ボルボ・カ-ズは2019年3月22日、2020年代初頭に登場する次世代スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー2(SPA2)プラットフォームの導入と同時期に、すべてのボルボ車にドライバーモニター用のカメラ/センサーを導入すると発表した。カメラの正確な台数や車内のどの位置に設置するかについては今後発表するという。
この走行中のドライバーの運転状態を監視するドライバーモニターシステムの採用により、飲酒や薬物使用による酩酊、あるいは注意散漫の問題に対処することで、搭乗中の死亡重傷事故をなくするという目標へさらに一歩近づくことになる。
ボルボは、ドライバーのスピードの出し過ぎによる危険性を抑制するため、最高速度制限システムを採用することを発表しているが、死亡重傷事故を低減させることを阻む要素としては、「飲酒や薬物使用による酩酊」、「注意散漫」といったドライバーに起因する問題が存在していることも認識している。これらの問題はいずれも「交通事故による死亡者または重傷者をゼロにする」というボルボのビジョンに関して大きな課題となっており、したがって運転支援システムの開発だけではなく、人間の行動に焦点を当てる必要があると考えているのだ。
ドライバーに起因するものの中で、特に飲酒や薬物使用による酩酊状態での運転、ドライバーの注意散漫は重大事故を招きやすく、アメリカのNHTSA(国家道路交通安全局)の統計によると、2017年の全交通死亡事故数の約30%が飲酒や薬物使用による酩酊によるものだったとしている。
酩酊、注意散漫により重大事故を招く兆候としては、長時間にわたりステアリングの操作がされない、ドライバーが長い時間にわたり目を閉じているか路面を注視していない、走行中の車線を逸脱するほどの蛇行運転をする、あるいは反応時間が極端に遅いなどが挙げられる、こうした兆候をドライバーモニタリング・システムが監視する。
ボルボは、車内カメラやドライバーを監視するセンサーなどを設置することで、酩酊や注意散漫に対処すべきだと考えている。そして飲酒や薬物使用による酩酊、注意散漫であることが明らかなドライバーが、車両が発する警告信号に反応せず、死亡や重大な怪我に至る事故を起こす危険性がある場合は、クルマが自動的に運転に介入できるようにすることを想定している。
車両による運転介入としては、そのクルマの最高速度を制限する、Volvo on Callアシスタンス・サービスに警告を発信するという方法に加え、最後の手段としてその車両を自動で減速させて安全に停車させることまでが含まれている。
ボルボは、従来からのドライバー支援システム、重大事故につながる可能性のある危険を回避する先進安全システムの開発以外に、ドライバーによって生じる危険性、過大なスピードや、飲酒などによる酩酊運転、注意散漫状態での運転という分野に踏み込んで、ヴィジョン・ゼロを目指すことというプロセスを明確にしていることは注目すべきだ。
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