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新型ルノー・カングー 日本の路上で初試乗!  もはや日本仕様が欧州仕様を超えている理由

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新型ルノー・カングー 日本の路上で初試乗!  もはや日本仕様が欧州仕様を超えている理由

好調ルノーにカングー加わる

じつは日本でルノーが絶好調だ。昨年は8615台を販売した。

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2022年は先代カングーがカタログ落ちし、屋台骨の1つにして体育会銘柄のルノー・スポールもアルピーヌに発展的吸収され、ルーテシアR.S.とメガーヌR.S.がともにモデルライフ終盤を迎えていたにも関わらず。

それだけアルカナにキャプチャー、ルーテシア、トゥインゴといった「フツーのルノー」が、日本市場でコンスタントに売れるようになった裏返しといえる。

そして今回、満を持して虎の子の、新型カングーを投入する。試乗して確信したことだが、MPVとしてリュドスパスとして、日本仕様カングーはもはや欧州仕様を超えた出来映えだった。

というのも、初代カングーは90年代末から約10年、先代カングーこと2代目は2009年から2023年まで丸14年ものモデルライフを誇った超長寿モデルだった。

カングー1と同2が「商用車を乗用車風に改めた」という、オマケかサープラス感覚だったのに対し、今次のカングーのコンセプトは最初から「商用と乗用のハイブリッド」という半々の感覚。

どちらが優先ではなく、ルノー日産三菱アライアンスのCMF-CDプラットフォームを用いて、いずれも重視するという欲張り方向だった。

生産は北仏、モブージュ工場で、じつは日産NV200やメルセデスのTクラスと同じラインで仕上げられてくる。

走らせる前に発見した魅力は

新型カングーはレベル2相当のADASやスマホとの接続性、居住性や快適性については、乗用車レベルとして遜色ない。

一方で、走行距離が嵩みやすくドアの開閉頻度も多い商用車ベースらしく、堅牢性や信頼性に係る部分は並の乗用車の比ではない厳しいテストを経ている。平たくいえば、14年の間により厳しさを増したユーロNCAPや、今どきのユーザーに求められる利便性装備に、小手先でなく骨太対応している。具体的には、車軸を担うサスペンションメンバーはエスパスから流用し、フロントメンバーも追加して、前車軸周りを強化。リアのトーションビームも新たに開発し、足まわりのストローク量は従来モデル同等を確保しつつ、ロールを抑える方向という。

またヘッドランプはすべてのグレードでLEDライトを採用し、ロングライフと省電力/省燃費かつ照射範囲の明るさ/広さを各段に向上させている。

室内で目につく点としては、スライドドア開口部はきもち広がりつつ、Bピラーが太くなってスライドドアのキャッチ周りの造りがゴツい。

またダッシュボードは近年のルノー車に共通する緩やかなSを描くタイプで、バイゾーン・エアコンの3連ダイヤルのクローム使いなど、商用車離れした質感を誇る。

広々したハコの空間ながらスライドドアを閉じた時の気密性は、国産のミニバン辺りと比べると、木造住宅と今どきの断熱住宅ほどの違いを感じるかもしれない。

ちなみに試乗日は極寒だったので分厚い手袋をはめていたが、ドアハンドルやおもな操作ボタン類の扱い易さは、さすが欧州のLCV(ライト・コマーシャル・ヴィークル、小型商用車のこと)出身といえる。

日本仕様は「別注」なのだ!

ところで新型カングーは3種類のグレード、「インテンス」「クレアティフ」「ゼン(受注生産)」で用意される。

前2者の装備面の違いはフォグランプのコーナリング機能の有無、ドアミラーランプのLEDかバルブかといった程度だ。

基本的にはボディ同色でホイールカバーがフルキャップの仕様か、ウレタンバンパー&スチールホイールにハーフキャップという商用車風レトロフィットをあえて施した仕様、という外観の違いだ。

細かなところではクレアティフの方は、スライドドアレールやドアハンドルもボディ同色ではなく黒く仕上げられている。

いずれも、フランスのルノー本社に日本のカングー・カルチャーが理解されているからこそ可能になった、「ジャポン別注仕様」というべきもの。

リアドアが跳ね上げ式のハッチバックではなく、ガラス窓の観音開きダブルドアという点も、日本仕様のオリジナル・ディティールだ。各ドアの上下に、総計4つのキャッチがまるで同じ型で向きだけ異なる点も、なかなか滋味深い。ちなみに本国でダブルドアは今のところパネルバンのみが採用している。

また日本で人気かつクレアティフのイメージカラーであるイエローボディは、本家だったフランスの郵便局「ラ・ポスト(最後のeは発音しないのでラ・ポステではない)」も、今やリセールに有利な白ボディにシート貼りのロゴとなっているとか。

本気で合理性だけ突き詰めると味気ない、のだ。

日本仕様 美点は乗り心地に

それにしても日本仕様の最大の美点は、205/60R16というハイトの高いタイヤで、走りもキチンと商用車フィットされた点にある。

カングーの本国仕様は、足元もこだわって思い切り乗用車に寄せたがゆえの選択だろう、17インチアルミホイール仕様で205/55R17を履いている。銘柄はいずれもコンチネンタルのエコ・コンタクトでエクストラロード仕様だ。

欧州仕様に乗った時も、足がとりわけ硬いと感じたことはなかったが、郊外路から住宅街、高速道路まで、ハイトの高い16インチタイヤは日本の道路と速度域には、ドンズバにハマっていた。低速域から高速域まで、一貫して乗り心地が柔らかなのだ。

下りのコーナーで荒れた路肩に片側だけそれなりの速度で乗り上げても、ステアリングの舵の効きや進路が外乱で乱されることなく、トトンと軽快に吸い込んで、何事もなかったかのごとくクリアしてしまう。

静粛性や動的な快適性という点でも、厚みを増したガラスや遮音材、制動フィールが著しく向上したブレーキやボディ剛性の強化によって、先代カングー2から長足の進化を遂げている。

強いていえば、高速コーナーをビターっと曲がっていく際の安定感、修正舵の不要さといった辺りでは、欧州仕様にやや軍配が上がるが、それは車の違いではなく、純粋にタイヤサイズの醸すニュアンス程度。

先に述べたような、手袋をしたままでも扱い易いほっこりタッチでありながら、ロールや操舵を微妙な感覚で追い込める独特の調律具合は、凡百のハイトワゴンやミニバンが束になっても適わない、カングーならではの動的質感というか、優れたツールだけが使う者に与えられる「使う喜び」だ。

個人的にオプションとして付けたくなるのは、サイドバー収納式のルーフレールと、メーターバイザー脇のヘックス穴に差すスマホのホルダーだ。

1.5Lディーゼル/1.2Lガソリン

悩ましいのは、1.5Lディーゼルと1.2Lガソリンのどちらを選ぶか。いずれも7速EDCが組み合わされ、前者の方は図太い低速トルクとケンカしないよう、発進時の踏み込み始めの反応が、かなり丸められている。

日常的にストップ&ゴーが多くて長距離移動はたまに程度、といった乗り方でファーストカーとして選ぶなら、レスポンスに優れ、パワー感のスムーズなガソリンの方に分がある。逆に、週末や休日に荷物も乗員も満載で、長距離や都市間移動を頻繁にこなすなら、トルクフルなディーゼルがいいだろう。

車両重量についてもガソリンが1590kgに対しディーゼルが1650kgと、90kgしか差はなく、積載可能重量も変わらない。価格面ではギリギリ400万円アンダーに設定されたガソリンに対し、ディーゼルは24万円高となる。

欠点がないわけではない。6:4分割式の2列目シートは荷室床面とフルフラットにできるが、本国仕様にはあった助手席の座面スライド&シートバック前屈機能は、認証コストの関係で見送られた。

つまり1名乗車で荷室を3500Lまで最大化するモードは省かれ、2列目を倒しての2名乗車時に最大の荷室容量で、2800Lということだ。それでも先代比+115Lもあるし、助手席のシートバックを後ろに倒せば長物も積めないことはない。

それよりも乗車人数分のUSBが備わったこと、あるいは緊急ブレーキアシストや死角にいる他車を感知してステアリング介入するブラインドスポットインターベンションなどの実戦的なADASが充実したこと。そちらの方が、乗用車モデルとして意義は大きいはずだ。

ちなみにプルミエールエディションはクレアティフと同一仕様だが、本来はインテンスでしか選べない3色のボディカラーによるウレタンバンパー&鉄っちん仕様なので、早めのオーダーをお勧めする。

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みんなのコメント

10件
  • 日本人は買わないクセにうるせぇからな
  • 日本仕様は欧州仕様を遥かに超えたとの記事だが、
    価格も欧州仕様より遥かに高額。超えて当たり前。
    そもそもこの手の記事は欧州車をベタ褒めするが、
    このカングー、個人ユーザー向けの1.2ガソリン最安グレードでも395万ってアルファードより高い。
    売る時はフリードよりも安いのにね。
    メーカーからいくら貰ったのか知らないけど、
    専門家なら価格に見合った評価をしてもらいたい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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