令和のスタンダードとなるか――。2020年12月9日、フルモデルチェンジをうけたトヨタのFCV(燃料電池自動車)「ミライ(MIRAI)」が発売となった。
新型ミライは、航続距離が約850kmに向上、駆動方式もFFからFRへと大転換した。トヨタの次世代のフラグシップカーを担うとされている新型ミライは、トヨタの10年、20年先の将来を占う重要なモデルであり、失敗は許されない。
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トヨタの未来を担う「新型ミライ」の詳細を解説するとともに、トヨタがFCVを進化させつづける意義について、考えていく。
文:吉川賢一
写真:TOYOTA
【画像ギャラリー】これが令和トヨタのフラグシップだ!! 新型MIRAIの全貌をギャラリーでチェック!!
低く構えたスタイリッシュセダンに進化!!
新型ミライは、スタイリッシュなデザインへと進化した。デザインコンセプトは「SILENT DYNAMISM」。環境車だからではなく、スタイリングで選ばれるクルマを目指したという。同社のカムリにも似たフロントフェイスは、旧型と比べて明確にオシャレになった。
先代ミライは、清潔感はあるが、お世辞でもカッコ良いとはいえないスタイリングであったが、ボディのプロポーションは、上級ラグジュアリーセダンそのものへと昇華した。
「サイレントダイナミズム」がデザインテーマ。スタイリングを際立たせる陰影感と、鮮やかさを兼ね備えたという、新規開発色「フォースブルーマルティプルレイヤーズ」は、ミライの自慢のカラーリングだ
ボディサイズは、4975mm×1885mm×1470mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2920mmと、前型である初代ミライ(4890mm×1815mm×1535mm)よりも、全長と全幅は大きく、全高は低くなったことで、ワイド&ローでスタイリッシュなセダンとなった。
FR高級車用の「GA-Lプラットフォーム」を共用するレクサスのLS(5235mm×1900mm×1460mm、ホイールベース3125 mm)と比べると、全長、全幅共に短いが、19インチ、20インチといった大径タイヤを装着したことで、LS並みのオーラが滲み出ている。
左右テールランプをつなげたリアスタイリングも新鮮
インテリアも、上品かつシンプルにまとまっている印象だ。12.3インチの大型タッチセンサー付きディスプレイや大型センターコンソールなど、高級車にふさわしい造形だ。
上級グレード「Z エグゼクティブパッケージ」のインテリア 12.3インチの大型タッチセンサー付きディスプレイや大型センターコンソールなど、ゆとりとおおらかさを感じられるインテリアに仕上がっている
いかにも高級FRセダン、といった雰囲気のセンターコンソールの下には、水素タンク1基がレイアウトされており、その高さは、後席中央の足もとにまで及ぶが、これまで高級FR車を乗り継いできたユーザーにとっては、何の問題もないだろう。
後席の足もと中央には、従来のFR車のようなセンタートンネルの膨らみがあるが、この内部には水素タンクがレイアウトされている
完成の域に達したトヨタ流FCV
現時点、市販されている世界最高クラスの環境車は、このミライだ。先代ではトランクルームを圧迫していた水素タンクは、フロアトンネルに1本、後輪の前後に1本ずつ、計3本をレイアウトし、後席やラゲッジルームへの干渉を大幅に低減しながらも、水素搭載量を4.6kgから5.6kgへと約20%も増やした。
また、水素タンクも含めた FC システムの適切な配置により、前後 50:50 の理想的な重量配分になったという。
さらには、ユニット損失を低減し、FCスタックの性能向上、および、触媒リフレッシュ制御の導入などによって、発電効率も向上。従来比で+30%にもなる850km(Gグレード)の航続距離を実現している。
先代で出た課題をことごとく解消し、すでに完成の域にまで達したミライは、モビリティが直面するエネルギー問題の落としどころを、一足先に見せてくれる存在にまでなった。
先代ではトランクルームを圧迫していた水素タンクは、フロアトンネルに1本、後輪の前後に1本ずつ、計3本をレイアウトし、後席やラゲッジルームへの干渉を大幅に低減しながらも、4.6kgから5.6kgへと水素搭載量を約20%も増やした
一歩先を行く先進性も満載
先進装備の数々も注目だ。運転中に遭遇しうる、さまざまな状況を予測し未然に対応する、最新の高度運転支援技術「Toyota Teammate」を搭載。自動車専用道路上において、ドライバー監視の下、アクセル、ブレーキ、ステアリング操作を、クルマに任せることができる「Advanced Drive」を搭載するミライも、2021年に発売予定だという。
細かい環境要件は不明だが、おそらく日産スカイラインのプロパイロット2.0と、同等以上の水準の技術となるのだろう。
また、走行中にクルマへと取り入れた空気を、綺麗にして排出する空気清浄システムも採用する。エアクリーナーエレメント(ダストフィルター)でPM2.5レベルの細かい粒子までとらえることができ、ケミカルフィルタで窒素炭化物や硫黄酸化物といった化学物質も取り除き、PM2.5の発生を抑制する。走れば走るほどに空気がきれいになる、ということだ。
走れば走るほど空気をきれいにする新概念「マイナスエミッション」 きれいにした空気量は、センターディスプレイ上で分かりやすく表示することもできる(空気清浄メーター)
「ゼロエミッション」を超えた「マイナスエミッション」という概念は、今後世界の注目を集めることとなるだろう。
価格はほぼ据え置き、中身は超絶進化
先代モデルは1グレード設定で車両本体価格は税込740万円であったが、新型ミライは、2グレード5タイプに拡大、価格は710万~805万円と、バリエーションを持たせた。それぞれのグレードに、居心地のいい後席空間を持たせた「エグゼクティブパッケージ」も設定している。
エコカー減税や、環境性能割、グリーン化特例、CEV補助金などを加算すると、約140万円の優遇税制が得られ、実質約570万円から手に入るようになる。
また、自治体によってはさらに補助金も出るため(横浜市の場合だと25万円/台。60台限定など条件があるため要確認)、このレベルのクルマとしては、お買い得ともいえる価格設定だ。
この表の減税措置以外にも、自治体からの補助金が出る場合があるため、ご自身のエリアの情報をぜひ調べていただきたい
トヨタがFCVを進化させ続けるワケ
水素ステーションは、2020年10月時点で、「首都圏」「中京圏」「関西圏」「北部九州圏」の4大都市圏と、その幹線沿いを中心に、国内135ヵ所まで増えた。
水素ステーション増加に向けた政府の水素供給設備補助金も手伝い、年々増えつつあるのだが、ガソリンスタンドは約3万箇所(2019年度のデータ、うちセルフ型が1万箇所)、急速充電器は約8000基なのだから、水素ステーションはまだまだ少ないというのが現状だ。
初代ミライは約1万台の販売にとどまった。ビジネス的にはまだまだの段階だが、トヨタは、初代プリウスでハイブリッドの知名度向上や課題出しを行っていたように、このミライでFCVの可能性を見極めるため、先の先を見越した「種まき」を行っているのだ。
しかも同時に、電気自動車(EV)や、従来のリチウムイオン電池に代わる「全固体電池」にも取り組んでいる。
もちろん、ホンダや日産、その他の主要メーカーも、次世代燃料電池モビリティを研究・開発している。だが、実戦(市販)に上回る経験はない。将来を見越した投資を、これほど存分に行えるのは、さすがトヨタだと言わざるを得ない。
短い補充時間やエネルギー密度の高さ、航続距離の長さなど、ミライは次世代のモビリティにおける重要な試金石であることは間違いない。
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