現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > エンジンなしでも「らしさ」はあるか? 新型ソルテラで見えたスバル電動化の可能性と課題

ここから本文です

エンジンなしでも「らしさ」はあるか? 新型ソルテラで見えたスバル電動化の可能性と課題

掲載 12
エンジンなしでも「らしさ」はあるか? 新型ソルテラで見えたスバル電動化の可能性と課題

 2020年11月11日。スバルは同社初となる電気自動車のソルテラを世界初公開した。世界中のクルマが電動化に向かっていくなか、スバルが選んだのは単独でのEV化ではなくトヨタとの協業によるEV化であった。

 スバルといえば、中島飛行機のDNAを今も受け継ぐ企業で、水平対向エンジンを基軸としたシンメトリカルAWDが最大のウリであり、それこそがスバルである。しかし、EVになれば当然水平対向エンジンはなくなる。しかし、たとえ水平対向エンジンを失ってもスバルらしさは失わないEVを目指して開発したという。

約17年ぶりに新型ダイハツアトレー 新型ハイゼットカーゴ登場! ハイゼットトラックもビッグマイチェン!! 時代を変える起死回生の凄い進化!!!

文/諸星陽一、写真/中里慎一郎

[gallink]

■スバル電動化のメリットと課題

 その最大のポイントは駆動力配分をいかに理想的なものにするか? に懸かっているという。開発過程においては従来車の駆動配分を改めて解析、それをEVで再現した。

 EVはガソリンエンジン車よりも敏感に、そして正確に駆動力配分ができるため、スバルが理想としてきた制御に近づく高応答なコントロールを実現。走行中にクルマの姿勢が乱れても、素早くスタビリティを確保でき、スバルの求める安定性のある走りは変わらず、現在のスバル車オーナーでも違和感のない走りとなっているという。

スバルの求める安定性のある走りは変わらず、現在のスバル車オーナーでも違和感のない走りとなっているという

 電動化を推し進める過程において、大きなポイントとなるのが充電環境だといえる。ソルテラは150kWの急速充電に対応しているが、まだまだ150kWを出力する急速充電器はほとんどない。そして、スバルディーラーへの急速充電器の配備もまだまだな状態だ。

 こうした状況についてスバル商品企画本部の阿部一博氏に質問したところ、「充電設備が必要なことはよくわかっているし、それをしっかりとしなくてはいけないこともわかっている。ただ、もっとも台数が期待できる北米では自宅で充電する方がほとんどなのです」とのこと。

 日本の自動車メーカーがまずは北米のことを考えている……というと違和感を持つ方も多いかもしれないが、台数ボリュームが大きく、一定数のエコカーを販売しなければ、ほかのクルマを売ることができない北米を先行しなくてならないのはしかたないことだろう。

■マイルドHVでは目標に届かない

 阿部氏は「2030年には電動車両を40%にする必要化があり、EV化はどんどん進めないとならない。マイルドハイブリッドも電動化の一環だが、マイルドハイブリッドでは目標とする二酸化炭素の排出量減にはとどかない。自分達はもっと高い目標を掲げ、それに進まないといろいろと間に合わないことが多い」と付け加えた。

 充電インフラやビークル・トゥ・ホーム(V2H)に関しては、スバルだけでは難しい部分も多いだろう。こうした分野においてもトヨタとの協業で、しっかりとした整備を期待したい。スバル、トヨタのどちらの動きをみたり、話を聞いたりしてもどうも急速充電器の設置についてはあまり積極性を感じとれない。

スバルだけでは難しい部分において、トヨタとの協業によってしっかりとした整備を期待したい

 一方で、2020年にはトヨタホームとパナソニックホームズが統合され、国内最大の住宅メーカーになった。また、トヨタはウーブンシティという実験都市を造るなどしている。日産はリーフ発売に合わせて、急速充電器を拡充していったが、トヨタは町や住宅を中心に普通充電の設備を充実使用としているのかもしれない。

■スバルにとって「親和性高い」電動化 今後独自のEV開発はあるか?

 話をソルテラに戻そう。阿部氏は「モーター制御はスバルというブランドとの親和性が高い」と語った。

 「スバルは4WDを制御するクルマ作りをおこなってきたが、モーターはその制御がすごくしやすい。そして、バッテリーをプラットフォームの一部として利用しつつ、床下配置としたことで実用性の高いパッケージングを実現できた。スバルの目指す方向性とシンクロしている。私はSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)を担当していましたが、ソルテラの方向性はSGPと非常に似ている印象がある」とも語った。

 阿部氏は今後のスバルのEV作りについて、

 「現在はそれぞれの持つ技術を生かしながら、協業という形でEV作りをおこなっている。持てる資産を上手に使うということもあるし、組立工場の制約という点もあり協業で作るのが効率もいい」

 「しかし、いずれは競合する形になるはず。そうしたときにスバルらしさをどう表現できるか? は非常に大切なことになる。現在でもソルテラにはパドルスイッチを付けて、回生量を調整できるようにするなどしている。そして我々スバルにはアイサイトがあります。今後スバルはEVにおいてもアイサイトを採用していくし、スバルがアイサイトを手放すことはない」

 と語る。現在のソルテラはプラットフォームからエンジン、モーター、外板など多くの部分をトヨタbZ4Xと共有するモデルであるが、この先は次第にオリジナル部分が増えていくのが当たり前の流れだ。

現在は多くの部分をトヨタと共有しているが、この先は次第にオリジナル部分が増えていくだろう。今後の期待が膨らむ

 スバルのEVは、スバルらしいモデルになることに期待が膨らむが、若干の不安もある。阿部氏は最後にこう言った。

 「スバルのユーザーはEVに興味を持っている方が多い。だから、充分にいけるんです」 力のこもった、自信たっぷりの発言には説得力が満ちあふれていた。

[gallink]

こんな記事も読まれています

アウディだけどポルシェが作ったRS2! 名車誕生のワケは「財政難のポルシェを救うため」の仕事だった
アウディだけどポルシェが作ったRS2! 名車誕生のワケは「財政難のポルシェを救うため」の仕事だった
WEB CARTOP
F1 Topic:4連覇に王手をかけたフェルスタッペン。タイトル獲得条件をおさらい
F1 Topic:4連覇に王手をかけたフェルスタッペン。タイトル獲得条件をおさらい
AUTOSPORT web
世界的に数字の入った車名だらけ! 数え歌的に車名で1から10まで数えてみた
世界的に数字の入った車名だらけ! 数え歌的に車名で1から10まで数えてみた
WEB CARTOP
【試乗】ボルボ XC90が大幅改良。「完全電動化への橋渡し」だけでは役不足だと感じる、新型の熟成度
【試乗】ボルボ XC90が大幅改良。「完全電動化への橋渡し」だけでは役不足だと感じる、新型の熟成度
Webモーターマガジン
[15秒でわかる]トライアンフ『タイガー・スポーツ660』…先進機能を多数搭載
[15秒でわかる]トライアンフ『タイガー・スポーツ660』…先進機能を多数搭載
レスポンス
約260万円! スバル新型「インプレッサ」発表に反響! 新色に「爆オシャブルー」採用したスバルの人気「5ドアハッチ」どんな人が買ってるの?「最新の納期」もまとめて紹介!
約260万円! スバル新型「インプレッサ」発表に反響! 新色に「爆オシャブルー」採用したスバルの人気「5ドアハッチ」どんな人が買ってるの?「最新の納期」もまとめて紹介!
くるまのニュース
教習所での路上試験で安全運転義務違反は何点減点されるのか?
教習所での路上試験で安全運転義務違反は何点減点されるのか?
LE VOLANT CARSMEET WEB
【MotoGP】経営悪化のKTM、レッドブルによる『救済』のウワサは否定。MotoGPへの影響懸念も「全ての参戦シリーズに残る」
【MotoGP】経営悪化のKTM、レッドブルによる『救済』のウワサは否定。MotoGPへの影響懸念も「全ての参戦シリーズに残る」
motorsport.com 日本版
まだ多くの日本人が知らないEVの「走る以外」のメリット! 東京都なら実質約3万円で設置できる「VtoH」とは
まだ多くの日本人が知らないEVの「走る以外」のメリット! 東京都なら実質約3万円で設置できる「VtoH」とは
THE EV TIMES
日本導入に期待! アウディのコンパクトクロスオーバー「A3オールストリート」に本国でPHEVを追加
日本導入に期待! アウディのコンパクトクロスオーバー「A3オールストリート」に本国でPHEVを追加
Webモーターマガジン
山本舞香さんがラリージャパン2024でトークショーに出演。特注のレーシングスーツ姿を初披露
山本舞香さんがラリージャパン2024でトークショーに出演。特注のレーシングスーツ姿を初披露
AUTOSPORT web
マツダのフラッグシップといえば『センティア』があった【懐かしのカーカタログ】
マツダのフラッグシップといえば『センティア』があった【懐かしのカーカタログ】
レスポンス
ついに首都高八重洲線10年間の通行止めに! 2025年4月上旬から。KK線ともお別れ。【道路のニュース】
ついに首都高八重洲線10年間の通行止めに! 2025年4月上旬から。KK線ともお別れ。【道路のニュース】
くるくら
トヨタが「大逆転ワールドチャンピオン」に! 最後の最後でドラマがあった!? トヨタ会長「感動という共感が生まれる」 WRCで「マニュファクチャラーズ」獲得、ラリージャパンもトヨタ優勝
トヨタが「大逆転ワールドチャンピオン」に! 最後の最後でドラマがあった!? トヨタ会長「感動という共感が生まれる」 WRCで「マニュファクチャラーズ」獲得、ラリージャパンもトヨタ優勝
くるまのニュース
市川團十郎×佐藤琢磨、同い年のふたりが歌舞伎とレースに共通点見出す。白熱するトークの裏で11歳の新之助が大物ぶりを発揮!?
市川團十郎×佐藤琢磨、同い年のふたりが歌舞伎とレースに共通点見出す。白熱するトークの裏で11歳の新之助が大物ぶりを発揮!?
motorsport.com 日本版
日産が新型「車中泊ミニバン」発売! 巨大ベッド&高性能四駆を搭載した「4人乗りセレナ」がスゴい! 車高アップで走破性高めた新モデルとは?
日産が新型「車中泊ミニバン」発売! 巨大ベッド&高性能四駆を搭載した「4人乗りセレナ」がスゴい! 車高アップで走破性高めた新モデルとは?
くるまのニュース
ポルシェの超レアな限定車「911ダカール」がついに生産終了!最後の1台は斬新なカラーリングで驚愕
ポルシェの超レアな限定車「911ダカール」がついに生産終了!最後の1台は斬新なカラーリングで驚愕
VAGUE
バッグ・コンテナ・テーブルの3WAY! ロゴスの「LOGOS キャンプツールリュック(テーブル付き)」がクラファンにて先行販売を開始
バッグ・コンテナ・テーブルの3WAY! ロゴスの「LOGOS キャンプツールリュック(テーブル付き)」がクラファンにて先行販売を開始
バイクブロス

みんなのコメント

12件
  • らしさもなにも、そもそもコレってトヨタメインで開発したbZ4xのOEMみたいなもんですよね?
    ラクティスとトレジアみたいなもんだと思ってますがそんなにスバルらしさを期待するようなモデルなの?
  • 良くも悪くも北米向けですね。
    コンセプトも、デザインも、ネーミングさえも。
    北米でスバルに現在良いイメージ持っている客層(北東部のリベラル層とか)にはウケそうな気はします。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

408.1583.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

9.0451.0万円

中古車を検索
リーフの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

408.1583.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

9.0451.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村