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ポルシェ911スピードスター初試乗! タイプ991最終型の本気仕様ピュアスポーツ

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ポルシェ911スピードスター初試乗! タイプ991最終型の本気仕様ピュアスポーツ

Porsche 911 Speedster

ポルシェ 911スピードスター

メガーヌR.S.カップを土砂降りのサーキットで試乗! これは手の届くスーパースポーツカーだ【動画レポート】

タイプ991のラストを飾るに相応しい6速MT

ポルシェ70周年を記念するコンセプトモデルとして発表された911スピードスター・コンセプトの実車を見たのは、昨年9月にアメリカ・ラグナセカで開催されたレンシュポルト・リユニオンVIの会場でのことだった。

しかし会場で話を聞いた担当エンジニア氏は「ボディはカレラ4Sカブリオレ・ベースで特に剛性強化はしていません。レーストラックでポールポジションを取るためのクルマではなく、ドライビング・プレジャーを感じるクルマだからPDKではなく6速MTにしました。それ以外、サスペンションもノーマルのまま。いずれにしろコンセプトモデルだからね」と、その中身について多くを語ろうとしなかった。

彼の弾いた“三味線”を信じて、「どうせこれまでの911スピードスターのように、スペックよりもスタイル優先のスペシャルモデルでしょ?」と思い込んでいた自分自身の浅はかさを恥じたのは、イタリア・サルデーニャ島で行われた新型911スピードスターの国際試乗会場に入ってからだ。というのも、ポルシェ自らが「911Rと911 GT3をベースとし、モータースポーツ由来のテクノロジーを反映させた」と公言するように、991型の最後を飾る911スピードスターは、これまでとは違う本気のピュアスポーツに仕立てられていたのである!

まるで911GT3スパイダー

カブリオレに比べ50ミリ低いウインドスクリーンと“ロー・プロファイル・フライングライン”と呼ぶダブルバブルのリヤフードをもつエクステリアは、ロー&ワイドで迫力満点。フロントスポイラーをGT3から流用していることもあり、まさに「911GT3スパイダー」という表現がぴったりの出で立ちだ。ファブリック製のソフトトップを閉じた状態もスタイリッシュで、室内には十分なヘッドクリアランスがあり、居住性はカブリオレと遜色ない。ソフトトップはロック機構のみ自動で、開閉作業はすべて手動。とはいえ、手順がかなり整理されているのでボクスター・スパイダーのような煩雑さはなく、誰でもひとりで簡単に開閉できる。

510psとは思えないほどの扱いやすさ

前後のみに調節可能なスポーツシートの着座位置は低く、ドライバーズシートに座るとコクピットシェルの中にすっぽりと包まれたような印象を受ける。小気味の良いタッチの6速MTとミートポイントのわかりやすいクラッチを操作しながら走り出してすぐに感じるのは、ウインドスクリーンとリヤフード周りの空力処理が優れていることもあり、オープンでサイドウインドウを下ろしていても、不快な風の巻き込みが極力抑えられていること、そして510psを背後に収めているとは思えないほど扱いやすく、乗り心地が良いことだ。

GT3よりも10psアップ! さらに軽量化も

とはいえ、ひとたびアクセルペダルに力を込めると、淀みなくレブカウンターの針は跳ね上がり、あっという間にレッドゾーンの9000rpmまで吹け上がる! 実はスピードスターに搭載されている4リッター自然吸気ボクサーシックスユニットはGT3とまったく同じものではなく、燃料噴射を250bar(従来は200bar)として噴射効率をより最適化させた高圧フューエルインジェクターと個別スロットルバルブ付きインテークシステムの採用で、最高出力が10psアップした510ps/8400rpmとなっているほか、ステンレス製の新型エキゾーストシステムにより10kg軽量化。さらに2基のガソリンパティキュレートフィルターを装備し、欧州排出ガス基準EU6 DGにも対応している。

エンジン担当のエンジニアであるマークス・ヘンデスによると、これらは911RSR、GT3Rなどの開発で得られた成果を反映したものだという。入社以来、“自然吸気”一筋という彼によると、今でも自然吸気ユニットの開発は続いているそうで「もしかして992のGT3も自然吸気?」と探りを入れてみたのだが、そこはニヤリと笑って誤魔化されてしまった。

ベースは991型カレラ4カブリオレだが・・・

話を元に戻そう。試乗会場となったイタリア・サルデーニャ島は島中がワインディングだらけの絶好の舞台ではあるのだが、道幅は狭く路面は荒れミューも低い。にも関わらず、オープンボディの剛性にまったく不足を感じなかったのは、ベースとなった911カレラ4カブリオレの基本設計がしっかりしていた(やはり特別な補強は施されていないそうだ)ことと、走行状況によって硬さを変化させるダイナミックエンジンマウントの効果も大きいように思われる。

スペック表によると車重は1465kgとPDK仕様のGT3より35kgほど重いのだが、ボンネット、フロントフェンダー、リヤフードをCFRP製(それぞれ重量は6kg、2.8kg、10kgしかない)とするなど徹底的な軽量化を図っていること、さらにシャシー全体のバランスが良いこともあって、重いという印象を抱くことはなかった。むしろルーフがなく開放的なぶん、軽いとさえ感じてしまうほどだ。

最終型らしく、タイプ991の魅力を最大限に引き出している

それはハンドリングにも反映されていて、ドライでは抜群のグリップを誇るミシュラン・パイロット・スポーツ・カップ2、そしてリヤアクスルステア、PTV、PASM、PSM、PCCB(いずれも標準装備だ)といったデバイスの恩恵もあり、“ヒラリヒラリ”と安定した姿勢でコーナーをクリアしていく。また後期型GT3にも採用された6速MT(7速MTに比べ良好なシフトフィールと1枚ギヤが少ない分軽量なのが採用の理由だという)の相性も抜群。もちろん0-100km/h加速4.0秒、最高速度310km/hというスペックが示す通り、サーキットに持ち込んで目を吊り上げながら攻めても、しっかりと応えてくれるだけのポテンシャルの持ち主だが、“コクコク”とシフトを繰り返し、シャシーやエンジンと対話しながらワインディングを走るのは本当に楽しい。

「ああ、まだ991にはこんな魅力が隠されていたんだ!」というのが、試乗を終えた時の率直な印象だった。

初代のスピリットを受け継ぐスピードスター

そもそも初代スピードスターは北米のディーラー主であったマックス・ホフマンの要望を受け、英国製のライトウェイト・スポーツに対抗すべく、重い356のルーフとフロントウインドウをカットした安価でスパルタンなモデルとして企画されたものだ。その甲斐あって、ハリウッドスターから市井のクラブマンレーサーまで多くの人々に愛された356スピードスターは、サーキットで数々の栄冠を手にしたほか、ポルシェのスポーツイメージの向上に大きく貢献した。

そういう意味で今回の911スピードスターは決して安価ではないが(むしろその逆だ)、スピリットはスピードスターの原点に立ち返ったモデルといえるだろう。しかもその卓越した動力性能は、数ある356スピードスター・ファミリーの中でもレーシングスポーツである550スパイダー由来の4カム(DOHC)ユニットを搭載したコンペティション仕様、356カレラGS GTスピードスターの再来と呼ぶにふさわしい。ポルシェ自身がオプションで往時の356スピードスター・レーサーのようなフェンダーストライプを入れた「ヘリテージデザインパッケージ」を用意しているのには、そんな想いも込められているのかもしれない。

REPORT/藤原よしお(Yoshio FUJIWARA)

PHOTO/PORSCHE AG

【SPECIFICATIONS】

ポルシェ911スピードスター

ボディサイズ:全長4562 全幅1852 全高1250mm

ホイールベース:2457mm

トレッド:前1551 後1555mm

車両重量:1465kg

エンジン:水平対向6気筒DOHC

総排気量:3996cc

圧縮比:13.3

最高出力:375kW(510ps)/8400rpm

最大トルク:470Nm/6250rpm

トランスミッション:6速MT

駆動方式:RWD

サスペンション形式:前マクファーソン 後マルチリンク

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク(PCCB)

タイヤサイズ:前245/35ZR20 後305/30ZR20

燃料消費率(EU6 DG):13.8L/100km

生産台数:1948台限定

【問い合わせ】

ポルシェカスタマーケアセンター

TEL 0120-846-911

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