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【新フラグシップSUV】BMW iX xドライブ50へ試乗 総合523ps 新基準の洗練性 後編

掲載 更新 14
【新フラグシップSUV】BMW iX xドライブ50へ試乗 総合523ps 新基準の洗練性 後編

スマートに強力で超が付くほどスムーズ

執筆:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)

【画像】新フラグシップSUV BMW iX 欧州で競合となる純EVモデルと比較 全134枚

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


新しいBMW iXでスポーツ・モードを選択すると強力な発進加速を披露するが、攻撃的に感じるほどではない。滑らかな速度上昇を意識してプログラムされ、スマートと呼べる印象だ。

0-100km/h加速は4.6秒。テスラ・モデルXには並ばないものの、アウディeトロンやジャガーIペイス、メルセデス・ベンツEQCなどよりは鋭い。

アクセルペダルの操作に対する反応は瞬間的。駆動用モーターのトルクが間髪入れず立ち上がる。高負荷時にはモーターからかすかな唸りが聞こえてくるが、耳障りには感じないだろう。

シングルギアだが、160km/h以上の速度へ突入し空気抵抗が増しても、加速度が鈍くなるようなこともない。モーターのパワーには余裕があり、高回転域でも滑らかさは失われない。

xドライブに用いられるソフトウエアも新開発。突出して高いトラクションを生み出す。完全な後輪駆動状態から、後輪にトルクベクタリング機能が働いた四輪駆動まで、制御の幅も広いという。

エフィシエンシー・モードは、都市部の交通環境にぴったり。穏やかなスロットル・マッピングへ変化し、リムジンのように静かに、超が付くほどスムーズに運転できる。

運動エネルギーの回生量は、ステアリングホイールに取り付けられたパドルを介して、ドライバーが強中弱の3段階から選択可能。操作せずとも、車載センサーやナビの地図データなどを用い、自動的に調整してもくれる。操作は簡単で、減速も直感的だ。

今までにない平穏な運転体験

ギアセレクターをスライドさせBを選ぶと、回生ブレーキが最も強力に働く。アクセルペダルの操作だけで発進から停止までまかなえる、ワンペダル・ドライブも可能になる。

一度停止するとヒルホールド機能も働き、再びアクセルペダルが踏まれるまでiXは静止状態を保ってくれる。ブレーキペダルを踏むことなく、運転できる。

パワートレインは感心するほど静かだが、風切り音も非常によく抑えられている。試乗車の履く扁平率40のタイヤは、路面状態で明らかに変化するロードノイズが聞こえていたが、標準仕様なら影響も受けにくいはず。

とはいえ、iXの上質さは新基準。日常的な運転へ、今までにない平穏をもたらしてくれるだろう。

iX xドライブ50のサスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン式で、リアがマルチリンク式。スチールコイルと、減衰力が変化するリフトリレーテッド・ダンパーが標準だが、試乗車のようにエアスプリングにアダプティブ・ダンパーも指定できる。

電動機械式パワーステアリングは、軽量なものを採用したという。反応はクイックで、ターンイン時には好印象な正確性も持ち合わせる。

乗り心地は、滑らかな路面でのエフィシエンシー・モードなら、垂直方向の動きが抑制され非常に滑らか。エアサスとアダプティブ・ダンパーの力も借り、路面との追従性を損なわず、細かな衝撃を巧みに吸収していた。

反面、ワダチを斜めに超えたり、舗装が剥がれた大きな穴などを通過すると、軽くない車重を隠しきれない様子。落ち着きを保てない場面もあった。

優れた実用性と運転の楽しさの高バランス

ステアリング・レスポンスと、xドライブが生む路面を問わないトラクションが融合し、コーナーが連続するワインディングでもiXはソツがない。車重の影響で操縦性の限界には制限があるが、挙動は常に予想しやすい。

ボディロールは早めに立ち上がり、コーナーを不安感なく曲がれる速度も掴みやすい。2.5tのボディを持つSUVとして、称賛したいほど動的性能は高いといえる。

四輪駆動システムはリアタイヤ主導に設定されているが、それを実感するには、スポーツ・モードでかなり攻め立てる必要がある。スタビリティとトラクション・コントロールは不可避な状況まで介入せず、邪魔に感じることはなさそうだ。

急送充電はDCで最大200kWまで対応。BMWによれば、0%から100%まで最短35分で充電できるとしている。11kWのAC充電器なら、11時間必要になる。

BMW iX xドライブ50は、最高のBMWに並ぶような、ドライバーとの一体感やダイナミックな動力性能は備わっていない。だがレスポンスは爽快といえるもので、現実世界ではX5のトップグレードと同等に速い。

iXより車内が広く、より実用的な純EVのSUVが存在することは確か。英国価格9万1905ポンド(1396万円)からという設定も、アウディeトロンやジャガーIペイス、メルセデス・ベンツEQCなどと比べると明らかに高い。

しかし、優れた実用性と運転の楽しさを、iX並みにバランスさせたモデルは他にない。極めて能力が高く、洗練されている。プレミアムな純EVの大型SUVへ、確かな選択肢が追加されたと明言できる。

BMW iX xドライブ50 スポーツ(欧州仕様)のスペック

英国価格:9万1905ポンド(1396万円)
全長:4953mm
全幅:1967mm
全高:1695mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:4.6秒
航続距離:548-630km
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:2510kg
パワートレイン:ツイン電気モーター
バッテリー:105.2kWh
最高出力:523ps
最大トルク:77.8kg-m
ギアボックス:シングルスピード

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みんなのコメント

14件
  • クソダサいな
  • この顔‥買う気になれない
    x5 f15が完成形じゃないかな?
    その後に出たBMW製のSUVには往年の【らしさ】が無いように思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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