毎日新車ディーラーを回って「生」の新車情報を届けてくれる、流通ジャーナリストの遠藤徹氏。今回は日産の経営計画にある「2022年までにe-POWER車を5車種発売する」という発言に注目し、日産に取材。そこで「5車種」すべてを聞いてきた。
また、大注目ホンダの軽商用車N-VAN情報、三菱デリカD:5マイチェン、そしてトヨタのあのクルマが生産終了とのニュースが入ってきました。
文:遠藤徹
ベストカー2018年7/10号『遠藤徹の地獄耳スクープ』より
【人気&実力派モデル13台で検証!】 あのクルマの国内と海外の評価を比べてみた!!
■2022年までの日産e-POWER5車種が判明!!
2019年登場と言われている、次期ジュークの予想イラスト
日産は2022年までの国内事業における5カ年計画で、e-POWERを採用する5車種を投入することを明らかにしました。この5車種とは、ノートとセレナのほか、エクストレイル、ジューク、キューブの後継モデルです。
現行型ノート&セレナ用のパワーユニットは1.2Lエンジンを発電用に使ってモーターで駆動させる仕組みですが、今後投入する新型5車種のe-POWER車は専用に開発したエンジンを採用する方向で、これによって大幅な燃費性能や走行性能、静粛性の向上を図るといいます。
残念ながらそれぞれの登場時期までは分かっていませんが、2019年から順次発売してゆく計画のようです。
また、エンジンは1.2Lのほか、上級車用は排気量を拡大する可能性もあります。当面は2WD車のみとなるため、4WDでも対応できる従来の1モーター2クラッチ方式のハイブリッド車も併用することにしています。
ただし、今後e-POWER車に4WDを設定することになれば、1モーター2クラッチ方式のハイブリッドは廃止となる可能性もあります。
■日産EVは軽自動車ベース用のみ2022年までに追加
日産の2022年までの国内事業における新型電気自動車の投入は、軽自動車ベースのスモールモデルのみとなりそうです。現在は小型車のリーフ、商用車ベースのe─NV200がありますが、これに軽自動車ベース1車種を加え合わせて3車種となります。
将来的にはスポーツプレミアムモデルを加えて4車種体制になりますが、これらを合わせても当分は国内全体の10%強程度の販売構成比にとどまりそうです。
■N-VANは7~8月に3万5000台もの受注目標
ホンダN-VANは今夏デビュー
ホンダが今夏発売する新型軽商用車のN-VANは、7~8月の2カ月間で3万5000台という強気の受注目標を策定していることがわかりました。
N-VANは乗用車的な遊びグルマになるコンセプトを持つのが特徴。これによって、幅広いユーザーを確保し、従来のキャブバンとそのワゴンで圧倒的な強さを維持してきたダイハツ、スズキの2強を追撃し、場合によってはトップシェアを奪取する狙いがあることが読み取れます。もしも月販1万台超えが可能になれば、軽商用市場でホンダがトップに浮上することも実現しそうです。
■デリカD:5を2019年5月頃にビッグマイナーチェンジ
「デリカ」として五十周年を迎えたデリカD:5。本来は近いうちにフルチェンジ予定だったが、後ろ倒しされている。写真は現行型
三菱自動車は2019年5月にもデリカD:5をビッグマイナーチェンジします。このマイナーチェンジは、内外装の大幅改良、使い勝手の向上、安全対策強化がおもな内容です。フロントマスクはバンパーも含めフルモデルチェンジに近いくらいにガラリと変えてきます。パワーユニットは2ℓ&2・4ℓガソリン、2.8Lクリーンディーゼルとも燃費改良&性能向上を図るべく開発を進めています。
■次期型タントのデビューは2020年以降に先送りか
次期タントの予想CG。残念ながら今年デビューは難しそう
ダイハツが今年末に予定していたタントのフルモデルチェンジは2020年以降と大幅に先送りする見通しとなっています。プラットフォーム、エンジン、足回り、駆動系、安全対策などを全面刷新し、次世代の軽自動車のトップブランドに相応しい世代交代をする方向で開発を進めていますが、そのための技術進展、材料確保などに手間取っているためのようです。
室内の広大な居住空間を確保するため、ホンダのNシリーズのようにエンジンを傾けて前方に移動させることで広い室内空間を実現させ、フルフラットフロアとすることで多彩なシートアレンジと組み合わせ、使い勝手を大幅に向上させるプラットフォームを採用する見込みです。
エンジンも新開発となり、エンジンブロックの軽量化、燃焼効率の改善などで同クラス最高レベルの低燃費と性能向上を図ります。合わせて1モーター&リチウムイオンバッテリーによるEV走行が可能なフルハイブリッド車を軽自動車で初めて実現させる方針です。
安全デバイスも現行パッケージの「スマートアシストIII」を進化させて標準装備します。その内容は自動ブレーキの停止可能速度の引き上げ、検知機能の対象範囲の拡大などを目指しています。
先送りする期間は現行モデルのマイナーチェンジ、装備内容を充実させた特別仕様車の設定などで商品力の維持を図ることにしています。
■2019年、ダイハツはベーシックコンパクトモデルのラインアップ強化でスズキを追撃
ダイハツは来年から2020年にかけて、ベーシッククラスの次世代クロスオーバーSUVとミニバンを投入する予定で、それらの開発を進めているようです。
新型SUVはトールのプラットフォームを流用。従来のラッシュ/ビーゴの後継モデルで、直線と曲面を融合させたキュートなボディデザインを採用します。パワートレインは1ℓターボでFF、4WDを用意し、トランスミッションは全車CVTの組み合わせとなります。スズキのクロスビーに対抗させます。
新型ミニバンは新開発のプラットフォームを採用した3列シート6~7人乗りになり、パワーユニットは新型SUVと同タイプとなります。
両モデルともダイハツブランドとトヨタにOEM供給するモデルの両方があります。ダイハツとしては小型車2車種を加えることで年間販売5万台体制の確立を目指すものと思われます。
■国内販売2位を確保するのはホンダ、スズキ、ダイハツ、それとも日産か?
国内新車販売台数でトヨタに次ぐ2位争いが、今年は一段と熾烈になっていることが判明しました。
1~4月累計販売台数(逆輸入モデルを含む)は2位がホンダで27万1480台(前年同期比1・5%増)、3位がスズキで25万6624台(前年同期比2・8%増)、4位が日産で24万2731台(前年同期比2・8%減)、5位がダイハツで23万6876台(前年同期比6・5%増)の順となっています。2位と5位の差は3万4604台と僅差であり、今後8カ月の動向次第で順位が入れ替わる可能性は充分にあります。
また他系列店へのOEM供給車を含めた実質的な販売台数をメーカー単位で見ていくと、トヨタグループのダイハツが2位に浮上する図式にもなっています。こうしたことから今年はどのメーカーが2位を確保するのか、最終日まで判明しない事態になることも予想されます。
■この4月いっぱいでアベンシスの生産を打ち切り
トヨタ・アヴェンシス。現在はワゴンのみラインアップ
トヨタはこの4月末でミディアムステーションワゴン「アベンシス」の生産を打ち切りました。昨年10月にFJクルーザー、12月にアイシス、今年2月にクラウンマジェスタを相次いで生産終了しましたが、これらはいずれもトヨタ店の扱いになっています。
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