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やっぱりMTは楽しい!──新型トヨタ・スープラ試乗記

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やっぱりMTは楽しい!──新型トヨタ・スープラ試乗記

2022年4月に、「スープラ」がマイナーチェンジし、6MTモデルが追加された。人気車種ゆえに、ようやく試乗できた小川フミオがリポートする。

足まわりなどもアップデート

驚くほど快適なスーパーカーあらわる──新型マクラーレン・アルトゥーラ試乗記

クルマが趣味だと言い切れるひとには、ぜひ、このクルマを! そう勧めたいのが、トヨタの新しい「スープラ」だ。とくに2022年6月に発表されたマニュアル変速機搭載の「RZ」がいい。

マニュアル変速機は(ご存知のように)かつてはスポーティカーにはマストだったけれど、それもいまはむかし。快適性を重視する世のトレンドに合わせて、搭載モデルはかなり数を減らしている。くわえて、デュアルクラッチタイプのオートマチック変速機が、マニュアル変速機の以上の変速スピードを実現するに伴い、そちらに置き換わっているといった実情もある。

北米では、日本人よりもマニュアル変速機搭載モデルに乗る人口が多かったけれど、いまは減っているとか。

でも、そんなことじゃもったいない。スープラのラインナップ中、285kWの最高出力と500Nmの最大トルクをもつ3.0リッター直列6気筒搭載ガソリンエンジンのRZの6段MTに乗って、確信した。クルマ好きにぜひ勧めたいモデルである。

マニュアル変速機で乗るべきクルマは、2種類ある、と私は思っている。ひとつはトルクがめちゃくちゃ(言い過ぎ)薄いモデル。

好例が、149Nmの最大トルクを持つマツダ「マツダ2」の「15MB」エンジン搭載モデル。最大トルクが4000rpmと比較的高めのエンジン回転数で出るので、エンジンをまわしていないと、モタモタしてしまう。

シフトアップも、エンジン回転を高めに保ってやらないと、いきなりぐんと減速する。だからおもしろい。エンジンとシフターが直結しているようなイメージだ。

もうひとつ、マニュアル変速機で乗りたいのが、今回のスープラRZのようにエンジンがよくまわるモデル。最大トルクは1800rpm から5000rpmとかなり広いバンドで得られる。

シフターをドライバーが操作して、5000rpmまでまわしながら走ると、加速感といい、サウンドといい、バイブレーションといい、「最高!」と、言いたくなるほどの気持ちよさだ。

しかも、6段マニュアル変速機搭載のタイミングで、足まわりに手が入れられた。

アダプティブバリアブルサスペンション(AVS)の電子制御が最適化されるとともに、ダンパーの減衰力が見直されたのがひとつ。路面への追従性がさらに上がったようだ。

スタイビライザーのブッシュも特性を変更。操舵初期の応答性を向上を謳う。

さらに、電子制御パワーステアリングや、ブレーキやエンジン出力を制御してコーナリング時に横滑りを防ぐビークルスタビリティコントロール(VSC)も見直し。

上記により、操舵フィーリング、限界域でのコントロール性を向上させた、とはトヨタの説明だ。

鍛造19インチアルミホイールを採用。スポーク形状や断面形状を見直すことより軽量化・高剛性化を両立させたという。ホイールのフランジ形状は、フロントが9J、リアが10J。見た目の迫力の点とともに、GRヤリスやGR86との統一性も言及されている。

良く出来たスポーツカードライブしての印象は、「素晴らしい!」のひとこと。首都高では、まさに路面に吸いつくような、ロードホールディングのよさを見せる。

ステアリング・ホイールを切ったとき、車体のノーズは即座に反応するが、足まわりはゴツゴツ感もなく、意外なほどしなやか。上手なセッティングとひたすら感心させられた。

さらにもうひとつ。上の回転域までスムーズにまわり、爆発的なトルクを生み出すエンジンのフィールを堪能できるのが、スープラRZの身上だ。

ツインクラッチとかトルコンの2ペダル式でもパドルシフトなどマニュアル操作を使えば、エンジンのトルクバンドをぞんぶんに使えるのはたしか。それでもクラッチペダルを踏んでギアをシフトして……という動作には、感覚的な魅力が大きい。

スープラRZの場合、クラッチペダルがけっこう重い。500Nmものトルクに対応するために強化型クラッチを使っているせいだろうか。(むかしの)レースカーとは言わないが、最初はとまどうかも。

ただし、クラッチをつなげるときはけっこう楽ちん。多少ぞんざいにつなげても、一瞬のぎくしゃくはあるかもしれないが、次のギアを即座に使える。

トルクバンドが太いので、低めの回転でシフトアップしても大丈夫。このあたり、スポーツ性と実用性が、両立しているといってもいいかもしれない。

シフトはややクセがある。ギアの位置のせいなのか、手首の動きだけでなく、ひじを曲げて腕の動きでシフトする必要があるのだ。それにやや渋い。

個人的には、このシフトフィールだったら、利き腕で操作したくなった。左ハンドル車に乗る欧州の人が、以前、「シフトは利き腕でやったほうが確かだ」と、言っていたのを思い出した。

利き腕でやったほうが、繊細なシフトワークができるのだ。せっかくだったら、スープラRZのマニュアル車を左ハンドルで乗ってみたい! と、夢のようなことを思ってしまった。

価格は731万3000円。安いといったら、なんてお気楽なと叱られるだろうが、同等のパワーを持つ、BMW 「Z4 M40i」(894万円)より安く、かつBMWには、マニュアル変速機の設定はない。

ポルシェ「718ケイマンS」もよきライバルになりそう。数値上は257kWの出力と、420Nmの最大トルクで、スープラRZに及ばない。かつ、718ケイマンSは967万円と、さらに高価。

リアフェンダーがふくらみすぎと感じるスタイリングも、RZのパワフルなドライビングを体験すると、論理的なデザインに思えてくる。良く出来たスポーツカーだ。

文・小川フミオ 写真・小塚大樹

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みんなのコメント

94件
  • 一番上の、RZにしかMTを設定しないのがいやらしい
  • 恐らくこれぐらいのスペックだと素人にはATの方が扱い易いし速いでしょうね。
    ただMTは純粋に操る楽しさが味わるのではないでしょうか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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