■公益財団法人が作る!実際に走行できる「間伐材カローラ」
2021年12月10日、愛知県豊田市で活動する「公益財団法人あすて」が、実際に走行できる間伐材のトヨタ「カローラ」(以下、木製カローラ)を公開し、ネット上で話題を呼んでいます。
どのよう経緯で木製カローラは誕生したのでしょうか。
【画像】木製カローラ走り出す! 二度見するレベルの驚愕仕様をみる!(28枚)
木製カローラは、豊田市で伐採されたヒノキの間伐材が使われており、間伐材とは、森林のなかで木が密集しないよう、意図的に間引かれた木材のことです。
デザインは、1966年にデビューした初代カローラで、ボディ形状やグリル、フェンダーミラーなどの細かい造形まで非常に緻密なつくりとなり、ボディだけでなく、シートやホイールまでも間伐材でつくられており、資源が有効活用された非常にサスティナブルな1台といえます。
では、そんな木製カローラは、どのような経緯で誕生したのでしょうか。
制作の経緯について、公益財団法人あすての担当者は以下のように話します。
「豊田市の7割の土地は森林となっています。
森林が多いゆえに間伐材も多く、あすてでは、もともと間伐材を活用して積み木などを制作していましたが、もっと有効活用はできないかという話もありました。
豊田市にはトヨタ本社が置かれており、全国から若い働き手を広く誘致したいこと、さらにカローラ誕生とあすて設立は偶然にも同じ1966年となっており、ふたつの50周年記念をかねて初代カローラを選びました」
このように、あすてはカローラ同様に1966年の設立となっており、カローラ誕生とともに、あすてが歴史を重ねてきたことに縁を感じて初代カローラがベースに選ばれたそうです。
かなり再現度の高い木製カローラですが、制作された当初は走行することをまったく想定していなかったといいます。
しかし、2016年の制作後、木製カローラを見た多くの人から「実際には走らないの?」という疑問が寄せられたことをきっかけに、走行できるように改造することを決定。2020年9月から改造が開始されました。
改造について、あすて担当者は「クルマの制作を通して、子どもたちの、ものづくりの心を育てる『クルマづくり究めるプロジェクト』の指導員がチームを編成しておこないました」と話します。
クルマづくり究めるプロジェクトは、あすてが主導で豊田市と連携しておこなっているプロジェクトのひとつで、子どもたちがクルマのエンジンやボディ、内装パーツ、塗装などの制作を体感する取り組みです。
指導員としては自動車関連会社で働く人々がボランティアとして派遣されており、木製カローラの制作には、この指導員のなかからチームがつくられています。
また、木製カローラは、小型バギー用の燃料電池や12ボルトバッテリー(6個)を動力源とし、駆動部分には軽トラの部品も流用しているとのことです。
なお、最大の特徴は、燃料電池への電力供給の一部に「水素ガス」が使用されているという点が挙げられます。
豊田市は「水素ガス製造方法」の特許を取得しており、今回の木製カローラではその技術を応用して、動力の一部となる電力を供給しています。
このことについて、あすて担当者は「特許技術でまかなえている電力は、全体10分の1程度となっています」と説明します。
豊田市で特許をもつ水素ガスの製造方法は、市内の中小企業で働く人が参加する「ものづくりミライ塾」というプロジェクトにおいて開発されたもので、断続的に水素を発生させつつ、固体の副産物を生成しないという技術です。
このように木製カローラは、資源を有効活用しつつ、豊田市のあらゆる技術が結集された1台となっています。
※ ※ ※
木製カローラの今後の目標について、あすて担当者は以下のように掲げます。
「実際は50km/hほど出るような動力は備わっているため、そのくらいの走行ができるよう足回りの強化を進めたいです。
また、現在はハンドルの切れ角があまり大きくないので、そこも改良していきたいと考えています。水素ガスによる電力の供給率もさらに進めていきたいです」
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みんなのコメント
難燃剤とかCNFとかカーボンナノチューブとか使ってメッチャ頑張って作れば、内燃機関まで含めて木で出来た車とか作れんじゃないかな。
などと夢想。夢想なので悪しからず宜しくお願いします。