■こんなのもあったの!? 珍しいスカイライン5選
日産「スカイライン」は、現在販売されている同社のモデルのなかでも長い歴史を持つモデルです。
スープラ並みに速いセダンがあった? 絶滅寸前なスゴいセダン5選
初代と2代目スカイラインはプリンス製でしたが、3代目から日産製となり、数々のレースでの活躍や高性能モデルの「GT-R」によって、スポーティなセダン、クーペというイメージが定着しています。
ところが、かつてのラインアップにはユニークなモデルが存在していました。そこで、かつて販売されていた珍しいスカイラインを5車種ピックアップして紹介します。
●スカイライン280D GT
スポーティな印象が強い6気筒エンジン搭載の歴代スカイラインシリーズですが、じつは5代目(C210型)にディーゼルエンジンを搭載したモデルがありました。
1980年に発売された「スカイライン280D GT」は、国産乗用車初の2.8リッター直列6気筒SOHCディーゼルエンジン「LD28型」を搭載し、最高出力98馬力/最大トルク17.3kgm(グロス)を発揮。当時の国産ディーゼル乗用車としては最速クラスと評されました。
当時の日産車で「GT」を名乗る条件は、6気筒エンジンの搭載が不可欠だったため、ディーゼルエンジンであっても「280D GT」とされたようです。
しかし、直前に登場して話題になった、スカイライン初の2リッター直列6気筒ガソリンターボエンジンを搭載した「2000GTターボ」の陰に隠れてしまい、話題になることはあまりありませんでした。
6代目(R30型)でもディーゼルエンジン搭載車がラインナップされましたが、スカイラインの購入を検討するユーザーが、あえてディーゼルエンジンを選ぶことはほとんどなく、実際に走っている姿を見ることは稀だったようです。
●スカイライン ハッチバック
1981年に登場した6代目スカイライン(R30型)は、2リッター直列4気筒DOHCエンジン「FJ20E型」を搭載した「RS」シリーズが記憶に残っていますが、スカイライン初の試みとして、2ドアハードトップ、4ドアセダン以外に5ドアハッチバックが存在しました。
5ドアハッチバックはRS以外のモデルにラインナップされ、リアシート部分までは4ドアセダンとドアも共通でしたが、ルーフエンドからテールエンドに向かってなだらかに傾斜するバックドアが採用されています。
4ドアセダンの居住性とハッチバックの利便性を合わせ持ったクルマでしたが、当時は国産車で5ドアハッチバックのモデルは売れないというジンクスがあり、スカイライン ハッチバックも販売は低迷して、滅多に見かけることはありませんでした。
実際には「スカイラインのイメージに合っていない」ということだったのかもしれません。
しかし、性能的にはトップグレードの「ターボGT-EX」で最高出力145馬力/最大トルク21.0kgm(グロス)を発揮する2リッター直列6気筒SOHCターボ「L20ET型」エンジンが搭載され、トップスピードではRSを凌ぐ高速性能を持っていました。
●スカイライン ワゴン
1985年に4ドアハードトップと4ドアセダンのみが先行発売された7代目スカイライン(R31型)は、1973年発売の「GT-R」以来となる2リッター直列6気筒DOHCエンジンが搭載されたことで話題となります。
翌年の1986年には2ドアクーペが登場し、その少し前には、6気筒エンジン搭載のステーションワゴンも追加されました。
歴代スカイラインのなかで3代目(C10型)から5代目までは、ステーションワゴンと商用バンがあり、6代目はバンが設定されていました。
昭和のころは、セダン、クーペ、ステーションワゴン、バンなど、数多くのボディタイプを1車種でラインナップすることは珍しくなく、スカイランでも定番でした。
そうしたことから7代目でも、使い勝手の良いステーションワゴンがラインナップされたことは自然な流れです。
搭載されたエンジンは最高出力170馬力/最大トルク22.0kgm(グロス)の2リッター直列6気筒SOHCターボ「RB20ET型」で、よりハイパワーな4ドアセダンよりも魅力は薄く、当時のハイソカーのような内装もスカイラインファンに受け入れられなかったようです。
なお、ステーションワゴンは7代目限りで消滅し、1996年に発売されたステーションワゴン専用車の「ステージア」へと受け継がれました。
■そういえばあった! スカイラインのSUVとは!?
●スカイライン オーテックバージョン
1989年に発売された8代目スカイライン(R32型)はGT-Rの復活という重要な役割を果たしたモデルです。
3代目GT-Rはレースに勝つという目標のために、280馬力を発揮する直列6気筒DOHCツインターボの「RB26DETT型」エンジンと、可変トルク型の4WDシステム「アテーサE-TS」が搭載され、全日本ツーリングカー選手権では無敵を誇った最強マシンです。
このGT-Rのパーツを流用して、1992年にオーテックジャパンが「スカイライン オーテックバージョン」を発売しました。
ボディはGT-Rとは異なり4ドアセダンで、足回りはチューニングされた専用サスペンションと、GT-Rと同様のブレーキと4WDシステムを採用。
外観ではエアロフォルムバンパーの装着以外は派手なエアロパーツが排除され、控えめに個性を主張しています。
エンジンはRB26DETT型からターボを外して2.6リッターの自然吸気エンジンに作り変えられ、インテーク/エギゾーストマニホールド、カムシャフト、ピストンなどをオーテックジャパンが開発した専用品に変更。
最高出力は220馬力と決して大パワーではありませんでしたが、自然吸気エンジンならではのアクセルレスポンスが高く評価されました。
また、スカイライン オーテックバージョンは「スポーツカーを卒業した大人のためのセダン」というコンセプトで開発されたため、トランスミッションは4速ATのみの設定で、余裕を持ってロングドライブ楽しんでほしいという想いがあったからのようです。
●スカイライン クロスオーバー
GTカーのイメージが強いスカイラインのなかでも、とくに異端なモデルが「スカイライン クロスオーバー」です。
スカイライン クロスオーバーは2006年に発売された12代目スカイライン(V36型)の派生車として、2009年にラインナップに加わった、文字どおりクロスオーバーSUVです。
外観デザインはスカイラインのイメージを踏襲したロントフェイスに、リアがクーペスタイルとなっているワゴンタイプで、パワーユニットは330馬力を発揮する3.7リッターV型6気筒エンジンを搭載し、駆動方式はFRと4WDが設定されていました。
ラグジュアリークーペとSUVを融合させたスカイライン クロスオーバーは、海外市場に投入されていたインフィニティ「EX37」を国内向けに仕立てたクルマで、高級感のあるSUVとして発売されましたが、日本では販売が低迷。
スカイライン クロスオーバーは2016年に生産が終了され、後継車はありませんでした。SUV人気が高い現在ならば、販売状況が変わっていたかもしれません。
※ ※ ※
スカイラインシリーズは、高性能を追求することが使命であることは現在も変わりなく、時代の流れに合わせた走行性能だけでなく、先進運転支援技術や予防安全技術においても高性能を追及しています。
最新モデルではスカイライン史上最高の405馬力を発揮する「400R」の設定や、ハンズオフ走行が可能な先進運転支援技術「プロパイロット 2.0」をハイブリット車に設定するなど、日産が持つ最先端の技術が取り入れられています。
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みんなのコメント
ただ、当時も感じていたのが、R31のステーションワゴンになぜかディーゼルモデルが無かったことで、しかもステージアが出るまでこのクラスのワゴンがラインナップに無かったりと、日産の商品企画の甘さがトヨタに差をつけられる遠因になったですね。