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バランスよすぎ!?ボルボのベストセラーSUV「XC60」ディーゼル版の完成度

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バランスよすぎ!?ボルボのベストセラーSUV「XC60」ディーゼル版の完成度

ボルボ「XC60 D4 AWD インスクリプション」の実力検証

 ボルボ「XC60」は、同社の「V60」(ステーションワゴン)や「S60」(セダン)と共通のコンポーネンツを与えられたSUVだ。2008年(日本上陸は2009年)に初代がデビュー。初代の「XC60」は世界累計販売台数約100万台を突破したベストセラーカーとなっており、同社の世界の販売台数の3割を占める人気モデルでもある。

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 SUVとしての使い勝手のよさのほかに、世界トップレベルの先進安全技術の導入などが、ファミリーカーとしての信頼性につながったこともヒットの要因となった。2代目は2017年秋に日本に上陸。そして、新世代の「XC60」は同社が造るクルマの中で最初に新しい方向性を示したモデルとしても注目を集めている。

 そのひとつがエンジンだ。ボルボは今後、排気量2L以上のエンジンは開発しない、と宣言しているが、この「XC60」は宣言どおり、2Lガソリン/ディーゼル、2Lガソリンターボ+スーパーチャージャー、さらには、2Lガソリンターボ+スーパーチャージャー+モーター、というラインナップで登場した。

 バリエーションの豊富さは輸入車のSUVの中でもトップクラス。出力だけを見てもディーゼルターボの190PSから、ガソリンターボ+スーパーチャージャーの320PS、+モーターは318PS+87PSと、揃っている。今回は、ディーゼルターボの「D4 AWDインスクリプション」に試乗した。

外観、装備の完成度

 全長は、アルファロメオのSUV「ステルヴィオ」のディーゼル版と同じく、4690mmの5ナンバー枠に収まる。全幅は1900mmなので、全長、全幅はほとんど「ステルヴィオ」と同じだが、全高は1660mmと「ステルヴィオ」より低い。ホイールベースは2865mmで、これは3車の中では最も長く「ステルヴィオ」より40mm、アウディ「Q5」より35mm長い。

 外観で目につくのは、ヘッドライトのデザインだ。T字型のポジションライトが埋め込まれている。デビュー当時は「TシェイプのLEDデイタイム・ランニング・ライト」と表現されていたが、現在は「トールハンマー」と名付けられ、北欧の神話に登場する神が持っていたハンマーを模した、とされている。

 この「インスクリプション」というグレードは「D4」の上級装備モデルで、19インチホイールやインテグレ—テッド・テールパイプが標準装備となる。ちなみに、外板色は13色から選べる。

クオリティーの高い内装、装備

 スウェーデン生まれのクルマという生い立ちを生かした内装は、木の香りとシックな色使いや面使いで、スカンジナビアンテイストを存分に演出している。これも最近の、クルマユーザーの好みにフィットし、人気車種となっている一因だ。

 キーケースも表面が4色のレザーから選べるのは、ボルボだけのエクスクルーシブ感覚。ベンチレーションとマッサージ機能付のナッパレザーシート、後席にもシートヒーターを備えている。内装は素材や色で13種類選べるようになっている。

ハイレベルの先進安全技術

 ボルボは、初代「XC60」から完全停止する自動ブレーキを装備している。さらに最近では16種類以上の先進安全・運転支援機能も標準で装備。それらが実に有効に作動する。例えば、前車が急にブレーキをかけ、追突しそうな時は、運転者の目の前のフロントウインドウに、真っ赤な文字で注意を促す。試乗中はこれにビックリして思わずブレーキをかけてしまったが、決して中途半端な装備ではなく本当に運転者を含めた乗員を守る、という同社の強い意志が伝わってくる。

走行インプレッション

 4気筒2Lのディーゼルターボは、Nox低減のために尿素SCRシステムを導入している。最高出力は190PS、最大トルク400Nmで、8速ATと組み合わされている。試乗車の車重は1890kgとやや重め。0→100km/hの加速を計測すると、8~9秒台で走り切る。

 これはアルファロメオ「ステルヴィオ」ディーゼルモデルより遅く、アウディ「Q5」ディーゼルモデルより速いタイムだ。加速する様子は荒々しさよりも、大人しくて素直な感じ。8速ATのマニュアルモードもパドルはなく、シフトレバーの操作だけでOK。積極的にシフトを楽しむ設計にはなっていない。それも「XC60」の性格を表わすポイントかもしれない。

 あくまでもファミリーカーなので、荒々しいスポーツ走行は楽しむというクルマではない。4気筒2Lのディーゼルターボは、ガラガラ音も振動も、しっかりと抑えられている。アクセル・オンで加速している時にややエンジン音が高まるところが気になるが、それもディーゼルエンジンだったと気づかされるぐらいのもの。

 エコ/コンフォート/インディビデュアル/ダイナミック/オフロード、と切り替えられる走行モードも、基本的にはコンフォートモードで十分カバーできる。実走燃費も街中では10km/L台をキープ。郊外では16km/Lと、カタログ値をきちんと達成していた。

 最後に購入を検討している人へのアドバイスを。「インスクリプション」は679万円だが、「モメンタム」は599万円。装備の差はリアシートヒーターやホイール径の違いぐらい。この差をしっかりと見極めて選択するのが賢明だ。

■関連情報
https://www.volvocars.com/jp/cars/new-models/xc60

文/石川真禧照 撮影/萩原文博

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