2019年6月7日、トヨタ自動車は、EV(電気自動車)普及に関する説明会を、東京都江東区青海にある「メガウェブ トヨタ シティ ショウケース」でおこなった。
説明会の冒頭、トヨタ自動車取締役・副社長の寺師茂樹氏が「現在、CASE(※1)にかかわる活動を進めている。また、今後のMaaS(※2)やシェアリングのビジネスを考えると、EVが鍵を握ると思う」と、話した。
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※1:CASEは、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared(共有)、Electric(電動化)の頭文字を合成した用語。2016年に、ダイムラーAGが初めてつかった。「これらの4つが変数となって、これからのクルマは変わっていく」と、ダイムラーCEOのディーター・ツェッチェは述べた。
※2:MaaSは、“Mobility as a Service”の略称。クルマなどによる移動サービスを、必要に応じて料金を払って利用するシステムの総称。カーシェアリングやライドシェアなどが該当する。
現在トヨタは、2050年のCO2ゼロチャレンジ(排出量ゼロ)を目指し、電動車の普及を進めている。
なおEVについては2020年より、中国市場を皮切りに順次各市場に投入していくとのこと。
ちなみに、中国市場は世界でもEVがもっとも普及しているという。2018年、全世界で販売されたEV(約121万台)のうち、半数以上(約70万7800台)が中国市場で販売された。
さらに、EVを使った新しいビジネスモデルも構築していくという。
ひとつは超小型EVを活用した新たなビジネスモデルだ。軽乗用車よりコンパクトな超小型EVを、2020年春ごろに市場へ投入するという。シェアリング・サービスなどで使われるのをトヨタは想定する。
普及に向けた周辺ビジネスも拡充していくという。例として、充電サービス、EVに最適化した保険、電池回収率の向上をも目指したリース販売、電池容量の残存価値を活かした中古車販売の各種事業の展開を検討しているそうだ。
また、ひとり用の立ち乗りタイプのEVも開発しているという。これは、「セグウェイ」のような乗り物だ。空港や工場などの大規模施設での需要を見込む。
ただしトヨタでは、“立ち乗り”以外にも“座り乗り”のタイプや、手動車イスへの後付タイプなども開発を進めている。高齢者や免許返納者の移動を考え、多くの人が“足”として使えるよう、さまざまなタイプを開発していくという。
2020年以降、10モデル以上のEVをグローバルに投入するという。予定では6つのボディ・バリエーションを設定するそうだ(ミディアムセダン、ミディアムクロスオーバー、ラージSUV、ミディアムミニバン、ミディアムSUV、コンパクト)。なお、ミディアムSUVはスバルと、コンパクトはスズキおよびダイハツと共同で開発するという。
これら、複数のモデル、ボディ・バリエーションの開発を同時に進めるべく、新たなクルマづくりシステム(e-TNGA)も構築したそうだ。これにより、たとえば、駆動方式にかかわらず搭載可能な、専用EVユニットなどを開発しているという。
EV普及においては、電池性能も重要。これについて、寺師茂樹副社長は「プリウスなどのハイブリッド・カーで培ってきた技術は相当である。これらを活かし世界トップレベルの耐久性能を持つ電池を開発している」と、述べた。
現在、世界的に電動モデルが普及しているため、電池の需要が急増しているそうだ。そのため、これまでのパートナー企業(パナソニック)以外にも、世界の電池メーカーと手を組み、需要に応えていくという。
なお、説明会では「なぜ、この時期にこういった会見を?」といった質問があった。これに対し、寺師茂樹副社長は「EVに対する情報発信がなかなか出来ていなかった。なるべくはやく考えを示したかった」と答えた。
さらに寺師茂樹副社長は「すべてのお客様に移動の自由を提供したい。また、地球規模でEVの拡大し、環境課題に貢献したい」とも、述べた。
トヨタは、本気でEVを手がけるようだ。2020年以降が楽しみである。
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