2024年末にはハンガリーでプレ・シリーズの生産を開始するというBMW、高い基準で可能な限り資源効率の高い生産を実現
BMWグループのデブレツェン工場の稼働が、具体化しつつある。最新鋭の塗装工場は、ハンガリーの新しい生産拠点に導入される最初の技術である。パワー・トゥ・ヒート、ヒート・グリッド、eRTOなど、さまざまな新しいプロセスやシステムの採用により、デブレツェンの工場は、BMWグループのグローバルな生産ネットワークの中で、化石燃料を一切使用せずに操業する初の塗装工場となる。
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2024年末にノイエ・クラッセのプレ・シリーズ生産が開始されるデブレツェンの新拠点は「BMW iFACTORY」の原則に基づく将来のすべての工場に青写真を示すものである。
デブレツェンの新しい塗装工場は、完全自動化された塗装工程で1時間当たり30台の車体を塗装できるように設計されている。この能力は、後日大幅に向上させることができる。設置には「BMW iX1」の車体が使用される。
この最先端のシステムは、生産ネットワーク内の既存の専門知識を活用して開発・計画された。33,000平方mの敷地面積を持つ3階建ての塗装工場ビルは、近代的な生産に十分な作業スペースを提供している。
【写真15枚】熱電併給プロセスにより、ガス・フリーの塗装作業を実現
パワートゥヒートでカーボンフットプリントを大幅に削減
天然ガスなどの化石燃料を使用せずにデブレツェンの塗装工場を運営するには、パワー・トゥ・ヒートの原理が不可欠だ。塗装に必要なすべてのオーブンやその他の工程は、従来のように天然ガスではなく、すべて電気で稼働するという。
この原則により、天然ガスを使用しないため電力消費量は増加するものの、塗装工場の二酸化炭素排出量は大幅に削減される。デブレツェンでは、生産に必要な外部電力を再生可能エネルギーのみから得ている。
ヒート・グリッドでさらに10%の省エネを達成
ヒートグリッドのエネルギー効率化プロジェクトは、新塗装工場の計画段階で実施され、成功を収めている。この革新的なコンセプトは、効率的なエネルギー回収のためのいくつかの手段を組み合わせることで、最大10%のさらなるエネルギー削減を可能にした。
このプロジェクトの中心は、圧縮空気供給、乾燥オーブン、冷却システムからの廃熱を集約する大型の多価蓄熱ボイラーである。この廃熱は、水回路の予熱に利用される。
デブレツェンのもうひとつの特徴は、システム全体がわずか摂氏65度の給湯温度で運転されることである。この温水は塗装工場のホール換気システムに供給され、スプレーブース内のプロセス温度22℃、湿度60-65%の安定した状態を維持している。
革新的なeRTOプロセスでの排気浄化
eRTOとは「electric Regenerative Thermal Oxidation(電気再生熱酸化)」の略で、塗装工場からの排気を摂氏800~1,000度の温度で浄化するプロセスで、従来とは異なり電気のみで作動する。浄化プロセスでは、排気はセラミックベッドを通過し、残留溶剤が燃焼される。
そのためには、空気を短時間で高温にする必要がある。eRTOシステムは、熱回収率が高く、熱がシステム内に効果的に保持されるため、非常に高いエネルギー効率を実現できるという。
完全に自動化された乾式分離
ほかの多くのBMWグループ拠点と同様、デブレツェンの新しい塗装工場でも、環境に優しい最新の乾式分離技術が採用されている。スプレー・ブースでボディに付着しなかった塗料のオーバースプレーはすべて濾過され、石灰石の粉末と混合される。これにより、水の消費量が大幅に削減され、スプレーブースは最大90%の再循環空気で運転できる。
つまり、温度調節と加湿が必要な空気は100%ではなく、わずか10%になり、大幅なエネルギー節約につながる。また、使用済みの石粉は、以前のウェット・スクラビング法のように汚染された廃水として廃棄する必要がなく、材料ループに戻して、たとえばセメント産業で再利用することができる。
包括的なデジタル化
ヒートグリッドやeRTOといった革新的な技術とともに、包括的なデジタル化もデブレツェンの新塗装工場の高い効率性に貢献している。たとえば、完全に自動化されたドライバーレスのAGV(無人搬送車)が、車体を各作業に運んでいる。
さらに、人工知能を活用して塗装後の凹凸を検出し、後処理が必要な箇所を特定する自動表面検査(AOI)も採用されている。塗装工場の計画はバーチャルで実施された。これにより、実際の建設が始まる前に、構造計画をバーチャルでテストすることができた。従業員向けの事前研修もバーチャルで行われた。
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