■「シエンタ クロスオーバー」が人気のワケ
トヨタの小型ミニバン「シエンタ」は、全長4.26mで5ナンバーというコンパクトサイズながらも、3列シートが実現しています。2024年度上半期(4~9月)には5万8645台を販売し、登録車販売台数ランキングで第4位という大人気モデルとなっています。
【画像】超カッコいい!? これがトヨタ「シエンタ“クロスオーバー”」の全貌です
いっぽう、シエンタの最大のライバルである、ホンダのコンパクトミニバン「フリード」は、2024年6月に約8年ぶりにフルモデルチェンジ、発売後1カ月で約3万8000台の受注を記録、こちらも人気を博しています。
新型フリードには、SUVタイプの「CROSSTAR(クロスター)」が設定され、販売構成比で約4分の1という人気ぶりです。
対するシエンタには、SUVタイプのモデル設定はありません。ちなみに「アクア」の先代モデルには、SUVタイプの「クロスオーバー」が設定され、一定の人気を集めていました。
そうしたことから、「シエンタにもSUVを設定して欲しい」という声がSNSなどで上がっています。SUVタイプの「シエンタ クロスオーバー」が設定されれば、売れそうなものです。
実は台湾では、シエンタのSUV版が販売されています。その名もまさに「シエンタ クロスオーバー」で、2020年12月にデビューしています。
台湾トヨタで販売されているシエンタ クロスオーバーは、日本市場では先代に当たる2代目シエンタがベースになっています。というのも、台湾市場では、現在も2代目シエンタが販売されているからです。
台湾版シエンタは、日本市場向け仕様とは異なり、最高出力140PS・最大トルク17.5kg-mを発生する直列4気筒1.8リッターガソリンエンジン+CVTというパワートレインが設定されています。2WD車の単独展開です。
そのほかは基本的に日本市場向け仕様に準じており、「2列シート5人乗り」と「3列シート7人乗り」の2種類が設定されていることも同じです。
台湾でのMPV(ミニバン)カテゴリーでは販売台数首位を記録する人気のモデルとなっています。
■かっこよ!「シエンタ クロスオーバー」は何が違う?
では「シエンタ クロスオーバー」は、通常のモデルと何が異なっているのでしょうか。まず最低地上高が高くなっていて、アルミホイールは標準モデルの15インチに対し16インチを採用しています。
エクステリアでは、フロントグリルはブラックアウトされ、シルバーのロアガードが追加されています。また、グリル下部からバンバーのサイドまでブラックの樹脂で覆われてワイルドな顔つきになっています。
ボディサイドもブラックの樹脂製ロアガードで前輪からリアバンパーまで繋げられています。また、ルーフはブラックアウトされ全体的に精悍なイメージでまとめられています。
リアエンドは、フロントから繋がるようにデザインされたブラックの樹脂製バンパーと、シルバーのロアガードで引き締められています。
インテリアは標準モデルと同じものとなっている様子で、標準モデルと同じく2列シート5人乗りと3列シート7人乗りが設定されています。
車両価格は、標準モデルが76万2000台湾ドル(約361万円)から90万2000台湾ドル(約427万円)、クロスオーバー5人乗りが79万2000台湾ドル(約375万円)、7人乗りが94万2000台湾ドル(約450万円)となっています。
日本のシエンタより高くなっているのは、台湾の関税や消費税が高いことに加え、市場規模が小さく販売コストが高くなること、クルマを持つことのステータス性が高く、ディーラーがブランドイメージを保って高い利益を確保するというマーケット事情が影響しているからです。
ちなみに台湾トヨタでは、ほかにもコンパクトセダン「VIOS(ヴィオス)」、ミドルセダン「ALTIS(アルティス)」&「アルティス GR SPORT」、新型「カムリ」といった日本市場未発売のモデルが販売されています。
日本の現行シエンタにもSUVモデルを追加して欲しいという声がネット上などで見られますが、今のところクロスオーバーモデルが発売されるという情報は入ってきていません。今後の動向に注目です。
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