新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多人数の集まるイベントは実施出来ない。こうしたなか、レクサスは、どのようにしてマーケティング活動をおこなっているのか? キーマンである沖野和雄(おきのかずお)氏に訊いた。
あくまで“体験”を軸に
「世界最速のフェアレディZを公道で試す!」後編──連載「西川淳のやってみたいクルマ趣味、究極のチャレンジ 第5回」
「日本中に元気を」。レクサスは、いま、それを考えているという。「LCコンバーチブル」の発売をはじめ、秋には「LS」のマイナーチェンジを控えているなか、食やアートを通じて、ブランドからのメッセージを伝えていこうとしている。
2020.06.30取材したのは、レクサスインターナショナル(以下・レクサス)のブランドマネージメント部Jマーケティング室の沖野和雄室長だ。
これまで、「日本のどこかで数日だけオープンするプレミアムな野外レストラン」(レクサス)とうたう「DINING OUT」など、ユニークな体験を提供してきたレクサスは、新型コロナウイルスの感染がいまだおさまらない今、ユーザーとのコミュニケーションをどう考えているのか。興味あるところだ。
「いままでは、オーナーやブランドに興味をもつ人向けに、日本が誇るシェフを招聘してのDINING OUTなどの体験型イベントを手がけてきました。そこで“体験”を軸にしつつ、新型コロナウイルス感染拡大の今、どのようなことが出来るのか? これがテーマでした」
スカイプを使ってのインタビューで、沖野氏はそう答える。これまではレクサスのイベントで機会あるごとに会っていたひとと、なかなか会えず、話せるのはオンライン……というのは奇妙なかんじだ。しかし、それが”いま”の実情なのだから、しようがないのだけれど。
「いきなり本音を言いますと、クルマで旅をしていただきたいのです。これまで私たちはそのために最高のクルマを作ってきたつもりですから。(しかし自治体によっては外出自粛要請が出ているため)旅先に思いを馳せることが出来るようなコンテンツを作れたら……と、考えました」
それが、レクサスのサイトに掲載されている「TOUCH JAPAN」であると言う。
オンラインで新しいコンテンツを提供
TOUCH JAPANには、自宅にいながら、日本全国をまわるような楽しさを味わえるように……と、考えられたコンテンツが並ぶ。
「地域と地域、人と人の距離が遠くなってしまった今こそ、あらゆる距離を越えて、日本中を心で旅してみませんか」と、そこには書かれている。
そのひとつが「DINING INSIDE」。日本各地のシェフが地域の食材を使うことを前提に考えたレシピ集だ。たとえば、和歌山をみると、自家菜園の野菜で有名な岩出市の「Villa AiDa」が出ている。そこはさすが。小林寛司シェフが「玄米豚丼」を提案しているのだ。
「暑さが厳しくなってくるとどうしても食欲が落ちがちになりますよね。(中略)そんな時は、この玄米豚丼がおすすめです」と、述べる小林シェフは、「現在もガスを使わず、薪を使った火入れ、手麹による昔ながらの仕込みにこだわっている」とうたう地元・堀河屋野村の三ツ星醤油を勧めている。読んでいるうちに「できれば出かけていってみたい」と、強く思ってしまう。
もうひとつ、「LEXUS Summer Workshop」なるコンテンツも「TOUCH JAPAN」にある(現在は応募終了)。モノづくりの若き担い手を支援する活動である「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT」に参加した伝統工芸の作家たちとの、ウェブ会議システムを使ったリモートワークショップ、が内容だ。
具体的には、日本各地の小学校高学年の生徒から中学生までが、オンラインで、ふだん体験する機会のない伝統工芸の匠による指導のもと、モノづくり体験ができる、というもの。
一例をあげると、吉野檜あかり作家、坂本尚世氏が、吉野手すき和紙と吉野の杉を土台に使ったランプづくりを教えてくれる。あるいは、加賀水引5代目の津田六佑氏が、水引の歴史や意味とともに、「あわじ結び」を使ったミサンガ作りを伝授してくれるのだ。
「TOUCH JAPANのコンテンツのねらいは、新しい体験の提供です。さまざまな体験を通じ、たとえば”自分は料理が好きだったんだ”など、いわば”新しい自分”を発見していただきたい。それこそ、真の自分かもしれません。そうやって、自分を見つめ直す時間がもてるのは、いまの時期だからこそ、ともいえます」
沖野氏は続けて、「レストランや生産者、また工芸などに従事する人たちを応援することを含めて、今回は、オンラインのコンテンツを提供し、お客様の心に寄り添っていくのが目的です」と、つけくわえた。
さらに、「本当なら、クルマに乗って、ウェブで紹介されている店舗を回ってもらいたいし、途中で気になる風景があれば、気軽に写真に残してももらいたいですね。そうした体験を通し、自分と向き合っていけるのが、クルマを持つ歓びではないでしょうか?」とも述べた。
そして最後に、「レクサス車は”雑味”を取り除き、操縦性、静粛性、サウンドなど本来の味を堪能していただきたいと思って、作っています。ここにきて、クルマのレベルがまた一段上がったのでは、と、自負していたところで、新型コロナウイルスが感染拡大しました。残念ではありますが、一刻も早く、以前のようなクルマのある楽しい生活が出来るよう、祈っています」と、付けくわえた。
文・小川フミオ
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