3月12~13日、岡山国際サーキットで行われたスーパーGT公式テスト。2022年に新たに参戦するSHADE RACINGは、平中克幸と清水英志郎のふたりがシェイドレーシング GR86 GTをドライブし、2日間で197周を走破。ノートラブルで初めての公式テストを締めくくった。
これまでスーパー耐久で活躍してきたSHADE RACINGは、2020年からスーパーGTへの参戦構想を開始。aprが製作したトヨタGR86を使い、2022年のスーパーGT参戦を果たすことになった。1月の東京オートサロンで平中と清水のふたりがドライブすること、ダンロップタイヤ使用を発表し、その後も着々と準備を整え、3月8日には岡山でシェイクダウンを実施。ノートラブルで公式テストに臨んだ。
【タイム結果】スーパーGT岡山公式テスト 3月13日午後 セッション4
チームにとっては初めての公式テスト参加となったが、初日は総合12番手、2日目は総合7番手と好タイムをマークしただけでなく、合計で197周を走りノートラブル。充実のテストを終えることになった。
「楽しかったですよ。スーパー耐久でずっとやっているチームで、スーパーGTではメカニックは変わったりしていますが、慣れ親しんでいるチームですから」というのは、エースとして期待がかかる平中だ。
「初めてのクルマでしたが、順調にテストは進んだと思います。クルマもトラブルフリーでしたし、セッティングも進められたと思います」
一方、チームメイトとなる清水は初めてのスーパーGT公式テスト。ただ、直前に行われたシェイクダウンでのドライブ経験が大きかったという。「シェイクダウンで初めてドライブできたのが良かったです。GT500車両もおらず、はじめにしっかりとドライブに集中できたので、公式テストでもプレッシャーとかは少なかったです」と清水は振り返った。
ただ、公式テストではGT500とも混走しなければならない。「昨年スーパー耐久でもST-4クラスで出場していたので、抜かれる経験はあったのですが、速度差がこちらの方がすごいですね」と清水も驚いたようではあったが、「2日間でかなり雰囲気は分かってきたような気がします」と十分慣れることができたという。
そんな清水に対しては、平中も「シェイクダウンから『絶対に壊すな』とずっと言っているので。『速く走らなくていい』と言えば速く走らないですし、そのなかでクルマの限界を掴んでタイムを上げればいいと言っています。そのとおりにやってきてくれています」と高評価だ。
「若いと何も考えずアクセル全開でガーンと行きそうじゃないですか。僕がそうだったんですが(笑)、彼はそういうタイプではなさそうです。公式テストなら、そのなかでしっかり組み立ててやれば迷うこともないと思いますし、良い経験ができたのではないでしょうか」
■長年親しんだチームを離れた平中の覚悟
そんな平中は、長年GAINERで戦ってきた。グレーとレッド、そしてカーナンバー11は彼のトレードマークのようなものだった。スーパー耐久ではSHADE RACINGの一員として戦ってきたためホワイトとブルー、グリーンのカラーリングに違和感はないが、やはりスーパーGTでは別。平中自身も「最初、ホントにモニターでカーナンバー『11』を目で追ってました。『あれ、違うぞ』みたいな(笑)」と笑う。
「あとは、アウトラップで11号車が走ってきたときには、やっぱり新鮮でした」
さらに言えば、平中にとってはGT300規定車両で戦うのは、なんと2009年のフェラーリF430(GAINER製作)以来となる。「それ以来ですが、すごく面白かったです」とシェイドレーシング GR86 GTをドライブした感想を語った平中。
「でも、(GT300規定車両は)攻めないとタイムが出ないんです。なので、攻められるクルマに仕上げなければいけない。それが再確認できた公式テストでした」
今季、SHADE RACINGはスーパーGT初挑戦。初年度の目標について平中は「開幕戦はしっかり完走して、できればポイントが獲れればいいと思っています。でもシーズンを通じて、どこかで表彰台に登れるようにしたいですし、やはり優勝は意識しなければいけません。そこを目指さなければレースではないですから。まあ、そこを目指しても勝てない人たちがほとんどなんですが(笑)」と語った。
「真っ新なチームなので、毎レース進歩していきたいですね」
そして清水も「今シーズンは、獲れるときに絶対に優勝を獲りたいですね。それがチームの目標でもあるので。まずは表彰台に立てるように頑張っていきたいと思います」と意気込んだ。
ちなみに取材したあと、平中と清水にSHADE RACINGのロゴが入った名刺をもらった。平中のものには肩書きが入っていた。
「副代表/レーシングドライバー 平中克幸」
つまり平中は、チームの副代表でもある。「骨を埋める覚悟」での移籍ということだ。新チームではあるが、平中をはじめその実力がたしかなものが集まっているチーム。ライバルたちも侮れないところだろう。
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