現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > トヨタは「2本立て」「4協力社」なぜ揃えた? 車の電動化対応における主要8社の違いとは

ここから本文です

トヨタは「2本立て」「4協力社」なぜ揃えた? 車の電動化対応における主要8社の違いとは

掲載 更新 2
トヨタは「2本立て」「4協力社」なぜ揃えた? 車の電動化対応における主要8社の違いとは

■EV開発でトヨタがパートナー企業4社と取り組む理由とは

 中国で2021年4月19日に開幕した上海モーターショー2021を契機として、日本の自動車メーカー各社も新型SUVを発表。なかでも、EV(電気自動車)やHV(ハイブリッド車)など、電動化されたモデルの登場が目立ちます。

次期型「プリウス」は超絶進化? トヨタが「全固体電池」に全集中する訳とは

 日本市場でも新たな電動車(EV、HV、PHEVなど)の登場が期待される状況ですが、各社はどのような戦略を採ると見られているのでしょうか。

 上海モーターショー2021で注目された日本の自動車メーカーの新型EVのひとつにトヨタ「bZ4Xコンセプト」があります。

 トヨタはこの新型bZ4Xコンセプトの発表にあわせて、グローバル市場における電動車のフルラインナップ化を表明。2025年までに電動車を70車種程度へ拡大。そのうちEVは15車種を投入すると宣言しました。

 投入する15車種のEVの内訳について、おおきく分けて役割の違うふたつのシリーズがあるといい、トヨタはその違いを次のように説明しています。

「ひとつは『Mobility for All(すべての人に移動の自由を)』の実現に向け、電池のリユース・リサイクルの事業化やお客さま向けのサービスなど、新しいビジネスモデルの構築を進めながら少人数・近距離の利用に焦点を置き、容量の小さな電池を搭載する超小型EVです。

 2020年12月に導入した『シーポッド』がこのタイプにあたります。

 一方、新EVシリーズ『bZ』は、中国や米国、欧州など、EVの需要や再生可能エネルギーによる電力供給が多い地域で、多くのお客さまに受け入れていただけることを目指しているEVです。

 bZはbeyond Zeroの略で、単なるゼロ・エミッションを超えた価値をお客さまにお届けしたいという想いを込めました。

 EV専用のプラットフォームをベースとし、『より多くのお客様が安心して選んでいただけるよう、使用環境を考慮した航続距離』『EVならではの開放的で自由度の高い室内空間と、斬新な外観デザイン』という特徴を有しています」

 前出のbZ4Xコンセプトは、bZシリーズ第一弾となるEVで、スバルとの共同開発で生まれたモデルとなります。日本と中国での生産を予定しており、2022年年央までにグローバルでの販売が開始される予定です。

 bZシリーズの開発にあたって、さまざまな大きさ・スタイルのEVを導入することがトヨタだけでは困難であることから、同社はスバル・ダイハツ・スズキ・BYDといったパートナー企業とともに取り組むと明らかにしており、各社それぞれの得意分野を生かしてEVを投入する計画だといいます。

 なお、トヨタは2020年末時点でHVを45車種、PHEVを4車種、EVを4車種、FCVを2車種といった計55車種の電動車をラインアップしています。

※ ※ ※

 一方、上海モーターショー2021で新たな電気自動車タイプのSUVコンセプトを発表したメーカーとしてホンダがあります。

 中国におけるホンダの合弁企業(東風本田および広汽本田)は、これまで初代「ヴェゼル」をベースとしたEVをはじめ複数のEVを販売してきましたが、上海モーターショー2021では2代目ヴェゼルとデザインの類似性が見られる「SUV e:prototype」を発表しました。

 またPHEV(プラグインハイブリッド車)として中国専売車種の「ブリーズ」(「CR-V」姉妹車)をベースとした「ブリーズPHEV」も同ショーで発表したほか、「CR-V PHEV」がすでに発売されていますが、いずれも中国市場での展開のみがアナウンスされています。

 中国以外の市場におけるホンダの動きを見ると、HVに関してはCR-Vやヴェゼル、「フィット(海外名:ジャズ)」など幅広い車種に設定されているほか、「インサイト」や欧州でのジャズをはじめ、HV専用車がいくつか存在します。

 しかし、EVに関しては「ホンダe」が日本や欧州で販売される状況で、中国市場での精力的な動きとは対照的です。

 また、北米ではGMと協業し、GMのグローバルEVプラットフォームを用いたホンダ向け新型EV2車種の開発や、電動パワートレインを含めたプラットフォームの共有に向けた検討がおこなわれています。

■クルマの電動化に対する日産・三菱・マツダの考え方は?

 日産は上海モーターショー2021で新型「エクストレイル」を世界初公開しましたが、同時にe-POWER搭載車の中国での拡販も宣言しています。

 e-POWERは日産が開発したシリーズ式HVシステムで、2016年に2代目「ノート」に採用して、日本市場から展開を開始。

 タイ生産の「キックス」(2020年発売)にも搭載されたほか、欧州での展開もすでに明言されており、欧州仕様の新型エクストレイルでは2022年に搭載予定です。

 なお、中国におけるe-POWERの展開について、日産は同市場で人気の高い「シルフィ」から採用を開始すると表明しました。

 また、同社の今後の電動化戦略において重要な車種となるのが電気自動車タイプのSUV「アリア」です。

 2020年7月に世界初公開されたアリアについて、日産は日本での2021年中頃の発売を皮切りに、欧州・北米・中国といったグローバル市場においては2021年末までに発売するとしています。

 日産にはすでにハッチバックボディのEV「リーフ」を日本やアメリカおよび英国の工場で生産し、世界59の国や地域で販売した実績があることから、HV(e-POWER車)の普及と並行して、リーフやアリアといったEVの普及にも取り組む姿勢であることがわかります。

 なお、日産とアライアンスを結ぶ三菱は、中国の広汽汽車との合弁企業である広汽三菱から、電気自動車タイプの中国向けSUVである新型「エアトレック」のデザインを上海モーターショー2021の開幕にあわせて公開しています。

 そのほか日産と共同開発しているといわれる軽EVの生産に向けて、工場(水島製作所)の設備投資も開始されているほか、三菱がこれまで開発を進めてきたPHEVシステムの普及も推進。

 日本国内ではPHEV2車種をラインナップするほか、2020年12月には同社のPHEVでは初となる海外生産として、「アウトランダーPHEV」をタイで生産開始しています。

 こうしたなか、マツダは同社初の量産EVとして「MX-30 EV」を展開しています。

 日本ではマイルドHV仕様が2020年10月に発売され、その後前述のとおりEV仕様が2021年1月に発売されたMX-30ですが、欧州では日本に先行してEV仕様が2020年秋に発売。

 アメリカにも2021年秋にMX-30 EVが導入されることが、同年4月14日に発表されました。

 MX-30 EVについて、マツダはLCA評価(燃料の採掘から製品の製造、物流、使用、廃棄、リサイクルに至るまでのライフサイクル全体における環境負荷を、定量的に評価すること)によるCO2削減とユーザーの使い方を両立するといった観点で企画したと謳われています。

 35.5kWhというバッテリー容量も、こうした観点から決定したということです。

 なお、中国市場では現地にある長安汽車との合弁会社である長安マツダが中国専用車として「CX-30 EV」を発表するなど、独自の動きを見せています。

 CX-30 EVについて、マツダは次のように説明しています。

「CX-30 EVは2021年の下半期に中国のパートナーと一緒に準備を進めている中国専用EVで、長安マツダで生産を開始し、中国市場に導入する予定です」

※ ※ ※

 政府も目標として掲げる2050年のカーボンニュートラルに向けて、各自動車メーカーも対応に向けて動き出している状況ですが、2021年現在では各社の方針や実際に発売されるモデルの顔ぶれには違いがあるようです。

こんな記事も読まれています

ホンダ 新型「シビック」初公開! 3年ぶり顔面刷新に「カッコよくなった」の声も! 精悍デザインの「新モデル」米での“先行発表”に反響集まる
ホンダ 新型「シビック」初公開! 3年ぶり顔面刷新に「カッコよくなった」の声も! 精悍デザインの「新モデル」米での“先行発表”に反響集まる
くるまのニュース
元々の意味を知ってる? ヘッドライトのバツ印
元々の意味を知ってる? ヘッドライトのバツ印
バイクのニュース
決勝でもマクラーレン優勢? レッドブルF1重鎮マルコ、フェルスタッペンのスペインGP予選2番手で“ホッと一息”
決勝でもマクラーレン優勢? レッドブルF1重鎮マルコ、フェルスタッペンのスペインGP予選2番手で“ホッと一息”
motorsport.com 日本版
280馬力モーター搭載の「ヴェローチェ」仕様、アルファロメオ『ジュニア』に設定…欧州市場
280馬力モーター搭載の「ヴェローチェ」仕様、アルファロメオ『ジュニア』に設定…欧州市場
レスポンス
カーナビを購入した後に感じる不満TOP3、3位道案内がわかりづらい、2位地図の更新が面倒、1位は?
カーナビを購入した後に感じる不満TOP3、3位道案内がわかりづらい、2位地図の更新が面倒、1位は?
@DIME
自転車がサイドミラーに「ゴン!」その時どうする!? あなたも被害者・加害者になるかも! お互い「知らんぷり」が絶対ダメな理由とは
自転車がサイドミラーに「ゴン!」その時どうする!? あなたも被害者・加害者になるかも! お互い「知らんぷり」が絶対ダメな理由とは
くるまのニュース
夏は、すぐそこまで来ている! 暑い日にバイクに乗る際の注意点
夏は、すぐそこまで来ている! 暑い日にバイクに乗る際の注意点
バイクのニュース
メルセデス旗艦SUV『GLS』がダウンサイジング!? 電動化でV8と決別か、デザインを予想
メルセデス旗艦SUV『GLS』がダウンサイジング!? 電動化でV8と決別か、デザインを予想
レスポンス
最強のND型「ロードスター」街のディーラーで実車展示中! 日本仕様初の2リッターエンジン車「マツダスピリットレーシング」の実力とは
最強のND型「ロードスター」街のディーラーで実車展示中! 日本仕様初の2リッターエンジン車「マツダスピリットレーシング」の実力とは
VAGUE
トヨタ「新型プリウス“スポーツ”」発売!? 超カッコイイ「ハイブリッドスポーツカー」に変身? ド迫力エアロ「トムスパーツ」7月に登場
トヨタ「新型プリウス“スポーツ”」発売!? 超カッコイイ「ハイブリッドスポーツカー」に変身? ド迫力エアロ「トムスパーツ」7月に登場
くるまのニュース
首都高の二輪事故発生件数 2023年度は過去5年で最小に 重大事故も減少
首都高の二輪事故発生件数 2023年度は過去5年で最小に 重大事故も減少
バイクのニュース
生産終了を撤回、ジープ『ラングラー』最強の470馬力V8搭載「392」を継続
生産終了を撤回、ジープ『ラングラー』最強の470馬力V8搭載「392」を継続
レスポンス
新車販売に不正問題はさほど影響なし! ダイハツも復活してこの先6月から9月までは「新車がお買い得」な時期が続く!!
新車販売に不正問題はさほど影響なし! ダイハツも復活してこの先6月から9月までは「新車がお買い得」な時期が続く!!
WEB CARTOP
【新刊紹介】「日本のオートバイの歴史」二輪車メーカー興亡の記録<増補三訂版>発売
【新刊紹介】「日本のオートバイの歴史」二輪車メーカー興亡の記録<増補三訂版>発売
モーサイ
ケータハムのヘリテージレンジ“スーパーセブン”がスズキ製660ccエンジンを搭載して登場
ケータハムのヘリテージレンジ“スーパーセブン”がスズキ製660ccエンジンを搭載して登場
カー・アンド・ドライバー
小型SUVにさらなるパワーとエレガンスを アップデートされた新型トヨタ ヤリス クロスのファーストチェック!
小型SUVにさらなるパワーとエレガンスを アップデートされた新型トヨタ ヤリス クロスのファーストチェック!
AutoBild Japan
三菱デリカ『D:6』準備中、D:5が19年ぶりにフルモデルチェンジ
三菱デリカ『D:6』準備中、D:5が19年ぶりにフルモデルチェンジ
レスポンス
トヨタ・ホンダ対抗!? 日産「斬新・小型ミニバン」どんな人が買う? 「車中泊最強かも」 バネットとは
トヨタ・ホンダ対抗!? 日産「斬新・小型ミニバン」どんな人が買う? 「車中泊最強かも」 バネットとは
くるまのニュース

みんなのコメント

2件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村