内燃機関とEVモデル導入か
text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
【画像】アルファ伝統のクーペ復活なるか【GTVや現行のラインナップをじっくり見る】 全109枚
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)
AUTOCARが入手した情報によると、アルファ・ロメオは製品ラインナップの大幅な見直しにより、電動4ドアクーペのフラッグシップとしてGTVの復活を計画しているようだ。
アルファ・ロメオの将来の技術的フラッグシップと見られているGTVは、ジャン・フィリップ・インパラートCEOが検討している、電動化をはじめとする新技術の採用を先導する数多くの新モデル案の1つだ。
以前、プジョーからアルファ・ロメオに移籍したインパラートはAUTOCARに対し、「現段階では何の発表もありませんが、GTVには非常に興味があります」と語っていた。
GTVの復活案は、レトロな雰囲気の2ドアクーペから、BMW 4シリーズ・グランクーペのような現代的な4ドアクーペまで幅広く、駆動方式は内燃機関とEVの両方に対応していると予想される。
このモデルがどのような方向性を持っているかについては、まだ明確に示されていないが、アルファ・ロメオの関係者が参照した計画文書によると、セダンのテスラ・モデル3やBMW i4をターゲットにしている可能性がある。
GTVの名称は、アルファ・ロメオのさまざまなクーペモデルに使用されてきたが、最近では1996年から2006年にかけて販売された2ドアの2+2に使われていた。
以前の戦略では、GTVの名称はジュリアの2ドアバージョンで復活させる予定だった。しかし、生産可能な状態まで開発されたにもかかわらず、今年の初めに導入が中止されてしまった。
インパラートは、レトロなデザインを用いて電動技術を推進するという形をとっている。プジョー時代には、504クーペにインスパイアされたマッスルカースタイルの電動クーペ、eレジェンド・コンセプトを発表し、高い評価を得ている。
プジョーは、採算が合わないという理由で同コンセプトの市販化を断念したが、アルファ・ロメオはよりハイエンドな立場にあるため、高価格帯の電動クーペを発売できる可能性があった。
ラインナップの大幅な見直し
アルファ・ロメオは、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とPSAグループが合併して1月に正式に発足したステランティスが管轄する14ブランドのうちの1つだ。インパラートCEOのもと、10年半ばまでにラインナップを一新する準備を進めており、将来のモデルはステランティスの新型プラットフォームと電動ドライブトレインをベースにする予定。この刷新は、スケールメリットと収益性の向上を目的としている。
インパラートは、アルファ・ロメオ再生戦略を指揮するために49名のマネージャーチームを設立し、「ステランティスのグローバル・プレミアム・ブランドになる可能性がある」との考えを示した。
アルファ・ロメオの販売台数は激減しており、既存の2つのモデル(ジュリアとステルヴィオ)はすでに予定されていた7年のライフサイクルの後半に入っていることから、インパラートは新たに開発するハイブリッド車と完全EVモデルのラインナップに期待を寄せている。そのラインナップには、ジュリアとステルヴィオの後継モデルも含まれる。
インパラートの計画は、ステランティスのCEOであるカルロス・タバレスも支持しており、今後10年間のアルファ・ロメオへの投資を約束している。タバレスは次のように語っている。
「アルファ・ロメオは電動化に移行しますが、ダイナミックな方法で進めていきます。インパラートはイタリア人であり、情熱とやるべきことへのビジョンを持ってブランドを牽引しています」
2025年までに、アルファ・ロメオのモデルでFCAが開発したプラットフォームを使用するのは、次期コンパクトSUVであるトナーレの1車種のみ。残りのモデルは、PSAグループが開発し、ステランティスがアルファ・ロメオに提供した3つの乗用車用プラットフォームを採用する。これにより、アルファ・ロメオはほとんどのモデルで完全電動ドライブトレインを利用できるようになる。
アルファ・ロメオは、インパラートがブランド・アイデンティティの中心と考えている、イタリア特有のスタイルとドライビング・ダイナミクスを実現するために、既存のデザイン活動を強化している。
インパラートは、アルファ・ロメオのデザイン責任者としてアレハンドロ・メソネロ・ロマノスを招聘した。52歳のスペイン人であるロマノスは元ダチアのデザイン責任者で、セアトで最新のレオンやSUVのアローナ、アテカ、タラッコを担当したことで知られている。
また、アルファ・ロメオはステランティスの所有下で、マセラティと密接な関係を保ちながら運営される。両ブランドは米国や中国などの主要市場での存在感を高めるために、エンジニアリングや開発、販売やサービスの分野で幅広く協力することになる。
インパラートのCEO就任は、次期モデルのトナーレに大きな影響を与えるには遅すぎた。トナーレは前任者の下で構想され、大部分が開発済みだ。しかし、インパラートはアウディQ2やBMW X1のライバルとして期待に応えることができるように対策を講じている。
現在、トナーレの生産開始は2022年まで延期されており、開発陣はプラグイン・ハイブリッドの性能向上に取り組んでいる。トナーレは、昨年生産を終了したジュリエッタの間接的な後継モデルとなる。
入門モデルのブレンネロは2023年に発売予定
インパラートとステランティスのリーダーシップの恩恵を受けるアルファ・ロメオ最初のモデルは、同ブランド3番目のSUVである「ブレンネロ」だ。2023年初頭からポーランドでフィアット500Xやジープ・レネゲードの後継モデルとともに生産される予定で、将来のエントリーモデルとなる見込み。
ブレンネロは、シトロエンC4、プジョー2008、ヴォグゾール・モッカなど幅広いモデルに採用されている、PSAが開発したCMPプラットフォーム(現在はSTLAスモールと呼ばれている)をベースに開発されている。
STLAスモールは複数のパワートレインに対応しており、ブレンネロでは内燃機関とEV仕様が導入される予定だ。アルファ・ロメオ初のEVとなるブレンネロは、最高出力136psの電気モーターで前輪を駆動し、45kWhのバッテリーと組み合わせて、約320kmの航続距離を実現する。
一方で、STLAラージと呼ばれるプラットフォームも、アルファ・ロメオに大きな影響を与える。STLAラージはプジョーが開発したもので、現在のジュリアとステルヴィオを支えるジョルジオ・プラットフォームに代わるものとして、将来の内燃機関搭載のアルファ・ロメオの全モデルに採用される。
STLAラージはジョルジオとは異なり、電動化に対応するために開発された。これにより、高コストのプラットフォーム開発を行うことなく、マイルド・ハイブリッド車やプラグイン・ハイブリッド車を展開することが可能になる。これは、国内および主要輸出市場でますます厳しくなる排ガス規制の枠組みの中で、販売を拡大し、収益を回復するために不可欠なものと考えられる。
STLAラージはまた、マセラティの次世代ギブリやレヴァンテにも採用される予定で、ステアリングやサスペンションなど、ジョルジオ・プラットフォームで採用されている各種システムを新構造に適合させるための技術開発もすでに進められている。
先日、アルファ・ロメオの製品責任者であるダニエル・グザファムはAUTOCARの取材に対し、「ジョルジオ・プラットフォームの良いところは残しておきたい」と述べた。
ジュリアとステルヴィオがSTLAラージを採用する時期はまだ確定していない。しかし、関係者の間では、2023年と2024年に予定されている後継モデルは、新しい構造に切り替わるだろうと言われており、新型GTVにも採用される可能性がある。
GTVは、次期ジュリアやステルヴィオと同様に、マイルド・ハイブリッドやプラグイン・ハイブリッド、さらには完全EVの設定も想定されている。
ステランティスは最近の発表で、STLAラージプラットフォームで最大800kmの航続距離を持つ完全EVが実現可能であることを示唆した。
この新プラットフォーム用の電動ドライブトレインの開発は、電気機器メーカーの日本電産と、フランスのバッテリーメーカーであるサフトとの協力のもと、すでに順調に進んでいるという。
スパイダーとミトも復活の可能性あり
復活が検討されているアルファ・ロメオのクラシックモデルは、GTVだけではない。インパラートは、個人的にスパイダーが好きであることを明かしており、同社のラインナップに復活する可能性を示唆している。スパイダー最後のモデルは、2006年から2010年にかけて生産された。
インパラートは、「わたしはスパイダーが大好きです。しかし、アルファ・ロメオを経済的に一定のレベルにまで引き上げてからお話します」と語っている。
また、10年にわたる経営立て直し計画の一環として検討されているのが、2018年に生産を終了したミトの後継モデルだ。確定したわけではないが、インパラートに近い関係者によると、ブレンネロと同じSTLAスモールプラットフォームをベースに開発され、新たに5ドアハッチバックのボディスタイルを採用して汎用性を高めたものになるという。ランチア・イプシロンの後継モデルと双璧をなす可能性が高い。
アルファ・ロメオというブランドに若い購買層を呼び戻すためには、ミトの復活が不可欠であると考えられているが、現在はSUVモデルが優先されているとの情報もある。
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