底抜けに明るくて、底抜けに脳天気で、底抜けに楽しい! シボレー コルベット、ジープ グランドチェロキー、 キャデラックCT6をピックアアップし、そんなアメ車の魅力を今一度考えてみる「アメ車バンザイ」企画。
ナビゲーターには欧州車志向の強い自動車評論家の清水草一氏。「アメ車なんて最も興味がないんだぜ!」と吠える清水氏がアメ車と出会ったとき、どんな化学反応が起こるのか!!? その魂の声に耳を傾けてほしい!
【三菱”エボ”復活への狼煙!!】 2020年電動スポーツSUVで復活 「e-エボリューション」の全貌にせまる
※本稿は2019年7月のものです
文:清水 草一/撮影:平野 学
初出:『ベストカー』 2019年8月26日号
【アメ車のスポーツカーに乗る!】 シボレーコルベットこそクルマ好きの桃源郷!
試乗車はV8、6.2LOHVエンジンを積むコルベットグランスポーツ(8AT車)。グランスポーツの名は2代目コルベット(1963年)のプロトタイプレースカーが初出
俺様は根っからのヨーロッパ車かぶれ! フェラーリの崇拝者だ。逆に最も興味がないのがアメ車だぜ! アメ車のことにはまるで詳しくない! もちろんコルベットについてもあんまり詳しくないんだぜ!
ところが、今はちょっと違う。現代のフェラーリに幻滅した反動で、コルベットがもの凄くステキに見えちまったんだヨ~!
●シボレーコルベットグランスポーツ(価格:1209万8700円)
全長4515×全幅1970×全高1230mm、ホイールベース2710mm、車重1600kg、エンジン:V8、6.2L OHV、トランスミッション:8AT、最高出力466ps/6000rpm、最大トルク64.2kgm/4600rpm、駆動方式:FR。試乗車はZ07パフォーマンスパッケージ装着により、専用エアロを装備しているほか、ブレンボ製大径カーボンセラミックブレーキローターを備えている
現行コルベット(C7)が発表されたのは6年も前のこと。
当時フェラーリ458イタリアに乗っていた俺様は、見た瞬間に「このデザイン、458の影響を受けている!」と親近感を覚えたが、中身は相変わらずかなり大味なアメリカンスポーツで、繊細な俺様には食い足りなかった。
ところがこの6年で、フェラーリはすっかり様変わり。V8はターボになり、甲高い快音は消えた。しまいにゃPHVまで出す始末。フェラーリがエコって意味ねーだろ! 魂の燃焼はどこ!?
逆に6年前には何も感じなかったコルベットが、今はやたらと心に刺さる! この単純明快なカッコよさ。古きよき不良だ! そして単純明快な大排気量のパワー! V8 OHVを守っている姿勢も超ステキ。
今ごろになって「オレが求めていたのはオマエだぜ!」という思いすら湧いてきた。
今回試乗したグレードは「グランスポーツ」。コルベットとしてはベーシックな6.2L、V8OHVの466psエンジンを積み、ハデなエアロで武装したモデルだ。
この上にはスーパーチャージャーを装着した658psのモンスター、Z06があるが、いやあ、パワー的にはこっちで充分!
これでもフルパワーをかけると簡単にホイールスピンが始まる気配(気配だけにしときました……)が濃厚。これ以上速かったら怖いでちゅ! もうすぐ還暦なので。
手動で脱着できるルーフを外し、ハデなレッドの内装をひけらかしつつ、オープンエアで高原を流せば、「デロデロデロ~」という伝統のOHVサウンドが猛烈に心地いい! うひ~~~~、コルベットってこんなにもよかったのか!
やはりコルベットはクーペでも屋根を開けると様になる。最強グレードの「Z06」と同じ仕様の足回りとなっている
6年前にも思ったことだが、現代の水準からするとボディはユルいし、足もバタつくが、今となってはこのプリミティブなフィーリングに涙が出る。いつの間にか俺様は、世にあふれる「できすぎ君」なスーパースポーツに飽き飽きしていたらしい! 目を開かれる思いだぜ!
コルベットは間もなく新型に切り替わる。しかもミドシップだという! ウルトラ期待が高まるじゃないか! コルベット最高!
【アメ車のSUVに乗る!!】 JEEP グランドチェロキーのタフさに脱帽!
現行型は2010年にデビューした4代目で、3代目メルセデスベンツMクラスとはハードウェアの約3割を共有しており、ダイムラーから技術供与を受けたクライスラー最後のモデルでもある。4WDシステムのクォドラトラックIIおよびセレクテレインシステムを採用し、JEEP初となるエアサスペンションと4輪独立懸架サスペンション(リアにマルチリンク採用)を備え、オンロード性能も向上。すでにモデル廃止となったJEEPコマンダーの役割を受け継ぐ
アメ車の大型SUVといえば、超バカデカくてウルトラ大味と相場が決まっているが、グランドチェロキーは違う。
なにせ、ダイムラー・クライスラー時代に開発が始まったから、一部メルセデスMLクラスと共通なんだモン!
●JEEP グランドチェロキー トレイルホーク(価格:630万円)
全長4835×全幅1935×全高1805mm、ホイールベース2915mm、車重2200kg、エンジン:V6、3.6L DOHC、トランスミッション:8AT、最高出力290ps/6400rpm、最大トルク35.4kgm/4600rpm、JC08モード燃費:9.6km/L、駆動方式:4WD。試乗車は今年5月に発売された限定車で、オフロード走行用のオプション装備であるオールテレーンタイヤを装着している
「そりゃあモノホンのアメ車じゃないぜ」とおっしゃる方もいるでしょう。でもでも、お箸の国の人としては、ウルトラ大味でウルトラバカデカいリンカーン・ナビゲーターとかより、こっちのほうが断然安心感があるんです。
だってだって、乗り味が適度に繊細かつ緻密で、サイズもデカいけどデカすぎないから! それでいてアメリカンな味わいは充分なので、俺みたいなアメ車初心者にはうってつけ!
ゴーカイかつ安楽で凄くe気持ち。誰にでもオススメできるアメ車なんですヨ~!
試乗車は限定100台の「トレイルホーク」。エンジンは3.6L、V6でござりました。「グラチェロ」は、当初5.7Lとか6.4LのV8 HEMIエンジンだったけど、現在はV6がメインになっているんだね。
限定車のJEEPグランドチェロキートレイルホーク。最高出力290ps、最大トルク35.4kgmのV6、3.6L DOHCは充分!
このV6は現代的なメカを持ち、スペック的にも290ps/35.4kgmあるので、パワー/トルクは必要にして充分! なんの不足もございません。アメリカンなデロデロサウンドもちゃんと演出されておりまする。
そりゃV8のほうがもっとゴーカイさんでしょうし、トップエンドには707psを誇る6.2LのV8スーパーチャージャーを搭載した「トラックホーク」もあるワケですが、おサイフが……。
個人的にはこれで満足っす! これが630万円ってのはお買い得感ある! 最安は489万円から! ウレシイじゃないか!
ラゲッジスペースも必要十分な広さを持つ
いや~しかし、トラックホークにも乗ってみたいね。707psって空でも飛ぶのかに? ワクワク。このワクワク感がアメリカンドリーム!
インテリアもシックで質感が高く、微妙にメルセデスを感じるけど、これまたお箸の国の人にはなかなかに好ましく落ち着きます。
メッキの使い方も大味じゃな~い! 繊細でステキ! でも大らか! これはモテそうな気がする。グラチェロを買えばきっとモテる! 明日から俺もモテモテだ!
【アメ車のセダンに乗る!】 キャデラックCT6は“古きよきアメ車”のままだった!
アメリカンテイストが色濃く漂う大型セダンのキャデラックCT6。キャデラックブランドのセダンでは最上級モデルで、グレードはプラチナムのみとなる
俺はアメ車に詳しくない。アメリカのクラウンともいうべきキャデラックにもぜんぜん詳しくない。このCT6は、本日現場で初めて認識いたしました!
いやぁ、見れば見るほど興味深い存在じゃないか。これはアメリカのアウディA6でちゅね!? だってほら、カタチがかなりソレっぽいでしょ?
端正な直線基調を持つ6ライトのセダン。全長は5.2メートルもあってA6よりかなりデカいけどさ。さすが超大国アメリカ!
●キャデラックCT6(価格:1026万円)
全長5230×全幅1885×全高1495mm、ホイールベース3110mm、車重1950kg、エンジン:V6、3.6L DOHC、トランスミッション:10AT、最高出力340ps/6900rpm、最大トルク39.4kgm/5300rpm、駆動方式:4WD。フリートウッド以来となる約20年ぶりのキャデラック製大型FRセダンで、10速ATを採用
あ、ちょっと調べたら、以前のCT6はもっとキャデラックっぽい顔だったんだね。それが今年のマイチェンで、イマっぽくこうなったのか。
このグリル、遠くから見るとシングルフレームグリルに見えなくもない! ヘッドライトの小粋な形状もアウディの影響を受けている気が……。
アウディA6に乗るのは、育ちのいいクールエリートとお里が知れているが、キャデラックCT6に乗るのは、得体の知れない謎の人物だ。それだけで周囲はビビる。しかし、そのCT6はアウディA6にどこか似てるという、このハズシ感がたまらなくステキ!
それに、CT6がマイチェンを受けてこうなったことを知っているのって、まだ日本の全人口の0.1%もいないだろ! クルマ好きとして、そういうポイントにメチャ萌える~!
今年5月に2019年モデルとなり、内外装のデザインが一新されたキャデラックCT6。まさに「快哉!」といった表情の清水氏
乗ってみると、アウディとは似ても似つかぬこのアメリカン・フィーリング! パワステはカルカル、サスペンションは船みたいにフワフワ。
いや、大昔のキャデラックよりぜんぜんちゃんとしているけど、現代の水準では充分カルカルのフワフワだ。ただ、ボディがしっかりしているので不安感はまったくない。アメ車とドイツ車のいいとこ取りやんけ!
エンジンは3.6L、V6。V8じゃないけど、サウンドは適度にデロデロとワルカッコイイ。ATはなんと10速! だけど燃費は高速道路を走って6.0km/L前後。意味わかんねぇ! それもまたアメリカン。石油がドロドロ湧いて出る国だから!
ダッシュボードの木目は色調が安っぽく、若干古き悪しきアメリカを彷彿とさせるものの、本革シートはホールド性があってヨーロピアン! 質感も高い!
装備はさすがに充実している。リアサンシェードは電動! リアサイドサンシェードは手動! 通信ナビは起動セズ! 立派なんだけどちょっと抜けている感じがとってもラブリー!
ただ、お値段1000万円オーバーには頭を抱えた。こりゃ売れないわ……。そんなところもスキ!
* * *
【清水の結論】 今こそアメ車に乗るべきだァ!
今、アメ車に乗る意味。それは、自動車の原点に若干でも戻るということではなかろうか!
もちろん、現代のアメ車が時代遅れだというわけではない。ちゃんとアップデートされている。しかし、アップデートされてない部分もしっかり残っている。化石じゃないけど若干古典なんだよね。そこに萌えを感じる。
なかでも萌えまくったのがコルベットだった。現代のスーパーカー(特にフェラーリ)に絶望すら感じていた自分にとって、それはまさに原点回帰!
原点回帰した時にはもうモデルチェンジが近いわけだけど、そのモデルチェンジが超楽しみ! 最近、これほど近い将来のモデルチェンジにトキメキを感じたモデルはない! それくらいコルベットはステキでした。今さらホントにスイマセン。
アメ車の魅力に気づくのは、いつだっていい。今からだっていい! 私は今日気づきましたウフフフフ~!
とうわけで、すっかりアメ車の魅力にハマった清水氏。グラサンが光る。次はアナタ!?
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