現在再建中の三菱自動車だが、当時でいうRV戦略に成功したバブル崩壊直後には対照的にピンチに陥っていたホンダを「吸収するのでは?」という噂が流れるほどの勢いがあった時代もある。
若い世代だと三菱自動車が元気だった時代を知らない人もいるのかもしれない。そこで当記事では「地味ながら名車だった三菱車」を紹介していきたい。
“栄光なき名車たち”主役となれなかった悲劇の名車にスポットライトを当てる
文:永田恵一
写真:三菱自動車
【画像ギャラリー】地味ながらもファン多し!三菱の隠れた名車たち
■GTO(1990年)
1990年に登場したGTO。3.0LのNAと280馬力のツインターボエンジンをラインアップ
GTOはR32型スカイラインGT-RやZ32型フェアレディZ、初代NSXに続く当時の日本車最強280馬力軍団を形成したスポーツカー。
その成り立ちはラージクラスのエンジン横置きFF乗用車のディアマンテをベースにそれぞれ3L・V6のNAと280馬力ツインターボエンジンを搭載し、4WDとするというやや強引なものだった。そういった成り立ちだけにV6ツインターボの車重は1700kgと重く、スポーツカーというよりGTカーのキャラクターが強かったのも事実だ。
しかし、GTOに盛り込まれた可変式のマフラーやリアスポイラーといった新技術は将来につながるものだったことに加え、V6ツインターボで約400万円というコストパフォーマンスの高さなど、強いキャラクターが必要なこのジャンルにおいて多くはないにせよ熱狂的なファンもいた。
また、GTOは2001年までの11年間という長い生産期間において、MTの5速から6速化やよりスポーツ性を高めたMRでのAPロッキード製の6ポットブレーキキャリパーの採用といったブレーキの強化など、スポーツカーらしく改良を続けたモデルでもあった。
■初代RVR(1991年)
初代RVRはギャランをベースにした2列仕様のトールワゴン。実用性の高さから人気を集め、のちにクロスオーバーモデルや2Lターボ仕様が追加された
初代RVRは当時のギャランをベースにした2列シートのトールワゴンで、現代でいえばシエンタファンベースやフリード+に近いところがあるモデルだ。
初代RVRは左側のみのスライドドアの採用に加え、リアシートは2人掛け仕様(乗車定員4人)もあり、この仕様ではロングスライドが可能な点など、使い勝手の良さで人気車となった。
人気車となったこともあり、初代RVRにはクロスオーバーのキャラクターを持つスポーツギアや、前席頭上のルーフが電動開閉するオープンギア、2Lターボを搭載したハイパースポーツギアといったハイパワー版を追加するなど、個性豊かなバリエーションを拡充した楽しげなクルマだったことも印象に残る。
RVRのインテリア。後席はスライドが可能で、様々な用途に対応する
■FTO(1994年)
ミドルクラスのFFクーペとして1994年に登場したFTO。最速モデルGPXにはV6・2LのMIVECエンジンを搭載
1970年代のギャランクーペFTOの車名を使ったFTOは、当時のミラージュの基本コンポーネンツを使った、セリカ、シルビア、プレリュードのライバル車となるミドルクラスのFFクーペとして登場した。
スタイルはフロントマスクが同時期に登場したクーペフィアットを思わせるものだったのも事実だが、エンジンはライバル車が4気筒のところ、FTOは質感の高さを持つ2L・V6 NAエンジンを搭載。
さらにAT車は当時ポルシェくらいしかなかった学習機能とMTモードを持つインベックスIIだったことでも注目を集めた。
また、VTECに対抗する可変バルブタイミング機構MIVECで武装した200馬力の2L・V6 NAを搭載した最強モデルのGPXは、初代インテグラタイプRが登場するまで短期間ながら、日本車FF最速だった時期もあった。
■初代パジェロミニ(1994年)
初代パジェロミニ。パジェロをそのまま軽自動車に押し込めたパッケージングが注目を浴びた
初代パジェロミニは当時大人気だったパジェロを、デザインなどそのまま軽自動車に縮小するという見方によっては非常に単純明快なモデルとして登場。車名は一般公募で決まったものである。
初代パジェロミニのパワートレーンは4気筒のNAとターボという軽自動車としては贅沢なもので、特にAT車で高速道路をハイペースで走ると劣悪な燃費だったという。
駆動方式はFRと4WDがあり、悪路走破性はジムニーにこそ及ばないものの、軽さも生かし無敵に近かった。また初代パジェロミニはジムニーほどスパルタンな軽クロカンでなかったこともあり、スタイルや雰囲気でこの種のクルマに乗るという層からも支持された。
なお初代パジェロミニの初期モデルの最上級グレードは140万円前後で、オプションを満載にすると200万円近くなったのだが、初代パジェロミニは当時のパジェロのように豪華仕様が売れ、現代にも通じる軽自動車の高級化の先駆けにもなった。
パジェロミニからは現在のジムニーに対するジムニーシエラに相当する1.1L・4気筒エンジンを搭載し拡幅したパジェロイオも派生したのだが、2012年に絶版。今も復活が望まれている。
■ランサーエボリューションGT-A&ワゴン
ランエボVIIの5速AT仕様「GT-A」。AT用に最適化された2Lターボエンジンを積む
三菱自動車のシンボル的な存在として復活が望まれるランサーエボリューションからは2台紹介する。
1台目はエボリューションVIIだった頃に追加された5速ATの「GT-A」。MTと同じ2Lターボエンジンながら、AT用に中低速トルクを太らせたものとしたほか、小型のリアスポイラーも選べるなど大人向けのランサーエボリューションというキャラクターも備えていた。
ランサーエボリューションXのツインクラッチSSTやラグジュアリーな仕様の登場の布石となったようにも感じる。
2台目はエボリューションIXと“9.5”とも呼ばれるIXのMRに設定されたエボワゴンだ。
ランエボIXに設定された爆速ワゴン MR。ワゴンのボディは前後の重量バランスに優れており、走行性能でセダンに勝ることもあった
6速MT+リア機械式LSDという駆動系を持つ「GT」と、前述のATを組み合わせた「GT-A」の2グレードがあったエボワゴンは、ランサーエボリューションのセダンボディをステーションワゴンに変えたという成り立ち。
コーナーでの回頭性などはリアが重くなったことで結果的に前後重量配分が適正化され、ユーティリティだけでなく走りでもセダンに勝るところもあったという。
激速ステーションワゴンの1台だったエボワゴンは、マニアックな存在として記憶に留めたい存在だ。
◆ ◆ ◆
このほかにも三菱自動車は平成初期に5バルブエンジンを搭載したミニカダンガン、リーズナブルな本格3ナンバー車としてヒットした初代ディアマンテ、量産車としては世界初の直噴エンジンを搭載した8代目ギャランといったエポックメイキングなモデルをリリースしており、往年の三菱自動車を思い出させるワクワクドキドキするモデルがなるべく早期に登場する日を心待ちにしたい。
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