好奇心旺盛なクルマ好きが選ぶ存在?
久しく、プジョー505は目にしていなかった。新車時代には100万台以上が売れたが、錆びやすいボディと積極的な買い替え戦略で、グレートブリテン島での生存数は少ない。
【画像】フランス人スター選手と一緒の気分? プジョー505 GTiと508 PSE 大きめの仏車たち 全116枚
発売から6年目を迎えた508も、頻繁に目撃するわけではない。しかも、バッテリーEVへの積極的な転換によって、英国では最近に販売が終了している。こちらも、徐々に珍しい存在へなっていくはず。
この土地で販売された508は、合計7000台ほど。その内、今回のプジョー・スポール・エンジニアード(PSE)仕様は155台だけ。美しいファストバックボディをまとうのは、さらに30%へ留まる。
同じ時期に、BMW 3シリーズは数万台という規模で売れている。小さくないフランス車は、2024年でも好奇心旺盛なクルマ好きが選ぶ存在なようだ。独創的な個性ゆえに。
508 PSEは、ブランドとしては珍しく、高性能であることを主張する。筆者の記憶の限り、ここ数年のプジョーへ「スポーツ」と関係する文字が与えられたことはなかった。1980年代の505 GTi以来、初めてではないだろうか。
今回ご登場願ったブラウン・シルバーの1台は、1983年式。オーナーはジョン・イヤーロン氏だ。祖父が新車で購入し、家族で乗り継いできたという。父がこの世を去り、彼が本格的にレストア。定期的に自動車イベントへ参加している。
イヤーロンは、息子の送迎に505 GTiを利用している。次世代へ受け継ぐ準備は、順調に進んでいるらしい。
量産プジョーで最速の508 PSE
505シリーズは、欧州では1978年から1992年まで生産された。世界各国の工場で作られ、優れた耐久性で多くの人から愛されてきた。
GTiより速い、ターボエンジンやV6エンジンの505も存在した。それでも、この3文字には特別な気持ちを抱いてしまう。2.2L 4気筒エンジンの最高出力は129psで、最大トルクは19.1kg-m。量産プジョー最後の、後輪駆動モデルとなる。
他方、508 PSEは量産プジョーで最速。1.6L 4気筒ガソリンターボエンジンに、2基の電気モーターが組まれたプラグイン・ハイブリッドで、360psと52.9kg-mを発揮する。
0-100km/h加速は5.2秒で、505 GTiの約半分の時間でこなす。
アダプティブダンパーの付くサスペンションとブレーキ、タイヤは、上昇した動力性能に合わせて強化済み。EVモードを指定すれば、リアアクスル側の駆動用モーターだけで走行可能。111psに限定されるものの、後輪駆動のプジョーを久しぶりに楽しめる。
PSEのシャシーは、高回転域で発揮されるパワーをしっかり受け止める。期待するほど速いわけではなく、落ち着いた雰囲気を大きく乱すこともないが。
小柄なボディ 乗り心地と操縦性のバランス
久しぶりの505 GTiは、運転が楽しい。フロントノーズが直感的に反応し、ステアリングホイールには明瞭に情報が伝わる。ボディロールは苦笑いするほど大きくても、コミュニケーション力に長け、カーブへ突っ込める。安定性も高い。
グレートブリテン島の一般道の最高速度、97km/h以下で思い切り楽しめる。現代のモデルでは得難い喜びだろう。5速MTの2速と3速を駆使して、全力を引き出せる。4気筒のザラ付いたノイズも、気分を盛り上げる。
路面と息を合わせるように、今では小柄なボディが流れ、運転席からの広い視界が自信を高める。衝突安全性は低くても、乗り心地と操縦性のバランスという、プジョー特有の強みを堪能できる。動力性能自慢でなくても、優れたクルマなことは明らかだ。
かたや508 PSEには弱点もあるが、見過ごせる程度。享受できる複層的な運転体験を知ると、スパイスの効いた電動のプジョーが登場することを、強く祈りたくなる。
パワーに不足はなく、素早く目的地を目指せる。ただし、コミュニケーション力は高くはない。ステアリングの反応は、少しクイックすぎる。それでもグリップバランスに優れ、臆することなく振り回せる。
基本的には前輪駆動がベース。BMW 340iのような楽しさはないが、積極的に運転すれば自然と笑顔になれる。
505 GTiでは何ごともない凹凸でも、508 PSEの20インチ・アルミホイールは衝撃を伝える。技術者の手で、サスペンションが引き締められた証拠でもある。
フランス出身のスター選手と一緒な気分
とはいえ、ワイドなミシュラン・パイロットスポーツ4Sタイヤを履くモデルとしては、落ち着きのある側。現実的に30kmほど電気だけで走れる能力は、1866kgある車重を納得させる。
エレクトリックかハイブリッド・モードなら、乗り心地は充分しなやか。エンジンが目覚めても、8速ATは機械任せが良い。カーブの入り口でシフトパドルを連続して弾いても、望んだ段数まで落ちない時がある。
プラグイン・ハイブリッドらしい、フラストレーションも伴う。プジョーRCZ Rには、269ps仕様の同じ4気筒エンジンが載っていた。508にもそれ単体で積まれていれば、きっと今以上にシャープなサルーンになったはず。
しかしそれでは、世界耐久選手権(WEC)を戦うプロトタイプレーサー、9X8のイメージを共有できない。重要なメッセージを伝えられない。
軽くて簡素な、505 GTi。対する508 PSEは重くて複雑だが、美しさでは勝るだろう。カナードの付いたエアロキットは華やかで、フレームレス・ウインドウがエキゾチックな雰囲気を生み出す。知る人ぞ知るプジョーだ。
筆者は508 PSEを1週間お借りしたが、頻繁に駐車場で声をかけられた。英国では新車で注文できなくなったが、勇気を出して手を伸ばしてみてはいかがだろう。フランス出身のスター選手と一緒にお出かけするような、少し特別な気分を味わえるはず。
プジョー505 GTiと508 PSE 2台のスペック
プジョー505 GTi (1983年式/英国仕様)
英国価格:1万5000ポンド(約291万円)以下
全長:4579mm
全幅:1737mm
全高:1424mm
最高速度:185km/h
0-100km/h加速:9.8秒
燃費:11.7km/L(予想)
CO2排出量:205g/km(予想)
車両重量:1235kg
パワートレイン:直列4気筒2165cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:129ps/5750rpm
最大トルク:19.1kg-m/4250rpm
ギアボックス:5速マニュアル(後輪駆動)
プジョー508 PSE(英国仕様)
英国価格:5万3975ポンド(約1047万円)
全長:4750mm
全幅:1859mm
全高:1403mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:5.2秒
燃費:56.1km/L
CO2排出量:45g/km
車両重量:1866kg
パワートレイン:直列4気筒1596cc ターボチャージャー+ツイン電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:11.5kWh
最高出力:360ps(システム総合)
最大トルク:52.9kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック/シングルスピード・リダクション(四輪駆動)
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