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GT-Rにセルシオ、NSXと名車の当たり年 平成元年を彩ったクルマ5選

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GT-Rにセルシオ、NSXと名車の当たり年 平成元年を彩ったクルマ5選

■まさに当たり年、平成元年発表・発売のクルマ5車種

 2019年4月30日をもって「平成」が終わります。1989年1月に「平成」が始まり、この30年の間にさまざまなことが起こりました。よかったこと、うれしかったこともあれば、悪かったこと、悲しかったことも、皆さんひとりひとりに平成の思い出があると思います。

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 クルマについては、この30年で大幅な進化を遂げました。とくに目覚ましく進化したのはパワートレインと安全性能ではないでしょうか。

 動力源が多様化して、ガソリン車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、クリーンディーゼル車、電気自動車、燃料電池車と次々に世に出ました。

 また、自動ブレーキに代表される先進安全装備も一気に普及して、いまや軽自動車にも標準装備されています。

「平成元年」には、こんな世の中になるとは誰もが予想していなかったでしょう。一方で、この年にデビューしたクルマは、いまも語り継がれるほどの名車揃いでした。

 今回、平成元年に発表・発売されたクルマのなかから5車種を厳選して紹介します。

●日産「スカイライン GT-R」

 日産は1980年代に「1990年までに走りにおいて世界一を狙う」というスローガンを掲げ、これを「901活動」と名付け、プロジェクトをスタートさせました。

「901活動」実現に向け、北米市場は「Z32型 フェアレディZ」、ヨーロッパ市場は「P10型 プリメーラ」を主力モデルと位置づけ、日本市場では「R32型 スカイライン」の開発を進めます。

 そして、1989年5月「R32型 スカイライン」がデビューし、さらに16年ぶりとなる「スカイライン GT-R」復活も宣言され、同年8月に「スカイライン GT-R」が発売されました。

「スカイライン GT-R」が目指したところはただひとつ、レースで勝つことでした。「ATTESA E-TS」4WDシステムも、2.6リッターの「RB26DETT型」エンジンも、すべてレースに勝つために必然でした。

 翌1990年から「全日本ツーリングカー選手権」に投入されると、初出場初優勝を果たし、そこからは文字通り無敵の快進撃を続けていきます。

 もちろん、レースのみならず、公道でもそのポテンシャルは発揮され、280PSと当時の自主規制上限のパワーと、後輪駆動を基本とした4WDシステムに前後マルチリンク式サスペンションを採用し、すぐれた加速性能とハンドリングを実現。またたく間に人気を不動のものとします。

 発売から30年経ったいまも国内外で高い人気を誇り、2017年にはニスモから部品が再販売されるなど、まだまだ話題が尽きないモデルです。

■国産メーカー量産初のスーパーカー、ホンダ「NSX」が登場!

●ホンダ「NSX」

「NSX」のデビューはアメリカでした。1989年2月のシカゴ・オートショーに開発コード「NS-X」という名で、高級車ブランド「アキュラ」のスポーツカーとしてプロトタイプが出典されました。

 国産量産車で初となるスーパーカーでしたから、このニュースに日本のクルマ好きは沸き立ちました。

 翌1990年9月、国内での記者発表会が開催され、全国のべルノ店(当時の販売チャネル)を通じて発売。世はバブル景気真っ只中とあって発売前から注文が殺到し、発売時ですでに3年分のバックオーダーを抱えていたといいます。

 車名は「NSX」に改められ、軽量オールアルミのシャシとボディパネルに、VTECを採用し自然吸気ながら280PSを達成した3リッターV6 DOHCエンジンをリアミッドシップに収め、低い車高に「くさび」のような鋭いデザインと、まさに国産スーパーカーというべきクルマに仕上がっていました。

 開発ドライバーに「マクラーレン・ホンダ F1」に乗るアイルトン・セナを起用していたことも大きな話題となりました。

「NSX」は卓越したハンドリングとパワーの持ち主というだけでなく、普段使いも問題なくできる高品質のスーパーカーとして開発されました。このことは後に、フェラーリやランボルギーニといった老舗のスーパーカーメーカーに大きな影響を与えたといいます。

 この設計思想は最新の「NSX」にも受け継がれており、優れた運動性能だけでなく、スーパーカーらしからぬ上質な乗り心地も両立されています。

●トヨタ「セルシオ」

 1989年以前、トヨタ最高峰の高級車といえば「センチュリー」で、その下に位置するのが「クラウン」でした。「センチュリー」はショーファードリブン(運転手が運転)で、「クラウン」はオーナー自ら運転するクルマです。

 その間を埋めるカタチで発売されたのが「セルシオ」です。メルセデス・ベンツやBMWといった欧州高級ブランドに負けないフラッグシップ・カーを目標に、開発のすべてを原点から見直し、優れた走行性能と圧倒的な静粛性が追求されました。

 実際に「セルシオ」のクオリティは世界中の高級車メーカーを驚かせ、その後の開発思想に大きな影響を与えました。

 エンジンは先行して「クラウン」に採用された最高出力260PSの4リッターV8DOHCの「1UZ-FE型」を搭載。組み合わされるトランスミッションは4ATのみでした。

 エンジンの静粛性は非常に高く、低速走行ではエンジンの存在を忘れてしまうほど。また振動が少ないのも特長で、エンジンをかけた状態で、エンジン上にコインが立ったという逸話もあります。

 また「セルシオ」は北米にも輸出され、レクサス「LS400」としてレクサスブランドの構築にも貢献。そのクオリティは北米でも認められ、会社役員や弁護士といったエグゼクティブのクルマとして人気を博しました。

■ギネス記録を持つ、ライトウェイトスポーツ「ロードスター」

●ユーノス「ロードスター」

 1980年代にマツダは販売チャネルを拡張し、5つ立ち上げ、そのひとつ「ユーノス」から「NA型 ロードスター」は発売されました。

 それまで日本ではオープン2シーターの市場はとても小さく、ほとんど輸入車がシェアを占めるなか、マツダはオープンカー専用のシャシを開発しつつも、「ファミリア」の1.6リッターエンジンを流用するなどして開発期間を大幅に短縮。さらに価格も170万円台と安く抑え、日本のみならず北米でも大ヒットしました。

「ロードスター」の成功を目の当たりにして、国内外のメーカーがオープン2シーターを次々と発売し、オープン2シーターの市場が再燃するという多大な影響を与えたことは、「ロードスター」の大きな功績となっています。

 また、マツダが目指した「人馬一体」というコンセプトにより、110PSと平凡なパワーながらも、それを補うのに十分なほど軽量コンパクトなFR車として優れたハンドリングを実現。デートカーとしてだけでなく、走りを重視するユーザーにも受け入れられる存在となりました。

 この「人馬一体」は歴代「ロードスター」に受け継がれ、もちろん最新の「ND型 ロードスター」にも健在です。

 さらにマツダは2017年に初代「ロードスター」のレストア(再生)サービスと部品の復刻を開始しました。ユーザーにとってもメーカーにとっても、初代「ロードスター」は後世に残すべき1台という位置づけなのかもしれません。

●スバル「レガシィ」

 4WD乗用車というジャンルは、日本ではスバル「レオーネ」、海外メーカーではアウディ「クワトロ」によって確立されました。そのスバルも元々は雪道や砂利道などの、悪路走破性を高める目的で開発されていましたが、この「レガシィ」の登場で舗装路においても4WDが有効であると示しました。

 トップグレードでは2リッター水平対向4気筒ターボエンジンを搭載。出力は200PSとパワフルで、テストコースによる10万km連続走行の速度記録を樹立するなど、速さが際立つセダン/ワゴンの代名詞となりました。

 ボディサイズは5ナンバー枠に収まり、日本では使い勝手の良さもあって、ヒット作になります。折しも時代背景としてスキーブームもあり、高速道路から雪道まで難なくこなすオールラウンダーとしても人気に拍車をかけました。

 また、モータースポーツのベース車として「RSタイプRA」などがラインナップされ、世界ラリー選手権(WRC)へも参戦しました。強力なライバルがひしめくなかWRCの戦績は1勝に留まりましたが、後の「インプレッサ」に続く重要な布石になりました。

 いまもスバルは4WDモデルのセダンやワゴンをメインに販売していますが、その下地となったのが初代「レガシィ」だったのではないでしょうか。

※ ※ ※

 平成元年を彩ったクルマ5選はいかがだったでしょうか。どのクルマもエポックメイキングなものばかりで、クルマの高性能化、高品質化を牽引していった存在です。

 今回紹介したクルマ以外にも平成元年にデビューしたモデルとして、日産「フェアレディZ」(Z32型)や日産「インフィニティQ45」、トヨタ「MR2」(SW20型)など、ほかにも粒ぞろいでワインに例えると、平成元年は本当に当たり年だったと言えます。

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