2020年9月2日、メルセデス・ベンツはフラッグシップモデル「Sクラス」のフルモデルチェンジを本国にて発表した。
日本への導入は未発表。だが、その「進化」には目を見張るものがある。そのほか、自動運転およびその周辺の最新情報と合わせてご紹介。
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※本稿は2020年8月のものに適宜修正を加えています。
文:ベストカー編集部/写真:Mercedes-benz ほか
初出:『ベストカー』 2020年9月26日号
■メルセデスベンツ Sクラスフルモデル登場! MBUXも第2世代へ
●側面衝突予測と即時に車高がアップ???
9月上旬、オンラインを通じて発表されるというメルセデスの新型Sクラス。日本導入は未発表だが、高級車のベンチマークとして長く君臨してきたクルマだけに、今回も出来ばえが楽しみだ。
写真からわかるエクステリアは、端正さを重視した落ち着いたもの。
メルセデスベンツ 新型Sクラス
しかしその中身は最新技術の塊だ。搭載エンジンはすべて48Vハイブリッド化され、PHVもラインナップされる。ロングホイールベースの取り回しを容易にするためにリアアクスルステア(後輪操舵)を採用し、最小回転半径は非装着車に対し1mも小さくなるという。
全長×全幅×全高は5179×1954×1503mm、ホイールベースは3106mm(標準モデル)
GLSやGLEなどが先行採用している「Eアクティブ・コントロール」は、最新仕様にアップデート。
ステレオカメラと20以上のセンサーを使って、乗り心地の最適化はもちろん、ロールやピッチングの制御も行い、側面衝突が予想される場合は車高を瞬時に上げ、強固なサイドシル部分をクラッシュゾーンとして用いることも行う。
安全装備では後席エアバッグも新しい。前席シートバックの背面に仕込まれて、リアシートに座る要人の頭部と頸部を保護するという。
運転支援機能も大幅に進化。自動運転レベル3の運転アシストを実現する「ドライブパイロット」を2021年後半から導入する予定だ(オプション)。
●第2世代「MBUX」は乗員を守るパートナーとして大進化! 口元の動きを分析!?
しかし当欄がもっとも注目するのは、第2世代に進化する「ハイ、メルセデス」ことMBUXだ。その進化のほどを、技術パートナーであるNVIDIAがブログで紹介している。
12.8インチの大型タッチスクリーン。指先を使ったジェスチャーコマンドも可能だ
トピックはふたつ。ひとつめは、MBUXが車両の周囲や乗員のモニタリングまで担うようになることだ。
たとえば路上駐車してドライバーがドアを開ける際、後方から人や車両が接近してくればMBUXがそれを知らせてくれる。乗員が正しくシートに座っていない時は、危険性を考慮してエアバッグの作動をオフにするといった具合だ。
もうひとつは、コミュニケーション力の圧倒的な向上だ。第2世代のMBUXはドライバーモニタリングによって口の動きも認識するため、今まで以上に自然な言葉遣いによるやりとりが可能になる。
ドライバーモニターは口元の動きを認識。より高度な自然言語理解が可能になる
さらには12.8インチという大型タッチスクリーンやAR(拡張現実)対応ヘッドアップディスプレイにより、いっそう直感的でわかりやすいクルマとの対話を実現するのだ。
■レベル3の自動運転で日本提案が世界標準に
●自動運転装置は「注意深いドライバー」と同等?
2020年4月に行われた道交法と車両運送法の改正により、日本では自動運転レベル3車両の走行が可能になったが、そこでまとめられた「自動運行装置に関する基準」が、国連の下部組織である「自動車基準調和世界フォーラム(WP29)」で認められ、国際基準となった。
あらためて確認すると、今回国際基準となったのは、高速道路で渋滞が起き、時速60km以下で車線維持機能を使って走行するケース。
概要は図にまとめた6項目。
自動運転装置の国際基準の概要
自動運行装置の性能の目安として「注意深く有能な運転者と同等以上」としている点が興味深い。また運転手が運転を引き継ぐまで制御は継続されること、ドライバーモニタリングやサイバーセキュリティの確保も盛り込まれている。
走行のイメージはこちらも図の通り。
自動運転のイメージ。自動車専用道で、なおかつ中央分離帯などにより反対車線と物理的に分割された道路を想定している
渋滞が発生して時速60km以下になったらレベル3の自動運転を開始、同一車線を前車に追従して走行する。渋滞が解消するか、出口が近づいたら自動運転終了だ。
これなら、すでに日産やBMWが採用しているハンズオフ自動運転と同じじゃないかと思うかもしれないが、レベル3になると、自動運転中にスマホの閲覧などが可能になる点が大きい。ただし依然として基本的な安全運転義務は運転者にある点は留意しよう。
気になる対応車両だが、上で紹介している新型Sクラスを皮切りに高級車から普及が進むことになりそうだ。
■あいおいニッセイ同和損保、自動運転中の保険料をタダに
レベル3の自動運転で自動車保険も変わる。あいおいニッセイ同和損保が、自動運転中の保険料をタダにする商品を発表したのだ。
その仕組みだが、同社が指定する車載通信機をクルマに搭載し、自動運転の利用状況を把握する。自動運転で走った距離に応じて、年間の保険料から料金を割り引くのだという。レベル3対応車両を買ったら、ぜひとも検討しよう。
■テスラが自動運転技術の他社に供与?
時価総額でトヨタを抜いたと話題のテスラだが、いよいよ他社に自動運転技術の供与を始めるようだ。
同社CEOのイーロン・マスク氏がツイッターでつぶやいている。
テスラは、自社モデルにオートパイロットという自動運転システムを搭載しているが、その上位機能となる「フルセルフ・ドライビング」のオプション価格をじわじわと値上げするなど、奇策を繰り出している。
今回の発言は、独自技術の開発コストを他社と分担するコストダウン策とも思え、今後の成り行きが注目される。
0-100km/h加速=3.4秒という驚異的な動力性能も話題のテスラ・モデル3
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