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ポルシェ718ボクスター購入顛末記 第24回──「交換して700kmしか走っていないリアタイヤが、パンクした」

掲載 更新 42
ポルシェ718ボクスター購入顛末記 第24回──「交換して700kmしか走っていないリアタイヤが、パンクした」

ポルシェ968ボクスターを718ボクスターに買い替えた『10年10万キロ・ストーリー」の著者・金子浩久によるボクスター日記の第24回は、交換したばかりのピレリのパンクにまつわる顛末をリポート。

パンク、した!

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新しいタイヤに履き替えた718ボクスターは、実に気持ちがいい。スポーツカーの命であるドライビングダイナミクスが活き活きと手のひらに、右足に、そして心身全体に伝わってくる。運転中にクルマから受ける五感がリフレッシュされた。

タイヤ交換後、箱根や川越を往復し、あとは都内の雑踏を走りながらでもピレリPゼロの履き心地を満喫していたら、大きな悲しみに見舞われたのである。

ガレージのシャッターを開けたら、様子がおかしい。クルマが傾いている。パレットの所定の位置には駐めたはずなのに、おかしい。近付いてみると、左のリアタイヤがペチャンコになっている。

「え~っ!?」

恥ずかし気もなく大きな声を出してしまった。

4本交換したのは、ついこの間のことではないか……。

前日に帰宅した時も、変わった様子はなく、何か起きると必ず警告を表示してくるタコメーターの右側のインフォメーションパネルにも何も表示されていなかった。

「いったい、何が起きたんだ!?」

ガレージは暗くて良く見えない。乗り込む時に左リアタイヤを見ると、空気が完全に抜けてしまっているから、ホイールのフチがタイヤのゴム一枚だけを介して地面に接し、クルマを支えている様子が痛々しく見えた。悲しくなってきた。

キーを差し込んで回し、システムをONにするとインフォメーションパネルには、「タイヤ要点検」と警告が現れ、その横のクルマのアイコンで左後輪が赤くなり、「ー2.1bar」と空気圧がマイナスであることを示していた。

パンクである。

何が原因でパンクしたのか?

運転席に座って思い出そうとしたが、何も思い浮かばない。昨晩もいつものルートで自宅に戻ってきて、途中で変わったこともなかった。自分のパレットを機械が動かして呼び出すのと、駐め終えてシャッターを閉めて施錠するのにそれぞれ数分ずつの時間を要するから、パンクしていたらその時点で何か気付いていたはずだ。

釈然としなかったが、事態を明らかにしなければならない。エンジンを掛け、ゆっくりと発進し、パレットから表に出した。

タイヤから空気がすべて抜け切ってしまったことはわかった。原因がわからない。タイヤそのものやホイール、あるいはサスペンションやボディなどは大丈夫なのだろうか?

疑心暗鬼になりながら、降りて、左後輪を見た。太さ3ミリはありそうな、折り曲げられた金属の棒の端がトレッドの外側部分に突き刺さっていた。釘やネジではなく、直径2センチくらいの弧を途中まで描きながら一方はタイヤに刺さり、もう一方はトレッド面に添っていた。その先端はニッパーのようなもので雑に切り落とされたような断面をしている。

その正体が何であるかはまったく想像はできなかった。ま、正体は何であっても構わない。ホイールに傷は付いていないから、他も大丈夫だろう。一方が尖った金属製の何かを帰宅中に踏んだことによるスローパンクチュアで間違いない。これで、だいぶ気が楽になった。

修理にチャレンジ?

さて、問題はそこからだ。パンクしたタイヤを交換しなければならないが、718ボクスターには最初からスペアタイヤは装備されていない。車載のパンク修理キットとブースターを使って修復し、一時的に短距離だけ走れるようにし、修理工場かタイヤショップでタイヤ交換を行わなければならない。

パンクしたタイヤをスペアタイヤと交換することは何度もやったことがあるけれども、修理キットとブースターを使うのは初めてだ。分厚いマニュアルを取り出して読み始めると、これが簡単なことではなさそうなことがわかってきた。

修理キットはフロントのトランクの右側の専用スペースの中に収まっていた。ブースターは、それより中央寄りのフードの中に固定されていた。フードは指で緩められるプラスチック製のネジで止められていたが、自分で開けたのは初めてだ。中にはバッテリーやエアフィルター、ウインドウ・ウォッシャーなどが収まっていた。四六時中開閉するところではないから、隙間から入り込んだホコリがうっすらと付着していた。

ふたたびマニュアルを取り出して、使用方法を確かめてみた。手順が多く、複雑で、簡単そうではない。うまくできたとしても、時速50km以上は出せないし、すぐに新品タイヤと交換しなければならない。そもそも、ピレリPゼロの在庫はあるのか?

ディーラーのポルシェセンター浦和に電話すると、718ボクスター用Pゼロの在庫はないという。取り寄せて装着することになるから時間が必要だ、と。その週は何件か、クルマで出掛けなければならない案件がすぐに控えていたから、タイヤは他から都合するなりしなければならないだろう。

「カネコさん、ご自分でパンク修理なさろうと考えているのですか?」

ちょうどマニュアルを読んでいるところだ、と答えるとフロントのS氏はキッパリと言い切った。ふだんは笑顔を絶やさない柔和なベテランフロントマンが、僕に初めて示した強い口調だった。

「ご自分で修理するのは止めた方がいいです。カネコさんのおクルマは、購入から3年以内でポルシェアシスタンスを無料で使えます。これからトラックで引き取りに行かせますから、待っていて下さい。絶対に、その方がいいですから」

スペアタイヤは不要なのか?

S氏がポルシェアシスタンスを強く勧めるのには無料ということ以外にも理由があった。パンク修理キットを使ってしまうと、ホイールやクルマ側の後始末が面倒臭いことになるからだった。パンク修理キットは、タイヤの中にボンドのようなものを大量に流し込んで穴を一時的に止めるのだが、そのタイヤを外した後にホイールをきれいに清掃しなければならないし、空気圧センサーも交換しなければならない。それらの手間と時間と費用が嵩んでしまうからだった。

いいことを教えてもらった。反対する理由はなく、トラックを待つことにした。ラッキーなことに、たまたま近くを走っていた契約業者のトラックと連絡が取れ、40分後には718ボクスターはそれに載せられてポルシェセンター浦和に向かったのだった。

もし自分でパンク修理キットを使って取り組んでいたら時間も掛かっただろうし、うまくできたかどうかもわからない。うまくいかなかったら、途中でS氏に電話を掛けて救援を呼ぶことになっただろう。それでは同じことだ。リスクだけ背負って、負担が増えて解決が遅くなっていたわけだ。S氏に助けられた。

ポルシェに限らず、これまでのようにスペアタイヤを積むのを止めて、パンク修理キットの装備で済ませているクルマは少なくない。

「少なくとも先進国では、パンクが起きる確率は減り続けているという統計データがあります。一度も使われないスペアタイヤを載せないことはエコにもつながります」

パンク修理キットを採用する理由を質問した相手がどこの自動車メーカーの開発者だったかも忘れてしまったくらい以前のことだったし、その後にパンク修理キットはどんどん一般化していったから、僕はメリットだけを認識していた。しかし、今回のパンクで、思い掛けなくそのデメリットもあやうく体験しそうになるところだった。それにしても、僕はどこで何を踏んだのだろう?

文と写真・金子浩久

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みんなのコメント

42件
  • 知りたかったのは
    パンク修理剤を使ったあと
    どれだけ大変だったかです。
  • 読んでて、「パンク修理剤なんて使ったらホイールまでグシャグシャに汚れてあとが大変になっちゃう」って思ったら、こういうオチでホッとしました。パンク修理剤なんて携帯通じない山中とかぐらいでしか使わない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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