チャップマンとジウジアーロの関与
執筆:John Evans(ジョン・エバンス)
【画像】ジウジアーロのステンレスボディ デロリアンDMC -12 全28枚
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
錆びないステンレス製ボディに、堅牢なメカニズム。部品の供給体制は、最近になって急速に整えられてきた。デロリアンDMC-12は、クラシックカーとして今後も有望な存在のままだろう。
もし強く心が惹かれるのなら、躊躇しない方が良い。1981年に英国ベルファストの生産ラインを1台目が旅立ってから40年。アニバーサリー・イヤーを経て、良好な状態のデロリアンの価値は上昇し始めている。
先月開催されたオークションに、1982年式のデロリアンが出品された。走行距離は9万8100kmで、落札価格は2万6000ポンド(400万)から3万5000ポンド(539万円)の間だろうと予想された。
しかし、ハンマーが降ろされたのは4万2750ポンド(658万円)。3万9000ポンド(600万円)から2人のバイヤーで競り合いとなり、250ポンド(3万8000円)毎に入札が重ねられ、最終的に決着した金額だ。
自動車のオークションでは、リスクがつきもの。競り勝った落札者が、手に入れたDMC-12に満足していることを願っている。
デロリアン誕生の背景には、ハリウッド映画級のストーリーがある。景気の良いゼネラル・モーターズの重役、ジョン・デロリアンは、彼が理想とする2シーター・スポーツカーの開発を目指して独立。
サスペンションとシャシーの開発ではロータスのコーリン・チャップマンへ協力を仰ぎ、デザインはジョルジェット・ジウジアーロに依頼した。その結果、V6エンジンをミドシップした、ガルウィングのステンレスボディが誕生する。
まだ6500台がアメリカに現存している
当時、雇用問題を抱えていた北アイルランドに悩んでいた英国政府をジョン・デロリアンは説得し、融資を獲得。工場の新設も含めて、プロジェクトに巨額の資金が投じられた。
ところが完成車の製造品質もパフォーマンスも、高いとはいえなかった。さらに、民間企業の支援に反対的な政権が選挙で選ばれた。トドメは、資金調達を進めていた最中での、ジョン・デロリアンの麻薬疑惑。彼の夢は打ち砕かれた。
それ以降も複雑な法的措置が取られるが、幸いにも数千台のデロリアンDMC-12が残っている。生産台数は9000台程度だったが、アメリカの道を、まだ6500台ほどが走っているようだ。
部品の供給体制も整っている。オリジナル部品は、テキサスのサプライヤーによって供給が続けられている。英国ノーフォークにも、デロリアン・ゴー社がある。世界第2位の、DMC-12用部品のサプライヤーだ。
英国には、350台から400台のデロリアンが走っていると考えられている。そのすべてが、海外からの並行輸入。複数オーナーが多いが、売買される時はスムーズに走れる状態のことが多い。
すべてのデロリアンは左ハンドル車として製造されたが、一部は右ハンドル車へコンバージョンされている。トランスミッションは7割が5速MT。残り3割は、3速ATが組まれている。
ミドシップする2.8LのV6エンジンは、最高出力131ps。正直非力だから、タイムワープするのは難しい。それでも、デロリアンに3万ポンド(462万円)を投じる勇気があれば、50倍の値段のパフォーマンスカーに匹敵する注目を集められるだろう。
専門家の意見を聞いてみる
アリステア・ヴァンストーン:英国デロリアン・クラブ代表
「少年時代に見てからというもの、ずっとデロリアンが欲しいと思ってきました。そして2002年に1台目を購入したんです。クルマがあったのは、ベルファスト。正しい土地に思えました」
「2006年に2台目、2013年に3台目も購入しています。どちらも中東に輸出された50台の1つ。レストアが必要な状態でした。友人と一緒に、レストア前提の4台目も手に入れています」
「スタイリングも、背景にあるストーリーも好きです。一部の人からは過小評価されていますが、訪問先では沢山の人を笑顔にできます。購入するなら、今が絶好のタイミング。部品も入手しやすいですよ」
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
不安定なアイドリングや吹け上がりが悪い場合、Kジェトロニックの燃料インジェクションが原因かも。エンジンは気温に関係なくすぐに始動し、アイドリングも安定しているのが正常だ。
クランクシャフトのリアシールからオイル漏れすることが多い。交換するには、トランスミッションを降ろす必要がある。
燃料ラインは、メッシュの強化品へ交換されている状態が望ましい。プラスティック製のクーラント・ヘッダータンクも新品に交換したい。ウオーターポンプからクーラントが漏れていないかも確かめたい。ラジエターは高効率のものに交換すると安心。
シャシーとボディ
グラスファイバー製のタブシャシーに亀裂が入っていないか、スチール製のシャシーは、エポキシ剤のコーティングが剥がれていないかを確認する。燃料タンクは、後ろ側が錆びやすい。
ドアが適切に閉まらない場合、ルーフ側が摩耗して腐食することがある。強くドアを開けすぎると、ガスストラットの取り付け部分が破損する。ステンレス製ボディの凹みは、専門業者に依頼すると良い。
トランスミッション
ドライブシャフト・シールからフルード漏れがないか、プラスティック製の配管がメッシュ状の対策品に交換されているかどうか、確認する。2速に入るかも確認ポイント。
電装系
各コネクターが錆びていないか調べる。助手席の後ろにある、ヒューズボックス内も同様。ミラーやドア、集中ドアロックが正常に動くかも確かめたい。
サスペンションとブレーキ
フロントのボールジョイントと、コントロール・アームの状態を確かめる。ハンドブレーキや、ステアリングの動作も忘れずに。
北米仕様のデロリアンは、車高がかなり高い。欧州製のスプリングとショックに交換すれば、適度に落とせる。
インテリア
ダッシュボードが熱でひび割れていないか観察する。修正は可能。エアコンガスを現代的なものにするには、システム全体のアップデートが必要だろう。
英国ではいくら払うべき?
2万ポンド(308万円)~2万7999ポンド(430万円)
レストア前提の、状態が良いとはいえないデロリアンが英国では出てくる。
2万8000ポンド(431万円)~3万9999ポンド(615万円)
平均的なコンディションのデロリアンを英国では買える。快適に乗るには、いくつかの修理やアップグレードが必要なはず。
4万ポンド(616万円)以上
最小限の修理などで乗り出せる、状態の良いデロリアンはこの価格帯になる。
知っておくべきこと
DMC-12の流通量は少ない。アメリカからの並行輸入という手もアリ。所有権証明書と売渡証を取得し、預託業者を介して支払うという手段もあるが、並行輸入の代理業者に依頼すると良いだろう。
英国の工場で製造されたと申告すれば、英国では輸入関税が掛からない。車検取得に向けて右ハンドルの道路環境に適合させるため、ヘッドライト交換などいくつかの整備と改良も必要になる。
英国で掘り出し物を発見
デロリアンDMC-12 登録:1981年 走行:9万3300km 価格:2万2000ポンド(338万円)
ロサンゼルスのディーラーから出品されているデロリアン。車両状態の証明書も付いている。インテリアはくたびれていて、ボディの状態も完璧とはいい難い。頑張って直す価値はある。
並行輸入の業者に問い合わせたところ、英国までの輸送費として1300ポンド(20万円)の見積もりが提示された。
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