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 【ホンダ シビック タイプR】凄いクルマを普通に作る。ホンダの凄さはそこにある

掲載 更新 202
 【ホンダ シビック タイプR】凄いクルマを普通に作る。ホンダの凄さはそこにある

車の最新技術 [2022.10.23 UP]


 【ホンダ シビック タイプR】凄いクルマを普通に作る。ホンダの凄さはそこにある
文●ユニット・コンパス 写真●ホンダ

ホンダ タイプR発売30周年!記念企画開催【歴代モデル紹介あり】

 「世界最速のFF車」の名をかけて世界のライバルと競い続け、2022年8月に登場した10代目で見事その名誉を奪還したホンダ シビック タイプR。発表後は新車を求めてユーザーが殺到し、バックオーダーの長さでも人気を裏付けた。新型も間違いなく歴史に残る名車となりそうだ。
 今回、ホンダによる埼玉製作所 寄居完成車工場の見学ツアーに同行することができ、日本が誇るシビック タイプRがどのように生産されているのかを目の当たりにすることができたのでレポートしよう。


新型シビック タイプRはすべてが「メイド・イン・ジャパン」
 新型シビック タイプRが生産されているのは埼玉製作所の寄居完成車工場。先代は英国のスウィンドン工場で生産されていたが、新型は開発から生産まで日本で行われる「メイド・イン:ジャパン」モデル。より正確にいうと、エンジンはアメリカの工場で作られたものが小川エンジン工場に運ばれ、そこでトランスミッションと組み合わされたうえで寄居完成車工場へと運ばれる。
 クルマが完成するまでには、おおよそ3万点に近い部品が必要となるが、それらが最終組み立て工場である寄居完成車工場に集結し、車体へと組み付けられていくことになる。同工場は年間25万台の生産能力を持つという。

 寄居完成車工場では、以下の5つの工程でクルマが作られる。・プレス・溶接・塗装・車体組み立て・検査・出荷 鉄の板が巨大なプレス機のなかで形づくられ、溶接機によってクルマの形になっていく様は何度見てもワクワクする。寄居完成車工場は、工場をデザインする段階から外部の見学者に見られることを想定しており、その内部は非常に洗練され、動線も安全性と生産性を綿密に計算されている。大きな音はするものの、空調も整えられており、ほかのメーカーの工場と比べても働きやすそうな環境だ。環境といえば、2013年に稼働を開始したホンダ最新の工場だけあって、環境への配慮も最大限に行われているし、ここで培ったノウハウが世界中の工場へと展開されていく。まさにホンダの「マザーファクトリー」なのだ。


「タイプR」から学ぶホンダものづくりのこだわり

工場内にて説明を受ける取材陣
 話をシビック タイプRに戻そう。
 工場見学の目的は、ホンダが新型シビック タイプRを生み出すための裏話を、それに携わる人々から直接教えてもらうことにある。
 エンジニアは性能の目標値を決め、それを実現するために必要な車体構造を開発する。新型タイプRでいえばこうだ。
・専用のワイドタイヤをできるだけ車体外側に取り付けたい
 →専用フェンダーでトレッドを拡大
・サスペンションの能力を高めたい
 →専用フロントサスペンションの開発

 一方で、工場側の都合もある。生産工程をできるだけ標準車両、つまり普通のシビックと極力変えたくないのだ。専用の工程が増えれば増えるほど、生産効率は下がりコスト増となり、想定する販売価格が実現できなくなる。どう工夫すれば、最小限の手間で、高性能なクルマが作れるのか。そこにものづくりの難しさと醍醐味がある。
 寄居完成車工場としても、「タイプR」を担当することは名誉であり、やりがいのある仕事。だが、同時に発売までのスケジュールを守りながら、求められる高い品質を達成するのに非常に苦心したという。誇りとプレッシャーが同じくらい大きい、「タイプR」はそういう存在なのだと語る。

 たとえば専用フェンダー。太いタイヤを収めるために、ふくらませる形状にしたいのだが、それを実現するのも容易ではなかったという。別体のフェンダーアーチを取り付ければ簡単だが、それでは納得できない。どうにか、標準モデルのボディがふくらんだようなデザインを実現したいと工場側も奮起した。こうして生まれたのが、ホンダでもっとも深さのある「深絞り加工」だ。プレス工程そのものは、ほかのクルマと変えずに、型の形状などを工夫することで実現した。

 タイプRの鋭いコーナリングを支えるフロントサスペンション。デュアルアクシス・ストラットという専用形式が与えられたこれは、ナックルとダンパーが分離していることで、転舵軸に自由度が持たせられるメリットがある。
 性能面では大きなメリットのある形式だが、部品点数が多く、組み立てに時間がかかり、そのままでは通常の組み立てラインには組み込めない。そこで、工場の一角にフロントサスペンションの専用エリアを設け、フロントサスペンションをアッセンブリー状態に組み立て、その後に通常ラインに搬入することとした。
 実際の工程を見せてもらったが、2人1組で左右1対のフロントサスペンションを組み立てることで、精度面でもメリットを作り出せたという。モータースポーツの世界では、一人のメカが担当することで組み立て誤差を減らす努力をするが、量産品であるタイプRでもそれに近いことをやっているわけだ。

 完成後は、専門の担当者が1台1台、テストコースを走らせてフィーリング面の違和感をチェックするという新型シビック タイプR。工場見学を経て感じたのが、「世界最速」のクルマを普通の自動車とほぼ変わらない生産方法で作り上げているという驚き。もしも専用工場でシビック タイプRを作ったら、いまの販売価格は当然ながら実現できなかっただろう。
 凄いクルマを普通に作る。ホンダの凄さはそこにある。

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