2020年7月に梅雨のピークに入り、九州地方、岐阜県、長野県など各地で記録的な大雨により大きな被害が発生している。
ヨコハマタイヤが発表しているデータによると、日本の年平均降水量(1981~2010年)は約1690mmで、なんと世界平均の約2倍もの雨が降っているという。また、日本の年間での雨の降り方は、春から秋にかけて春雨、梅雨、ゲリラ豪雨、台風、秋雨と降水量の多い時期が連続するという特徴があるそうだ。
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そんな雨の多い日本だが、JAFの調査によると、毎年車両の水没による被害は数十件発生しており、また近年多発しているゲリラ豪雨によって冠水、車両故障、そこから遭難するケースも発生しているという。
今回は、梅雨時から増加する豪雨による冠水路に出くわした際の正しい対処法、そして安全のための心構えについて解説していきたい。ぜひ一読し、心に留めておいていただきたい。
文/高根英幸
写真/Adobe Stock(Shcherbyna@Adobe Stock)
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■道路冠水での立ち往生はたった4県でなんと1225件も発生
JAFによれば2019年、甚大な被害をもたらした台風19号によって道路が冠水し、立ち往生してロードサービスが救援したクルマは福島、長野、栃木、千葉の4県だけで1225件にも達したそうだ。その多くはディーラーや整備工場、もしくは自宅へと牽引される自走不能な状態だったと言われている。
先日、埼玉県では10分間に50ミリという記録的なゲリラ豪雨を記録しているなど、最早異常気象とは言えないくらい、豪雨や水害は毎年のように起こっている。コロナ禍での豪雨災害による避難施設の確保などを地方自治体が進めているようだが、災害に対する備えは食料の備蓄や避難所の確認だけに留まらない。
ゲリラ豪雨の降った回数は、2019年までの過去5年間平均で4309回/年。例年7月から増え始め、8月にピークを迎える(譲 儀間@Adobe Stock)
豪雨により勾配のある道路が川と化し、クルマも押し流されてしまう様子まで報道される昨今では、豪雨でもクルマの中は安全だと思っている人は少ないだろうが、傘が役に立たないような豪雨でもクルマでは快適に移動できることから、油断してしまっているドライバーも多いようだ。
クルマが便利で快適になったことで、気軽に目的地へと向えるのはいいことだ。取り分けコロナ禍の今、他人との接触を避けて移動ができることから、より安心して移動ができる手段として選ばれている。
しかし前述の通り、異常気象も日常的になったことで、いつ走行中に自然災害に見舞われるかわからないことに危機感を持っていただきたい。交通事故を防ぐ意識と同じように、災害に対する危機感も持たなければならない時代になっているのだ。
■豪雨の時は乗る前から考えたい リスク回避の意識改革
何か異変が起こってから、それに対しての対処を考える、という人もいる。冠水した道路を走っているドライバーのなかには比較的高確率で、そうした危機管理能力の低い人が存在しているようだ。
なぜなら危機管理能力の高い人は、そもそも豪雨のなかで出掛けることはほとんどしない。今や天気予報が正確で、今後の降水予測が簡単に入手できる。豪雨が予想されれば、前日に用事を済ませておいたり、翌日以降に変更するなどして、外出をなるべく控えるようにする手配をするものだ。
それでも出掛けなければならない時には、なるべく冠水しにくい道路を使うようにするハズだ。地元であれば土地の高低差、雨水が集中して流れ込むような場所は大体頭の中に入れておき、集中豪雨の時にはその付近に近付かないよう走るルートを構築する。
リスクを冒さなければならない時でも、常に最善の方法を採れるよう何段階にも分けて(それ自体は意識していなくても)高リスクを回避できる手段が思い付くのが危機管理能力の高い人たちだ。
地域によっては地形の起伏によって、冠水しやすい場所もある。常日頃から危険性の高い場所は確認しておく必要がある(hcast@Adobe Stock)
カーナビにルートを任せるだけで目の前の状況に対応しているだけの、クルマに運転させられているような運転スタイルでは、こうした発想にはならないだろう。だから日頃から想像力を働かせ、豪雨の際にはどうするべきか行動パターンを考えておく必要があるのだ。
豪雨の際には駅までとか学校までクルマで家族を送迎する役割を担っている人も多いハズだ。前述のように豪雨で傘も役に立たないような状態では、クルマは本当に役立つありがたい存在であるが、それにも限度がある。冠水するような状態では、なるべく豪雨の時間から送迎をズラすようにしたり、なるべく出掛けないで済む手段を考えるべきだ。
「クルマだから大丈夫」は大丈夫じゃない考えで、それが時に危険を呼ぶことに気付いて欲しい。
豪雨のなか、クルマなら大丈夫と出掛けて、アンダーパスに入って目の前に冠水した道路が出現してもUターンできないため、とりあえず(!)そのまま冠水した道路に進入してしまう。そしてクルマが制御不能になってから慌てるのでは、遅過ぎるのである。
「100年に1度の大災害なんて、そうそう来るもんじゃない」これまでの記録と照らし合わせて表現した報道を鵜呑みにしてそう思うのは、非常に危険な考えだ。これまでの気候と大きく変わってきている現在、毎年のように台風や豪雨による水害が起きているではないか。
■冠水路の走り方、アンダーパスでの冠水に遭遇したらどうする?
アンダーパスに遭遇して冠水している状態が見えたら、左に寄って止まる、左側もクルマが走っているなら、ハザードを出して後続車に注意して冠水している地点より前で止まることだ。
後続車をせき止めてしまっても、この場合は仕方ない。もし冠水のレベルが低く、クルマが問題なく通行できる深さとわかったら、改めて通り抜ければいいのだ。とにかくアンダーパスの冠水はまず避けることを優先するべきだ。
アンダーパスに設置された排水ポンプの能力を超える大雨となった場合、クルマが水没する深さの冠水が発生する。人通りの少ない場所で水没した場合、救助が遅れることもある(Satoshi@Adobe Stock)
冠水の危険があるアンダーパスには、写真のような標識がある。大雨の時は、近道だからとアンダーパスを通らずに、遠回りでも違うルートを選びたい(sunftaka77@Adobe Stock)
SUVであれば悪路走破性が高いから、ミニバンやハッチバックに比べて冠水にも強いと思っているドライバーもいるだろうが、ジムニーやランドクルーザーなどのクロスカントリー4WDならともかく、FFベースのプラットフォームを使ったスタイリッシュなSUVは、車高が高くなった分だけ冠水に強くなった程度だと考えておいたほうがいい。
一般的にクルマが問題なく冠水路を通過できるのはフロアパネルの高さまでと言われているから通常のクルマで30cm程度、SUVでも50から60cm程度だ。その程度でもマフラーの出口まで水に浸かってしまうと、エンジンを止めてしまうと再始動が難しくなるから、低いギアを選択して速度や周囲の状況に注意しながらゆっくり走行することだ。
ちなみに河川や海に転落してしまっての水没では対処の仕方は異なる。水深が深い場合、クルマはエンジンをマウントしたフロントから沈んでいく。この場合、沈み始めた瞬間であればドアを開けて脱出することはできるようだが、一定以上沈むとドアは外からの水圧で開かなくなってしまうので、パワーウインドウが動けば窓を開けて脱出する。窓が開かなければガラス内側から先端の鋭いハンマーで割って脱出するしかない。
https://www.youtube.com/watch?v=Cuh4Qk5RceE
JAFのテスト動画。動画内の解説は英語だが、冠水路に水没した際の様子を360度カメラで撮影しており、水没時の危険性や対処法がよくわかる
そういう転落の危険性がある地域を走るドライバーなら脱出用のハンマー(シートベルトカッターも一体化している)を車載しておくことだ。
冠水したアンダーパスに誤って進入してしまった場合でも、すぐに停止して戻れるようなら戻ったほうがいい。「ひょっとしたら渡り切れるかも」と思ってそのまま進むのはリスクが高すぎる。たとえ渡り切れたとしても、エンジンルームや車内が浸水すれば、あとあとサビやカビ、悪臭などでトラブルの原因になることもある。
それでも冠水が深く、エンジンが停止してしまったり、クルマが道路から浮いてしまったら、即座にシートベルトを外して窓を開け、クルマを捨てて脱出すること。躊躇している間に水位が上がって脱出不可能になってしまい、車内で亡くなってしまった例もある。
水没車両より命のほうが大事なことは誰だってわかる。一瞬の判断が生死を分けることもあるのだから、迷っている場合ではないのだ。
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みんなのコメント
決壊などで突然襲われたなら仕方のない部分もあるが、水が見えてるのに自ら突っ込むのが危険なことは、それから明らかだろう。
普通の理性があればやろうとは思わない。