フェイスリフトでラインナップ更新中
3代目ポルシェ・カイエンは、フェイスリフトによるラインナップ更新の真っ最中。新しいカイエン E-ハイブリッドなどは、2023年初頭から販売がスタートしている。
【画像】シュツットガルトの新たな偉業 ポルシェ・カイエン・クーペ・ターボ E-ハイブリッド 同クラスのSUVと比較 全143枚
だが、電動化仕様はまだ控えている。S E-ハイブリッドとターボ E-ハイブリッドというパワフルなプラグイン・ハイブリッドが、新たに追加される。今回試乗したのは、その後者。カイエンのフラッグシップとなる、最強版だ。
これまでのカイエン・ターボ S E-ハイブリッドを置き換えるモデルで、ボディスタイルはワゴンとクーペの2種類から選べる。単に「S」が省かれただけではない。従来以上のEVモードでの走行距離と、スーパーカー顔負けの動力性能が与えられている。
オプションで、GTパッケージも用意される。カイエン・ターボGT用に開発された軽量化アイテムを組むことで、車重を100kg削り、より鋭い身のこなしを実現するという。ただし、ターボGTのように、クーペボディでしか指定できないそうだ。
カイエン・ターボ E-ハイブリッドの主な動力源になるのは、ポルシェが開発した4.0L V8ツインターボ・ガソリンエンジン。単体で599psと81.4kg-mを発揮する。
フェイスリフトに合わせて、2基のシングルスクロール・ターボに電動ウェイストゲート、350barの高圧インジェクション、2ステージ可変バルブリフト・システムなど、細かな改良が施された。ここに、新しいディスク状の駆動用モーターが組み合わされる。
過去最強で最重量のカイエン
駆動用モーターは8速ATのフロント側に内臓。こちらは、従来のターボ S E-ハイブリッドから40psと5.1kg-m増しの、176psと45.6kg-mを生み出すという。
システム総合での最高出力は、740ps。最大トルクは96.6kg-mに達する。つまり、過去最強のカイエンが誕生したことになる。ただし車重は2495kgもあり、過去最重量のカイエンでもある。
プラグイン・ハイブリッドの巨大なエネルギーは、独自プログラムを実装する四輪駆動システムが受け止める。ドライブモードは、オフロード、E-パワー、ハイブリッド、スポーツ、スポーツプラスの5種類。ステアリングホイール上のダイヤルで、選択可能だ。
同社の製品ラインマネージャー、シャヤン・バゲリ氏は、リア・バイアスのパワー分配に仕立てたと誇らしげに話す。リアの荷室フロア下に搭載された、駆動用リチウムイオン・バッテリーの重量を、最大限に活用することが目指されたとか。
駆動用バッテリーの容量は、25.9kWh。こちらも従来から8kWh増やされており、電気の力だけで最長72kmを走れるとのこと。
サスペンションは、新開発のエアスプリングにツインバルブ・ダンパーという組み合わせ。GTパッケージを選ぶとルーフがカーボンファイバー製になり、重心位置が低くなる。フロントのキャンバー角は専用設定になり、車高も10mm落とされる。
インテリアも、フェイスリフトで一新された。高級感があり上品で、知覚品質は高い。この価格帯のSUVへ期待される、雰囲気と実用性を持ち合わせている。
揺るぎない勢いでボディを超高速域へ誘う
今回、カイエン・ターボ E-ハイブリッドへ試乗したのは、スペインの少々荒れた一般道。デフォルトでは、エンジンを始動しないE-パワー・モードが選ばれる。
新しい駆動用バッテリーとモーターの組み合わせにより、加速はエネルギッシュ。発進・停止を繰り返す、市街地での走りへ見事に対応してくれる。
ハイブリッド・モードへ切り替えると、ツインターボエンジンが目覚め、走りは一層活発に。動力性能が目立って高まるだけでなく、クルージング時の安楽さも増す。
ブレーキペダルの感触は、従来から改善。3段階に切り替わる回生ブレーキがメインの、緩やかな減速時には多少の不明瞭さは残っている。だが、GTパッケージに含まれるセラミックコンポジット・ディスクを挟む場面では、タッチが明らかに良くなった。
740psのすべてを思い切り味わうなら、スポーツかスポーツプラス・モードを選ぶといい。駆動用モーターがエンジンのターボラグの谷を埋め、低回転域から爽快でリニアな加速を引き出せる。
ブーストが増すと、圧倒されるようなペースへ上昇。揺るぎない勢いで、大きなボディを超高速域へ誘う。0-100km/h加速は3.9秒で、最高速度は305km/hに自主規制されている。これは、748psのBMW XM レッドレーベルに0.2秒と14km/h勝る。
GTパッケージの1つ、チタン製エグゾーストは刺激的なサウンドでドライビング体験をドラマチックに盛り上げる。フルスロットル時の迫力ある響きだけでなく、アクセルオフ時の破裂音も気持ちいい。
能力の幅に感服 シュツットガルトの新たな偉業
前述の通り車重は2tを軽く超えるが、操縦性には感心するほどの落ち着きが伴う。ステアリングは適度に軽く、反応は極めて鋭い。オプションの後輪操舵システムを追加すると、駆動用バッテリーが載るリア側を積極的に旋回させることで、敏捷性が更に増す。
電動油圧式のアンチロールバーは、コーナリング時の姿勢を引き締める。四輪駆動とトルクベクタリング・システムが、迅速な脱出加速を叶えている。
グリップ力にも驚かされた。タイヤはピレリ Pゼロ・コルサで、サイズは試乗車の場合、フロントが285/40 ZR21、リアが315/35 ZR21という組み合わせだった。
穏やかなカイエンよりサイドウォールは薄く、路面の凹凸をいなすという点では劣る。だが、エアスプリングと可変ダンパーが相乗し、大きな衝撃を吸収。比較的快適な乗り心地を実現していた。
カイエン・ターボ E-ハイブリッドの能力の幅には、感服してしまう。市街地なら、電気の力でだけで快適に移動でき、走行可能な距離も充分。それでいて、動的能力では並み居るライバルに引けを取らない。タイヤを交換すれば、悪路にも対応できる。
ドイツ・シュツットガルトの技術者による、新たな偉業といっていい。ただし、価格は英国で15万4000ポンド(約2787万円)。ドライバーズSUVの能力を体験できるのは、ひと握りの人に限られるだろう。
◯:力強さと速さ、柔軟性を叶えたハイブリッド・パワートレイン 最新技術と高級感を両立したインテリア 見事な操縦性を生む洗練されたサスペンション
△:若干曖昧なブレーキペダルの感触 ライバルより短いEVモードでの航続距離 お手頃ではない価格
ポルシェ・カイエン・クーペ・ターボ E-ハイブリッド(欧州仕様)のスペック
英国価格:15万4000ポンド(約2787万円)
全長:4930mm
全幅:1983mm
全高:1664mm
最高速度:305km/h
0-100km/h加速:3.6秒
燃費:52.6-55.5km/L
CO2排出量:40-43g/km
車両重量:2495kg
パワートレイン:V型8気筒3996ccツインターボチャージャー+AC同期モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:25.9kWh
最高出力:740ps(システム総合)
最大トルク:96.6kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)
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