この記事をまとめると
■アメリカ人はクーペが大好きであり各メーカーが北米を重視したクーペを用意
みんな鼻息荒く流行に乗っかってた時代! 昭和の「クルマブーム」3選と火を付けたクルマたち
■マスタングももともと女性を含めた広い世代に向けた比較的安価なお洒落クーペとして誕生
■今後もアメリカではクーペの根強い人気が続くことが予想される
昔からアメリカ人は2ドアモデルがお気に入り
アメリカではクーペが人気だ。これは、日本のユーザーにもかなり知られているアメリカ事情ではないだろうか。
日本では近年、セダンのモデルラインアップが全メーカーで減少し、さらにクーぺについても1970年代や80年代と比べると激減している。その代わり、ミニバンや軽自動車のシェアが上がり、さらにSUVシフトが進んできた。そもそも、SUVシフトは1990年代のアメリカが起源で、そのトレンドが日本や中国、そして東南アジアに伝播してきた。
そんなアメリカ市場では近年、約7割がライトトラック(SUVとピックアップトラック)で占められるといった市場構成になっている。
それでも、相変わらずクーペ人気が確実に存在するため、メーカー各社はアメリカ市場を重視したクーペモデルを維持するケースが少なくない。
代表的なクルマが「Z」だろう。日本でも「フェアレディZ」復活は大きな話題となった。
筆者も、発売前に北海道内の日産テストコースで各種グレードを試乗して、成熟した走りを体感した。その際も、日産関係者は「グローバルで見て、Zの需要のほとんどは北米」と言い切っていた。
セクレタリカーと呼ばれて女性が乗るクルマとしても認知されている
こうしたアメリカでのクーペ人気の理由ついては、さまざまな見方がある。
たとえば、フォード「マスタング」、シボレー「カマロ」、ダッジ「チャレンジャー」などのアメ車の影響だ。日本では、これらモデルについて、いわゆるマッスルカーのイメージが強い人が少なくないかもしれない。
確かに、1960年代にはロードレースやドラッグレース等のモータースポーツ活動を舞台に、大排気量・大出力・大トルクのマッスルカーに憧れる若い男性は多かった。
一方で、マスタングは「ポニーカー」と呼ばれるなど、女性を含めて広い世代に向けた、比較的価格がリーズナブルでお洒落なクーペという存在でもあった。こうしたトレンドは1990年代に「セクレタリーカー」という分野を生んだ。セクレタリーとは、企業の秘書のことだが、セクレタリーカーという言いまわしでは女性ドライバーを対象としたイメージで使われていた。
セクレタリーカーの代表格は、三菱「エクリプス」である。こうした「マスタング」、「Z」、「エクリプス」など、クーペの多くでコンバーチブル仕様がラインアップされてきた。
メーカー各社の開発担当者によると、「コンバーチブルは女性ユーザーや富裕層の、3台目や4台目のクルマとして需要が高い」と話していた。
技術面では、トップ開閉用のモーターを搭載したり車体の補強をしたりでクーペに比べてかなり重量増になるが「走りより、お洒落さが優先する」という商品企画であった。
今後もアメリカでは、日系メーカーやアメリカの中上級セグメント、また欧米の超高級ブランドでコンバーチブルを含めたクーペの根強い人気が続くことが予想される。
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