初回 コンパクトクロスオーバーのPHEV
text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
【画像】プラグイン・ハイブリッドと純EVのボルボXC40 全47枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
見慣れた普通のXC40と同じに見えるが、近未来につながる技術を載せている。ボルボという自動車メーカーが今どこにいて、どこを目指しているのかを示している。電気自動車へ移行する途中の姿を映し出したものともいえる。
早速モデル名から確認していこう。ボルボXC40 リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5 インスクリプション・プロ。ちょっと長い。
ボルボの成長を支えるSUVのラインナップを完成させた、コンパクトモデルがXC40。ジーリー・ホールディング・グループの傘下となって、初めて開発されたモデルでもある。
XC40自体は登場からすでに数年が経過しているが、今回長期テストとして迎えた理由は、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)だから。180psの1.5L 3気筒ターボガソリン・エンジンに、81psの電気モーターが組み合わされている。
ボルボのすべてのモデルで、PHEVが選べるようになっている。欧州では自動車のCO2排出量削減が求められており、ボルボにはPHEVの販売で数値を低く抑える目的もある。
つづいて、リチャージ。これはボルボが掲げる、PHEVか純EVに与えられるサブブランド名。PHEVの場合、従来まではツインエンジンと呼ばれていたものが改められた。
このXC40は、リチャージというサブブランドを名乗る最初のモデルになる。2021年後半には、純EVのXC40 リチャージP8が英国で発売される予定だ。
ボルボは、2025年までに販売するクルマの半数を純EVに、残り半数をPHEVにする計画を進めている。今後、多くのリチャージが登場するだろう。
自宅の充電器なしでPHEVと暮らす
その目標達成には、今後5年間で毎年のようにボルボは新しい純EVを発売しなければならない。同時に、充電施設の充実やバッテリーの生産コスト低下、公共交通での純EVの需要増加など、ボルボ以外の側面も重要になってくる。
XC40 リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5は、2021年のボルボと自動車業界にピッタリのクルマだといえる。純EVの抱える充電や航続距離といった課題に悩まず、電気モーターの恩恵を受けることができる。
アウディやBMW、メルセデス・ベンツなど、ライバルブランドからもPHEVのSUVはリリースされ始めている。ボルボはその引き金を引いたと、自信を見せているようだ。その仕上がりを、長期テストで確かめてみたい。
過去にPHEVのメルセデス・ベンツE 300 deを長期テスト車にした時は、7kWhの家庭用充電器も導入した。筆者はロンドン郊外のミドルセックスの自宅と、英国西部のサマセットの実家が拠点。だが今回は自宅に充電器を導入する計画はない。
ミドルセックスの自宅には、場所の固定した駐車場がない。母は、実家に充電器を設置することを拒んでいる。
XC40 リチャージのメリットを最大に生かせる環境ではない。でも賃貸住宅に住む人など、PHEVや純EVへの一歩を踏み出すドライバーの多くが直面する課題だと思う。
公共の充電器のみを利用して、PHEVの長所を活かせるだろうか。長期テストで確かめたい課題の1つといえる。
トップグレードのインスクリプション
インスクリプションはトリムグレードで、英国のXC40ではトップグレードに当たる。ギアセレクターには、スウェーデンのガラスメーカー、オレフォス社のクリスタルガラスが用いられている。筆者の惹かれる部分の1つ。
それだけでなく、19インチのアルミホイールにレザー内装、ウッドパネル、12.3インチのインフォテインメント・システム用タッチモニターなどが奢られおる。加えてボルボらしく、360度カメラや、多彩な運転支援システムなども装備される。
ほかにもプライバシーガラスにパノラミック・グラスルーフ、パワーテールゲート、ヒートシータ、ハーマン・カードン社製のオーディオシステムなども搭載。スマートフォンのワイヤレス充電機能も付いている。
これらの装備と引き換えに、英国価格は4万2305ポンド(634万円)から4万8255ポンド(723万円)へ上昇した。エントリーモデルの3気筒ガソリンを積むXC40 T2なら、英国では2万5295ポンド(379万円)で購入できる。かなりの差だ。
リチャージのカタログ上の燃費は47.6km/Lと優れ、CO2の排出量も少ないから英国では税制面でも有利。だが、この価格差に納得できるほど経済的なメリットは得られるだろうか。
最初の印象は全体的にポジティブ。快適で運転しやすい。PHEVのパワートレインも印象的に良い。電気モーターだけでの走行はとても穏やか。エンジンが始動する時も、滑らかに完了する。
ボルボの未来を推し測る
いまのところ、自宅の玄関に近いコンセントから長いコードを伸ばして、充電ケーブルをつないでいる。ちょっと格好は良くないし、理想的な方法でもない。
PHEVは純EVへシフトするための、暫定的な技術だといえる。ボルボの未来を推し測るXC40 リチャージの実力を、時間をかけて確かめていきたい。
セカンドオピニオン
ボルボXC40の見た目に惹かれたわたしは、プレミアム・コンパクトSUVの選択肢の最上位に位置づけた。半年ほど前にガソリンエンジンのT4を購入し、一緒に暮らしている。
価格は安くなかった。PHEVなら、一層高い。だが電気モーターの走りを好む上級モデルのドライバーなら、リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5の方を選ぶだろう。わたしのXC40との比較が楽しみだ。 Rachel Burgess(レイチェル・バージェス)
テストデータ
テスト車について
モデル名:ボルボXC40 リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5 インスクリプション・プロ(英国仕様)
新車価格:4万2305ポンド(634万円)
テスト車の価格:4万8255ポンド(723万円)
オプション装備
ゼニアム・パッケージ:1600ポンド(24万円)
インテリセーフ・プロ・パッケージ:1500ポンド(22万5000円)
メタリック塗装:575ポンド(8万6000円)
センサス・コネクト&ハーマン・カードン・ステレオ:550ポンド(8万3000円)
コンビニエンス・パッケージ:400ポンド(6万円)
プライバシーガラス:350ポンド(5万3000円)
ウインタープラス・パッケージ:300ポンド(4万5000円)
スマートフォン接続機能:300ポンド(4万5000円)
ワイヤレス充電機能:175ポンド(2万6000円)
スペアタイヤ:150ポンド(2万3000円)
モード3充電ケーブル:50ポンド(8000円)
テストの記録
燃費:27.7km/L
故障:なし
出費:なし
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みんなのコメント
下位グレードとはいえ、ボルボは最低必要なオプションと安全装備は全て標準だからかなりお買い得だろう。
日本でも補助金などで、PHEVやBEVがこのくらいの価格で買えないと普及は難しいだろうね。
アパートやマンション暮らしが多いから家庭充電はできないだろうし。