7月6~7日、富士スピードウェイでGAZOO Racing 86/BRZ Raceの第5戦が開幕戦以来となる1ヒート形式で行われた。事前の予報では天候が崩れると言われていたものの、3レースとも予選、決勝を通じて路面が完全に濡れるまでには至らず。プロフェッショナルシリーズでは水谷大介(GR Tokyo Racing 86)が初優勝を飾り、クラブマンシリーズEXPERTクラスでは橋本洋平(カーウォッチBS 86 revo)が3勝目をマーク。そして、クラブマンシリーズOPENクラスでは、今井清則(すごいねBR-ROM 86)が初優勝を挙げている。
このレースウイークは天候が不安定で、土曜日の予選も雨に見舞われることが濃厚とされていたプロフェッショナルシリーズ。いつ雨が降り出してもおかしくない状況だったものの、幸か不幸か最後まで降らず、セッション後半に勝負をかけたドライバーの多くが上位につけていた。
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終了間際までトップにつけていたのは服部尚貴(OTG DL 86)だったものの、終了間際に逆転を果たしたのが、水谷と堤優威(ADVICSカバナBS 86)。水谷は第2戦以来となる、2回目のポールポジション獲得となった。
「僕が速いんじゃなく、今回もクルマが速いんです(笑)。雨の心配もあったんですが、最後までもってれて運も味方してくれましたし、まるまる1周スリップストリームを使わせてくれたクルマもいたものですから」と控えめに語った水谷ながら、決勝に向けては表情を引き締めた。
「第2戦のポールからの自分のミス(で後退)、みたいな感じにはならないように! 今回もまたミスしたら(ドライバー)失格なので。何もミスしないよう、しっかり自分のレースをしていきたいと思います」
心配された雨だが、決勝スタートの直前になって霧雨が舞った程度で、路面は濡れるまでには至らず。ポールシッター水谷のマシンのまわりには大応援団が押し寄せ、それがまったくプレッシャーにならなかったわけではないだろう。
しかし、スタートをしっかり決めた水谷は、1コーナーに難なくトップで飛び込み、堤と服部、井口卓人(CG ROBOT BRZ BS)を予選順位のまま従えていった。
その4台でトップグループが築かれるなか、1周目を終えて間もなく服部にドライビングスルーペナルティが命じられてしまう。グリッド停止位置違反が原因だ。これでトップ争いは三つどもえに変化し、まずは3周目のヘアピンで堤が水谷のインを刺して、トップにおどり出る。
しかし、今回の水谷は少しも動じることなく、ピタリと背後につけたまま。そして6周目の最終コーナーで堤のインを突いて、再びトップに浮上する。逆に堤は7周目、「1コーナーの立ち上がりが僕の方が速くて、その先のコカコーラコーナーまでに」と語る井口にもかわされていた。
その後も3台連なったまま周回を重ねていたが、もはや順位変動はなく。辛くも逃げ切った水谷が、プロフェッショナルシリーズ初優勝を飾ることとなった。
「やっとですね。でもプロシリーズ5戦目(での優勝)は早かったかもしれません」と水谷。
「第2戦のことがあったから同じミスはしないよう、自分の中でも心がけていましたが、『ああいう時は、こうしたらいい』とかアドバイスをくれたんです、みんな。ライバルチームの人も。だから、みんなに感謝ですね。今回は抜かれても自分の方が速いって信じて、落ち着いて走れたからの結果です」
「プレッシャーも実はありましたが、喜びの方が大きいですし、本当に勝てて良かったです」
2位は井口で久々の表彰台に。3位は堤で「今回の結果は悔しいけれど、ランキングトップに立てたのは良かった」と。4位でゴールの近藤翼(神奈川トヨタ☆DTEC 86R)を再び0.5ポイント差ではあったが逆転した。
前週に行われたスーパーGT第4戦タイで優勝し、その勢いを保った脇阪寿一(Owltech 86)が5位、ひさびさの参戦となった山下健太(千葉トヨペット勝又グループ86)も寿一に続いてゴールしている。
クラブマンシリーズのOPENクラスでは、予選終了直前に松沢隆弘(Uグループ・ペトロナス86)が橋本洋平(カーウォッチBS 86 revo)を僅差ながらもかわして、第2戦以来のポールポジションを手中におさめていた。
「並んだ位置が悪かったので、ごちゃごちゃしたところを走るより待ったほうがいいだろうと。赤旗が出ないかと少しドキドキしましたが、結果的に正解でした。アタックを終えたクルマのスリップストリームが使えたので。できればスタートでトップを守って、そのまま逃げたいですね」と松沢。
3番手は神谷裕幸(N中部GRGミッドレス86)が、そして4番手は松井宏太(ネッツ青森アップルRC 86 DL)が獲得した。
決勝では松沢がスタートに出遅れたのに対し、またしても橋本が好スタートを切って1コーナーをトップでクリアしていく。その直後に神谷と花里祐也(埼玉トヨタ・エンドレス86)が接触し、さらに松井は衝突を避けるべくオーバーラン。この混乱があったことで橋本はオープニングラップのうちに、結果的に2番手に留められた松沢に2秒の差をつけた。
しかし、その後のペースに優ったのは松沢の方。予選6番手から順位を上げてきた、水野大(GRガレージ新大阪86DL)を従える格好で、橋本との差を徐々に詰めていたのだが……。
3台がテール・トゥ・ノーズ状態になったところで、なんとセーフティカーが。ダンロップコーナーのアクシデントで3台がストップしたためだ。それが次の周の7周目には、赤旗中断となる。
SCスタートでの仕切り直しになるが、それもわずか1周のみ。リスタートをまたしても完璧に決めた橋本は逃げ切りを果たして2連勝、3勝目をマークした。
「今回もスタートが決まったのが大きいですよね。今年はよくSCが出るんですけど、リスタートをどうやって決めようか、しっかり考えるようにもなって、それもうまくいっています」と橋本。2位は松沢が、そして水野が3位を獲得した。
62台ものエントリーを集め、予選が2組に分けられたクラブマンシリーズのOPENクラスは、フロントローに並んだ今井清則(すごいねBR-ROM 86)とCANDY竹川(WAKO’Sネッツ東埼玉86)の一騎討ちになるかと思われた。が、竹川はグリッド位置停止違反のペナルティーでドライビングスルーを命じられ、順位を落としてからは今井の独走に。
佐藤純一(ワコーズロゴス倉田86)と志賀俊方(C.S.i GR水戸インター86)、西澤嗣哲(C-ENGテックMS 86)が激しく争っていたこともあって、難なく逃げ切り果たし、「後ろがバチバチやってくれていたので、最後はペースを抑える余裕もできました。このレースでは初優勝です」と今井。一方、最終ラップのコカコーラコーナーで西澤にコースアウトもあり、2位は志賀が、3位は西澤が獲得した。
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