ファンも驚くほどインパクトのあったモデルたち
トヨタのモータースポーツ活動やカスタマイズパーツのブランドとして知られる「TRD(Toyota Racing Development)」は、カスタマイズパーツのほか、多くのコンプリートカーをリリースしてきた。今回はそんなTRDが手掛けたコンプリートカーの中から、特にインパクトのあったモデルたちをご紹介したい。
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【TRD2000】
TRDブランドのコンプリートカーの先駆けとなったのが、1994年に当時のカローラセダンGT(AE101型)に2リッターの3S-GE型エンジンを押し込んだ「TRD2000」だ。当時はカローラセダンは3S-GE型エンジンを搭載してJTCCに参戦しており、そのノウハウを持って誕生したモデルであるが当然、車検にも対応するように作らなければならなかったのはレースカーとは違う苦労があったに違いない。
なお、搭載された3S-GE型エンジンは180PS/19.5kgf・mと、同時期のMR2やカリーナEDなどに搭載されたのと同スペックであったが、カローラからしてみれば十分なスペック。さらに専用のマフラーや足まわり、ブレーキパッドにストラットタワーバーも標準で装備されており、オプションで強化クラッチやLSD、スポーツシートなども用意されていた。
当時の価格は335万円となっており、ベース車が172.6万円、改造費が162.4万円とカタログに記載されていた。実際に後からこの作業をやろうと思ったらこの費用では到底まかなえない額ではあるが、如何せんカローラということもあり、限定99台のところ実際はそれよりもはるかに少ない販売台数だったようだ。
【TRD3000GT/TRD2000GT】
モータースポーツ活動を行なっているTRDならでは、といえるコンプリートカーが「TRD3000GT」と「TRD2000GT」だ。前者は80系スープラが、後者は2代目MR2がベースとなっており、どちらもGTカーを彷彿とさせるエクステリアが最大の特徴だった。
特にTRD3000GTは全日本GT選手権(当時)に参戦するGTカーにほど近いエアロパーツをまとっており、ボディは最大片側30mm拡大される本格的なものだった。TRD2000GTも同様に片側30mmのワイドフェンダーを始めとした迫力のボディパーツが用意されていた。
これらはコンプリートカーとして販売されただけではなく、外装パーツ単体でも販売されていたので(現在は販売終了)、ノーマル車をベースにディーラーでワイドフェンダーを装着することもできるというのが画期的だった。ただし、ボディ加工が必要となるため、どこのディーラーでも架装できたわけではなかったそうだ。
【TRDスポーツMシリーズ】
2000年代初頭に多くのモデルに設定された「TRDスポーツM」シリーズは、エンジンや足まわりに手が加えられたスポーツコンバージョンシリーズ。
カローラランクスやカローラフィールダーでは、ポート研磨までもがなされてノーマル比+15PSを実現したほか、その他のモデルでも排気系のリファインによって10PSほどのパワーアップがなされていた。
そんなTRDスポーツMシリーズのなかでも、もっとも大きな変更を受けていたのがパッソ(初代)だろう。1.3リッターエンジンを搭載したスポーツグレード「Racy(レーシー)」をベースに、なんと日本仕様には存在しない5速MTを搭載(兄弟車のブーンにはX4にMTが存在)していたのだ。
【コンフォートGT-Zスーパーチャージャー】
タクシーや教習車としておなじみの“働くクルマ”、コンフォートをベースにスーパーチャージャーでパワーアップ。ほかにもTRDスポーツサスペンション、強化ブレーキ、エアロパーツなどを装着したオリジナリティー溢れるコンプリートカーが、2003年に販売された「コンフォートGT-Zスーパーチャージャー」だ。
5ナンバーサイズの2リッターエンジンを搭載したFR車という素性を活かして、80年代のスポーツセダンテイストを盛り込んだ同車。小ぶりなチンスポタイプのフロントバンパーやリアウイング、RSワタナベ製の8スポークアルミホイールを装着するなどして、いわゆる“走り屋”的な雰囲気を存分に漂わせていた。
エンジンはベース車に搭載される3S-FE型エンジンにスーパーチャージャーをプラスすることで、+30PSと+4.0kgf・mのパワーアップを実現。ピークパワーを求めるターボとは異なり、低速域でのトルクが厚くなったことで、扱いやすさを狙ったセッティングとなっていた。
【14R-60】
2014年10月に100台限定で販売された14R-60は、TRDの母体(当時)であるトヨタテクノクラフト創立60周年を記念してリリースされたコンプリートカーだ。
TRDが研究開発用にサーキット専用車として生み出し、ノーマルエンジンで筑波1分1秒台をマークした「86 TRD Griffon Concept」で培った技術をロードゴーイングカーに落とし込んだモデルであり、エンジン本体はノーマルのままだが、専用のエアロパーツに2シーター化やカーボンを多用した軽量化、強化された駆動系やボディはもちろん、サスペンションブッシュまでが見直された本格的なモノだ。
当時の新車価格は630万円と高額だったが、専用パーツを組み込むだけでなく、ルーフをカーボンで貼り換え、ガラスもボディの強度アップのために一度外して高強度なガラス接着剤での再接着作業まで行なわれていた。
レーシングカーを作るときのような手間がかかっていることを考えれば決して高くない価格といえるだろう。
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みんなのコメント
しかも、リアウインドウにはTRDのステッカーが貼られていました。
単なるステッカーチューンだと思ってバカにしてましたが本当にあったとは・・・(笑)