■久しぶりに「プリウス」を抑えた「カローラ」
トヨタ「カローラ/カローラツーリング」の販売が好調です。かつてのカローラシリーズは、トヨタの看板を背負う主力車種でしたが、同社「プリウス」登場した後は、その座を受け渡していました。
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しかし、新たに登場したカローラシリーズは発売以降、販売台数を伸ばし単月の登録車販売台数は3ヶ月連続で首位になっています。近年では、「おじさん車」や「ダサい」という声もあったカローラですが、なぜ人気が復活しているのでしょうか。
初代カローラは、1966年に誕生し、国内の登録車販売台数ランキングにおいて、1969年から2002年までの33年間連続で1位を獲得。その後も、2003年から2007年の間で1位になるなど、トヨタの看板車種として君臨していました。
しかし、1997年に世界初の量産ハイブリッド専用車として初代プリウスが登場します。なかでも、2009年に登場した3代目プリウスは、2010年(31万5669台)、2012年(31万7675台)と、国内市場では過去に例を見ない年間販売台数30万台を超える記録を二度も達成。
さらに、環境意識の高かったハリウッドスターがアカデミー賞授賞式のコダック・シアターにプリウスで乗り付けた影響も大きく、またたく間に「エコ=プリウス=トヨタ」というイメージが世間に広がり、カローラに代わってトヨタの看板車種の座を手にするのです。
その後、カローラはグローバル市場では堅調な販売を見せていましたが、国内市場では同社のプリウスや「ヴィッツ」、「アクア」、ホンダ「フィット」などに押された影響もあり、登録車年間販売台数では全体10位ほどまで、人気を下げていきました。
しかし、2019年9月17日にフルモデルチェンジした、新型カローラ/カローラツーリングは、初期受注にあたる2019年9月17日から10月16日の1か月で、カローラが約5400台(月販目標台数1700台)、カローラツーリングが約1万3700台(月販目標台数5400台)を受注しています。
同じく一部改良がおこなわれたハッチバックタイプの「カローラスポーツ」も同期間で約3000台(月販目標台数2300台)を受注し、カローラシリーズ全体で約2万2000台の受注を記録。いずれも月販目標台数を上回る結果となりました。
また、2019年の年間登録車販売台数では、プリウスが12万5587台(前年比108.8%)を記録し、日産「ノート」から首位を奪還する形で1位になりましたが、カローラも11万880台(前年比117.9%)となり、4位に浮上しています。
トヨタは、新型カローラシリーズが好評となっている理由について、次のように話します。
「スポーティな外装や上質な走りと乗り心地が好評点となっています。装備面では、ディスプレイオーディオを搭載した、スマートフォンとの連携でより身近になったコネクティッドサービス、そして自転車や夜間の歩行者検知が可能な最新の『Toyota Safety Sense』(全車標準装備)も好評です」
※ ※ ※
新型カローラシリーズの初期段階グレード別受注実績では、カローラの「S」グレードが約4割、カローラツーリングでは、上級グレードの「W×B」が約5割を占めています。
また、ディスプレイオーディオを搭載し、スマートフォンと連携することにより身近になったコネクティッドサービスなどのアクセサリー関係も好評のようです。
なかでも、自転車や夜間の歩行者検知が可能な最新の安全運転支援システム「Toyota Safety Sense」が全車標準装備となっている点に対する評価が高く、GからXグレードではオプションとなっている安全装備「インテリジェントクリアランスソナー」の装着率は、約8割にのぼります。
また、カローラシリーズの販売状況について、トヨタの販売店は次のように話します。
「新型カローラシリーズは、質感・乗り心地・装備・燃費など総合的に高評価を頂いているほか、先代モデルと比べてデザインに定評があります。
また、カローラの購入層は30代から40代の比較的若い子育て世代の夫婦が多い印象で、家族3人から4人で乗る機会が多いようです。
一方でツーリング購入者の年齢層は、20代から60代までと幅広く、広い荷室に荷物を乗せて出かけるアクティブな家族が多い印象を受けます。
最近は、ワゴンタイプの人気が低迷しているといわれていますが、カローラツーリングは、スポーティなスタイル、ワゴンならではの積載性、プリウス並の燃費ということもあり、アクティブなニーズを持つお客さまから支持されています」
※ ※ ※
また、新型カローラシリーズの購入者は、従来型カローラからの乗り換えだけでなく、先代プリウスや「カムリ」、「アリオン」など、ほかのトヨタ車からも多いといいます。
■先代モデルも併売で最強の布陣へ
先代モデルとなるカローラアクシオとカローラフィールダーは、引き続き販売されるており、新型モデルと併売する理由について、トヨタは次のように話します。
「法人のお客さまを含めた幅広いニーズに対応するために、先代モデルのカローラアクシオとカローラフィールダーは、設定グレードや一部の装備を見直して、引き続き販売します」
では、法人向けに残される先代モデルから新型モデルでは、どのような進化を遂げているのでしょうか。
両モデルのボディサイズを比較すると、セダンのカローラアクシオが全長4400mm×全幅1695mm×全高1460mm-1485mm。新型カローラは全長4495mm×全幅1745mm×全高1435mmです。
ワゴンのカローラフィールダーは、全長4400mm×全幅1695mm×全高1470mm-1500mm。新型カローラツーリングは全長4495mm×全幅1745mm×全高1460mmとなり、セダンとワゴンは5ナンバーサイズから3ナンバーサイズへと大型化しています。
また、ボディサイズは大きくなりつつも、最小回転半径は、従来モデルと同等の5mを実現(16インチ、17インチタイヤ装着車は5.3m)。
パワートレインにおいては、先代モデルにはガソリン車(2WD/4WD・1.5リッター)、ハイブリッド車(2WD・1.5リッター+モーター)の2種類が設定され、ガソリン車にはMT仕様もラインナップされていました。
新型モデルのパワートレインは、先代モデル(ガソリン車/ハイブリッド車)に設定されていた1.5リッターエンジンから1.8リッターエンジンに変更されています。
また、ハイブリッド車では「E-Four(電気式4WDシステム)」を設定することで、加速時や雪道などの滑りやすい場面で走行安定性と低燃費に貢献。
さらに、カローラスポーツに設定されている1.2リッターガソリンターボエンジン(6速MT)の設定もあり、全3種類のパワートレインが設定されました。
前出の販売店は、先代カローラシリーズについて、次のように話します。
「メーカーからのアナウンスがあったように、新旧モデルで併売はされているものの、ほとんどは法人が社用車として使うというケースです。
しかし、新旧を比較検討されているお客さまは一定数いらっしゃいます。家の駐車スペースの関係で5ナンバーサイズに限られる場合や、年配者であればシンプルな操作性の方が良いといわれる人もいます」
※ ※ ※
このように現在のカローラシリーズには、カローラ/カローラツーリング/カローラスポーツに加え、先代モデルとなるカローラアクシオ/カローラフィールダーがラインナップされていることになります。
前述の登録車販売台数ランキングの統計方法は、「国産メーカーの同一車名を合算したもの」です。
そのため、カローラでは新旧を含む5車種でカローラの販売台数の合算となります。対して、プリウスは「プリウス+プリウスPHV+プリウスα」となるため、この部分でプリウスが不利な面もあります。
しかし、かつてのカローラの勢いが巻き返しているのは事実です。とくに、2020年5月からトヨタは全店で全車を扱うとアナウンスしています。
これまで、カローラはおもに「カローラ店」のみの扱いでしたが、今後は全国約5000店の全系列店で販売されるため、2020年はプリウスから「トヨタの看板車種」の座を奪還できるかもしれません。
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