高めつつある。

良いトコロ

英国ではディスカバリーに詳しい専門ガレージが多く、サポートは手厚い。極初期のモデルを除いて、中古部品の流通量も多い。在庫されていた新品の部品も出てくる。修復用のボディパネルも入手できる。

良くないトコロ

進行するサビと、価値が低かった時代の過酷な乗られ方が影響し、良好な例は少ない。購入時は、細心の注意を払いたい。

ランドローバー・ディスカバリー(初代/1989~2004年/英国仕様)のスペック

英国価格:1万9765ポンドから(1997年時)
生産台数:約68万5000台(シリーズ1、2の合計)
全長:4520-4705mm
全幅:1793-1885mm
全高:1918-1980mm
最高速度:136-170km/h
0-97km/h加速:10.5~22秒
燃費:5.0-10.6km/L
CO2排出量:−
車両重量:1882-2237kg
パワートレイン:直列4気筒1994cc自然吸気/2495ccターボチャージャー/V型8気筒3528/3947cc自然吸気
使用燃料:ガソリン/軽油
最高出力:112ps/4000rpm-184ps/4750rpm
最大トルク:18.9kg-m/2500rpm-34.5kg-m/2600rpm
ギアボックス:5速マニュアル/4速オートマティック

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