オールラウンド型を狙った中回転トルク重視のストリートスペック
快適性を犠牲にしないボディ剛性アップ術もポイント
「マツダワークスの技術が投入されたBスペックを知っているか?」NA型ロードスターの中でも特異な存在【ManiaxCars】
このBCNR33は、大阪府のライプが「ストリートを中心に、時には鈴鹿サーキットでのスポーツ走行を楽しみたい」というオーナーの要望に合わせて製作したチューンド。ストリートの中でも高速道路などでのハイスピードクルージングに的を絞るのではなく、いつでもどこでも発揮できる速さを目指しているのがポイントだ。
エンジンは腰下にトラスト87φピストン、H断面コンロッド、75.7mmストローククランクをセットして2.7L化。さらに東名パワードのプロカム(IN&EX270度)を組み込み、燃焼室やポートの加工、各部の精密な重量合わせなども抜かりなく実施している。
タービンには、高回転域にパワーバンドが移行しやすいビッグシングルではなく、あえてワンサイズ小さなTD07Sをセレクト。内部まできっちりと手の入ったエンジンと組み合わせることで、どんな状況からでも強烈な加速力を見せつけるハイレスポンス仕様を創出したのだ。ピークパワーは最大ブースト圧1.5時に612ps/68kgm。ストリートマシンとしては十分すぎる数値だ。
サージタンクはニスモ製をチョイス。気筒間の吸気量のばらつきを解消し、より高効率な吸気系作りの一端を担っている。また、気筒間の排気量や排気温度の差も小さくなるため、燃調や点火時期の最適化にも効果を発揮する。
性能に直結するものではないものの、フロントカバーやカムカバーにもオーナーとライプの拘りが詰まっている。カムカバーはRB20前期用を流用することでスマートなルックスに、フロントカバーの『RB27』表示はライプが金属パテで製作したものだ。
ハイパワーを発揮するエンジンに安定して燃料を供給するために、トランクルームにはコレクタータンクを設置。燃料ポンプはサードの235L/hを2機掛けし、メインインジェクターはサード製の700ccを使用している。
一方のサスペンションは、クァンタム製のT-5ダンパーを軸にセットアップ。スプリングはアイバッハでフロント12kg/mm、リヤ10kg/mmというレート設定だ。さらにアーム類には調整式を与えてアライメントの自由度を広げ、サスペンションに入力される負荷に対してリニアに足を動かすことを目的にフルピロ化済みだ。
ボディ各所にはリベット追加の他、サイドシルをはじめサイドメンバー、クロスメンバー、ピラーに至るまで発泡ウレタンを充填するなどの補強が行なわれている。
ロールケージ以外の手法でのボディ補強に拘ったため、室内はストリートカー然としたもの。限られた室内空間をロールケージで消費したくないというライプ有馬代表の考えによるものだ。内装類ももちろんフルで装着している。メーターはスタックに置き換えてデータを集中管理。また、ミッションにはOS技研の1~3速クロスギヤを組み込みステップ比も改善、滑らかで力強い加速を手に入れた。
ホイールは軽量&高剛性を誇る、ボルクレーシングTE37SLの10.5J×18を前後同サイズで装着。タイヤはハンコックのSタイヤ『ヴェンタスTD』の265/35R18サイズだ。
どの回転領域からでもトルクを引き出すことができる出力特性と、高剛性ボディによる高いトラクション性能を有するBCNR33。レーシングドライバー(和田久選手)が鈴鹿サーキットで試乗して2分20秒211をマークしており、今後はオーナーがそのタイムを目標にドライビングテクニックを磨きながら、ライプのもとでさらにマシンメイクの熟成を進めていくそうだ。
●取材協力:ライプ 大阪府八尾市高安町南6-3 TEL:072-996-1181
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ヘッドカバーやオイルフィラーキャップを見ると苦労が分かる。でもこういう事してないと、特に鈴鹿走ると油圧低下してブローするんですよ。