新しいトヨタの「クラウン・クロスオーバーRS」に設定された特別仕様車「“ランドスケープ”」は、挑戦的な1台だった! 世良耕太がリポートする。
トーイングヒッチまで装備
持続可能な社会と豊かな生活を両立する1台──新型レンジローバー オートバイオグラフィP550e試乗記
トヨタはクラウンシリーズを“ガラチェン(ガラッとチェンジ)”し、まずクロスオーバーから発売した。2022年のことである。それから約1年半を経て、2024年4月4日に一部改良がおこなわれ、2.5Lハイブリッド車に上級グレードの「Z」が新設されたり、ドアトリム/インパネ/センターコンソールボックスにソフトパッドが追加されたりするなどし、商品力が高まった。
今回の一部改良にあわせて、特別仕様車を追加したのがクロスオーバーRS“ランドスケープ”である。
「アウトドアな世界観を表現した」というが、意図は明白で(ブラック×アーバンカーキはランドスケープ用の特別設定色である)、まず背が高い。サスペンションの仕様変更により、最低地上高はベース車に対して25mm高い170mmとなっている。
そもそもがセダンとSUVのクロスオーバー的な位置づけから“クロスオーバー”の車名を冠しているはずだが、ランドスケープは専用のオーバーフェンダーモールを装着することによって、よりSUV、というより一足飛びにオフローダー寄りの雰囲気を醸し出す。
その専用オーバーフェンダーモールのクオリティがまた良い。トヨタは「GORI GORI BLACK(ゴリゴリブラック)塗装」と、呼び、塗料を塗る重ねることで表面に独特の凹凸を生み出す。岩肌を想起させる荒々しいつくりだ。ベースのクロスオーバーが剃り跡鮮やかな“シュッ”とした顔立ちだとすれば、ランドスケープは耳からアゴにかけてほほ骨に沿ってひげを蓄えたワイルドなスタイルといった印象である。
前後のフェンダーまわりは見どころたっぷりで、GORI GORI BLACK塗装の専用オーバーフェンダーモールの内側には、245/60R18サイズのオールテレインタイヤが収まっている。ベース車の225/45R21サイズに比べてサイドウォールがぶ厚くて逞しいし、ショルダー部に施された幾何学パターンはいかにも大地に食い込みそうなイメージだ。
前後のホイールハウス後部には王冠のロゴが入った赤いマッドガードが装着されている。まるでダートを走るラリーカーの装いだ。泥や小石の跳ね上がりからボディを守るための、目を引く赤い部品が装着されていることにより、このクルマの主戦場はアスファルトではなくダートであることを、見る者は無意識に感じ取るはずだ。
過酷な環境に適応するために開発されたデバイスは、はるかに快適な環境に置かれるとそのミスマッチ感から、存在が際立って見える。トレッキングシューズしかり、防寒服しかり。アスファルトとコンクリートに囲まれた都会で見るランドスケープが目立つのはそのたぐいだろう。
ランドスケープがアウトドア風のスタイルを“ファッション”で取り入れたわけではない証拠は、リヤバンパー下にあるトーイングヒッチだ。格好だけではもちろんなく、750kgの許容牽引荷重を誇る。その気になれば、キャンピングトレーラーを牽引することも可能だ。そしてここにもご丁寧に、正統なクラウンの一員であることを示す王冠マークがある。
インテリアは「さりげない光沢感」が、特徴のブラックラスターで、特別設定内装色だ。助手席側のインパネにはLANDSCAPEのロゴがレーザー刻印されている。これも“さりげなく”配したアクセントのようだが、運転席に着座した状態で視界の隅に入るため、信号待ちなどで止まるたびにチラチラ見てニヤリとしてしまった。さりげない気づかいだが、オーナーの満足度を高めるアイテムに違いない。
装備面で大きいのは、60:40の分割可倒式リヤシートを備えていること。ベース車はセンターのアームレスト部しかトランクと空間的につながらないが、ランドスケープは後席片側、もしくはすべて倒すことが可能で、(乗車人数は犠牲になるが)サーフボードなどの長尺物を搭載することが可能だ。
走りはあくまでクラウンランドスケープのベースはスポーティな仕様のRSなので、パワートレーンはクロスオーバーのラインアップ中、もっともパフォーマンスに振ったデュアルブースト・ハイブリッドとなる。すなわち、2.4リッター直列4気筒ターボエンジンと1モータートランスアクスルの組み合わせ。システム最高出力は349ps、最大トルクは460Nmだ。
強力なハイブリッドシステムは前輪を駆動。後輪は最高出力80.2psのモーターで駆動する電気式4WDシステムを搭載する。さらに、DRSと呼ぶ後輪操舵システムを備えており、低速域では小まわりが効き、中速域では旋回性を高め、高速域ではスタビリティの高い走りを約束する。
最低地上高の25mmアップはアイポイントの引き上げにもつながっており、運転席に腰を下ろしてみると、ベース車に比べて見下ろし感が強くなったのを感じる。なお、全高は1565mm。世の中にはSUVに分類されるクルマでランドスケープと同程度の車高を持つモデルもあるくらいだから、見下ろし感があって当然だ。
専用装備によってワイルドなムードさえ漂わせるようになったランドスケープだが、クラウンの一員であることに変わりはない。だからだろうか、強力なパワートレーンを搭載しているとはいえ、走りはあくまでジェントルである。穏やかに走ろうと思えば穏やかに走り、室内は至って静かだ。
鞭をくれても、穏やかな印象に変わりはない。エンジンがその存在を誇示するようにノイズを高めるわけでもなく、スーッと速やかに加速して、今そこにあった景色をはるか後方に追いやってみせる。ワイルドなのは見た目だけ。運動能力の高さは歴然としているが、どんな状況でもクルマ自体は泰然自若としており、だからドライバーも落ち着いていられる。
クラウン・クロスオーバーに追加設定されたランドスケープは、アスファルトだけでなくダートにも行動範囲を広げた、頼りになる相棒という印象。専用アイテムの数々は、高い潜在能力を示す目印のようなものである。価格は¥6,850,000だ。
文・世良耕太 写真・小塚大樹 編集・稲垣邦康(GQ)
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みんなのコメント
本文見なくてよかった。
50円でもいらんw