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なぜそんなデザインに? 奇妙なインテリアのモデル 17選 前編

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なぜそんなデザインに? 奇妙なインテリアのモデル 17選 前編

奇想天外

奇抜なエクステリアデザインなど、奇想天外なインテリアに比べれば驚くほどのものではないのかも知れない。

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安全性やコストは言うに及ばず、スペースや視界、さらには装備といった点でも制約を受けるとは言え、それでも奇妙なキャビンというのは実在するのだ。

ケバケバしい色使いから、風変わりで見慣れない素材を使ったものまで、われわれお気に入りの奇妙奇天烈なインテリアをご紹介しよう。

ランボルギーニ・ミウラ

初の公道走行可能なミッドシップモデルではないものの、1966年に登場すると、このクルマはそのエクステリアとインテリアで世界中のひとびとを驚かせている。

ベルトーネデザインのボディに隠された、そのほとんど寝そべるようなドライビングポジションも、外観同様ショッキングなものだった。

ほとんど飾り気のないミウラのキャビンは、まるでレースカーのようであり、ランボルギーニが290km/hに届くとするその最高速も十分信じることができた。

だが、例えミウラの最高速がそこまで達しなくとも、このクルマのキャビンはそれを補って余りあるものだった。

ドライバー正面にはふたつの大径メーターが備わり、小さなリアウインドウのせいで後方視界はないも同然だったが、その替わり、キャブレターが並ぶ素晴らしい景色を楽しませてくれる。

シートポジション自体は調整可能なものの、ヘッドレストはリアのバルクヘッドに固定されており、安全面でも快適性の面でも褒められたものではないが、それでも、このクルマはそのスタイルだけですべてが許される。

シトロエンSM

1970年にSMが登場すると、ライバルと違う道を進むことを決して恐れることのないシトロエンが考える高級GTのインテリアの概念は、議論を巻き起こすこととなった。

エクステリアデザインが新時代の到来を告げるこのキャビンでは、機能性と豪華さとが混然一体となっていた。

それを特徴付けるのが、はるかに酷評されたオースチン・アレグロ登場の数年前に早くも採用されていた楕円形のステアリングであり、無理やり押し込まれたようなエアベントだった。

さらに、このクルマでは、ラジオはキャビン中央、クロームメッキされたシフトゲートの後ろ、ハンドブレーキの真横に、隠れるように設置されていた。

もし、シトロエンが、クルマのインテリアとはかくあるべしと考えるオーナーの鼻を明かそうと考えたのであれば、SMは大成功だったと言えるだろう。

アダムス・プローブ

控え目とも言えるヒルマン・インプをベースにしていたかも知れないが、このクルマのスタイリングは慎ましさなどとは無縁だった。

全高わずか736mmのこのクルマのキャビンへのアクセスは一筋縄ではいかず、そのため、乗り降りはルーフから行う必要があったほどだ。

さらに、ハンモック式シートが採用されるとともに、ふたりの乗員は、まるで現代のF1マシンのごとき、フロアに寝そべるような着座姿勢を強いられていた。

プローブのインテリアの奇抜さはシートだけに留まらない。

ステアリングホイールをドライバー近くまでもってくるため、そのスポークは引き延ばされていたが、お陰で、はるかかなたのダッシュボードに埋め込まれたふたつの小径メーターの表示を読むことはほぼ不可能だった。

それでも、プローブ16に主要な役回りを与えた「時計仕掛けのオレンジ」のプロデューサーたちには、なんの問題も無かったようだ。

ドッカー・デイムラー

第2次世界大戦前後、王室向け車両を製作していたデイムラーは、決して派手なスタイリングで知られた存在ではなかった。

だが、それも会長を務めていたサー・バーナード・ドッカーが、レディ・ドッカーことノラと結婚したことで大きな変化を迎えることとなった。もとはホステスをしていた彼女の影響によって、世間の注目を集めるケバケバしいスタイリングのショウカーが数多く生み出され、そのインテリアはエクステリアを凌ぐ派手さを誇った。

何台かの「ドッカー・デイムラー」が実際に生産されているが、いずれも手織りのシルク製錦織を使ったシートや、金メッキのティーセットなどを備えていた。

さらに、驚かされるのは、ブルー・クローバーと呼ばれたモデルのドアインナーパネルには、積層ベニヤ板の替わりにトカゲ革が使用されていたことであり、それに比べれば、シルバー・フラッシュのクロコダイル革張りダッシュボードなど、控えめなものだった。

フィアット・ムルティプラ

ニューヨーク近代美術館にエクステリアとインテリアの双方が展示されている稀有なモデルが、フィアット・ムルティプラだ。

ヴォクゾール・ザフィーラに対抗すべく登場したこのフィアット製MPVの独特のインテリアは、常識に囚われない発想から生み出された、よく考えられたものであり、3人掛けシートを前後2列に配置することで、全員がゆったりと座ることを可能にするとともに、それなりのトランク容量を確保することにも成功している。

このシートアレンジによって、通常はセンターコンソールに配置されるコントローラーは、ダッシュボード上に設置され、その結果、まるでダイソンの掃除機か、スターウォーズのR2D2のように見えるポッドが産み出されている。

実用的でゆったりとしたファミリーカーとして活躍したムルティプラのフロント中央席は、折りたためば、ピクニックテーブルやカップホルダーとしても使用することができた。

パガーニ・ウアイラ

パガーニ・ウアイラのインテリアは気品を感じさせ、その仕上がりは、他のスーパーカーのライバルモデルを凌ぐ素晴らしさを見せる。

まさに、このクルマに期待するとおりであり、ほとんどのものがあるべき場所にレイアウトされているが、それでも、ウアイラのインテリアが他と一線を画しているのは、パガーニの細部にわたるこだわりだ。

まるで高級腕時計のスケルトン式ムーブメントのごとく、内部のメカニズムが目視可能なギアシフトや、センターコンソールからダッシュボードへの見事な連続性、さらにはインストゥルメントポッドを構成するダイアル類などは、このクルマに支払った金額を納得させるだけの仕上がりを見せる。

クレージー? 確かにそうかも知れないが、同時に非常に魅力的でもある。

アストン マーティン・ラゴンダ

1970年代、アストン マーティンには顧客の幅を拡げ、早急に売上増を実現してくれるモデルが必要だったのであり、それがラゴンダ誕生に繋がっている。

だが、アイデア自体は素晴らしかったものの、キャビンにはコストを掛け過ぎてしまったようだ。世界初となるデジタルメーターを採用したものの、その開発コストは車両全体の4倍にも達している。

ボタンの替わりに採用したタッチスクリーンパネルは、ラゴンダを購入しようという勇気あるドライバーたちには不評であり、さらに、このデジタルスクリーンはすぐに動かなくなった。

後期モデルでは、インストゥルメントパネルにブラウン管を採用したものの、さらに信頼性で劣るとともに、コストの掛かるものとなっていた。

キャデラック・エルドラド・ビアリッツ

どの世代のキャデラック・エルドラド・ビアリッツとそのインテリアでも、さまざまな素材と仕上げ、さらにはスタイルが交じり合っている。

それでも、もっとも驚くべきは、1971年から78年にかけて生産された7代目モデルの、まるで地上のヨットとでも呼ぶべきキャビンであり、まるで派手好きで知られた有名ピアニスト、リベラーチェの世界を実現したかのようだった。

このクルマのドアを開け、最初にパッセンジャーを迎えてくれるのが、クッション付きシートであり、キャデラックがどれほど快適性を重視していたかを物語るとともに、頭をもたせ掛けられるようにデザインされたドアパネルが、さらなる豪華さを感じさせた。

それでも、ルーフに取り付けられたランプモニターが驚くべき実用性を見せ、ドライバーはバックミラーに視線を送るだけで、リアのブレーキランプとテールライトが正常に機能しているかを確認することができたのだった。

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