この記事をまとめると
■新型プリウスのプロトタイプに試乗
新型プリウスの0-100km/h加速は6.7秒! どのぐらい凄いのかを調べたら「先代86」よりも速かった
■1.8リッターモデルと2リッターモデルはパワートレイン以外の違いも大きい
■燃費は1.8リッターのFFが一番いい
プロトタイプに富士スピードウェイのショートコースで試乗
「21世紀に間にあいました」というキャッチコピーで、1997年に世界初の量産型ハイブリッド(HV)車としてデビューしたプリウス。今回、フルモデルチェンジを受け5代目となる新型として披露された。第2世代となる新TNGAのプラットフォームにスタイリッシュなデザインのボディを纏い、そのフォルムが明らかとなるやいなや世界中のプリウスファンが感嘆の声を上げたに違いない。
今回、その新型プリウスのプロトタイプに試乗する機会を得た。
実際、目の前で新型プリウスを見てみると、写真を見て引きつけられたカッコいいボディデザインに一気に目も心も奪われる。大きく傾斜させられたフロントウインドウが特徴的で、エンジンフードの先端から一筆書きのような直線的なラインでルーフまで造形されている。その前衛的なフォルムが従来モデルのイメージを大きく修正し、「カッコいいプリウス」としてアピールしているのだ。
フロントウインドウから続くルーフラインは後席手前ほどで高さのピークを迎え、滑らかにリヤハッチへと続く。じつはプリウスは空気抵抗係数を最小化し燃費性能を高めるため、従来ルーフ高さのピークは運転席の頭頂部分としていた。そこから後方へ引き下げるデザインなため、後席のヘッドクリアランス確保は厳しい課題だった。
新型は、Cd値が多少悪化してもデザイン性を優先しルーフのピークを後方へ移したのだが、後席のヘッドクリアランスは外観から受けるイメージ以上に大きくなり、快適な居住性を得ることに成功した。一方で、燃費への影響を考慮し、車体床下の空気の流れを最適化。また、今回2リッターエンジン搭載車に設定される19インチのタイヤサイズ幅を195に抑えることでCd値×A(前面投影面積)を小さくすることとし、結果として従来モデルと同等の空気抵抗レベルに仕上げることに成功しているのだ。
パワートレインには2リッター直噴エンジンのD-4SにハイブリッドシステムとしてTHS IIを組み合わせた新パッケージがラインアップに加わり、1.8リッターポート噴射の直4+THS IIも継承されている。また、それぞれに後輪を駆動するリヤアクスルモーターを搭載したE-Fourの4WD車も設定され4つのパワートレインが用意されている。
システム出力は2リッターエンジン搭載車が196馬力、1.8リッターエンジン搭載車も140馬力と強化されていて、0-100km/h発進加速タイムはそれぞれ7.5秒(2リッターモデル)、9.3秒(1.8リッターモデル)と遂に10秒を破る速さが実現された。E-FourモデルもFFと同等の動力性能を誇り、かつ滑り易い路面での駆動力が強化される。E-Fourのリヤモーターは、今回から最高速域までアシスト可能な高回転高出力特性が与えられたことも特記すべきことだろう。
試乗会場は富士スピードウェイのショートコースだ。サーキットコースだが一般道を想定した速度域と走り方で実力を試してみた。
足まわりの印象は1.8リッターと2リッターで大きく異なる
いずれのモデルもEVモードで走り始め、静かでスムースな走り出しが可能。速度が高まり、あるいはアクセルを踏み増していくとエンジンが始動しハイブリッドモードへと移行する。エンジン始動時の振動は少なく、低回転ではノイズも上手く抑えられている。アクセルペダルがオルガン式に改められ、踏み心地の質感が高まったこと、微小な操作を行い易くなったことも好印象だ。
さらに速度を上げると2リッターはややエンジン音が大きく感じる。しかし音質はまろやかで、遮音材の塗布範囲を広めNVH性能を向上させた効果を実感できる。2リッターエンジンは低回転域を直噴でまわし低速トルクが豊なこともあり、回転数を抑えて走ることが可能だ。
1.8リッターはポート噴射のみなので高出力を引き出す際は高回転までまわっていく。それでもプリウスに乗り馴れた人ならずいぶんと静かになった、と感じられるはずだ。
サスペンションはフロント:ストラット、リヤ:ダブルウイッシュボーン式だが、ショックブソーバのチューニングを最適化し、1.8リッターと2リッターで特性を変更している。
17インチタイヤ装着の1.8リッターではスプリングを含めてソフトなサスペンション設定だが、コーナーでのロールや加減速時のピッチング変化を抑え、フラットライド指向に仕上げられていた。リヤモーターを搭載し重量の増加するE-Four車ではスカイフックのような乗り味となり、雲の絨毯に乗っているような印象だ。
2リッターモデルは19インチタイヤ/ホイールが装着され、足もとは一段と引き締められる。19インチ化で1輪当たり重量は5kgも増加するということで、ショックアブソーバを「Prosmooth」と呼ばれるものにしてフリクションを軽減し、低速域からダンピングを効かせた結果、硬いながらも不快に感じない乗り心地となった。それは高性能セダンのような乗り味でもあり、強化された動力性能とあいまって新型プリウスをスポーティかつ軽快に走らせることができた。
ブレーキシステムも今回見直され、従来の負圧式マスターバックを電動ポンプ式に改め、とくに停止寸前でディスクブレーキに切り替わる領域でのブレーキフィールを大幅に改善している。ペダルストロークは短く、踏力に応じた制動性能のコントロール性能が高まっている。
E-Fourモデルは加速時には主に後輪の駆動力を前輪より大きくし、ハンドリング性能を高めている。最大加速を直線路で行うと前輪にエンジン出力がプラスさせるので前輪駆動寄りになるが、通常走行域では常に後輪モーターが前輪モーターより大きな駆動力を配分されていることがモニターでも確認できた。
室内も完全に刷新され、ステアリングオーバービューのメーターレイアウトやセンターモニターの大型化(2リッターE-Fourは12.3インチ、他は8インチ)され、視認性や操作性が向上している。ステアリングは35ミリ以下の小径で革巻き。ロックtoロック2回転半のクイックなレシオ設定で操作性にも優れる。
後席シートバックが3度後傾され、後席の居住性がスペース的にも姿勢的にも大幅に向上したのは全モデルに共通している。
燃費データはまだ未公表だが、試乗中の燃費は、上からいい順に並べると
1.8リッターFF 1.8リッターHV E-Four 2リッターHV FF 2リッターHV E-Four
となっており、それぞれ1割ほどづつ向上していった。燃費性能で選ぶなら1.8リッターHVのFF、デザイン性を優先するなら19インチ、全天候性を求めるならE-Fourと、役割が明確化した。
2023年春にはPHEVモデルが追加されることがアナウンスされており、その走りも楽しみだ。
近い次期に一般道での試乗インプレッションが行えることを期待している。
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みんなのコメント
違いがなければ排気量差の意味が無い。
スポーツカーならサイドビューだな。
ファミリーカーではないぞこれ。
が、しかしカッコはええな。
雨樋みたいな色、ほんと流行ってるな。