それまでのタクシー専用車とは一線を画すモデルも登場した
初代デビューから今年で65年目に入ったのがクラウン。同一車名でここまで長きにわたりラインアップが続けられているモデルは世界的にも珍しい。トヨタでは初代デビューから56年目となったカローラなど、同じ車名で長い間ラインアップの続くモデルが多い。
全店扱いでも「クラウン」は売れず! 「ステイタス」の高さゆえに悩める「王冠マーク」のゆくえ
このようなモデルは歴代モデルからの継承というものもあり、新型の開発はかなり苦労するとの話を聞いたことがある。ここでは、“最強”というキーワードを意識しつつも、筆者にとって思い出深い歴代クラウンを紹介していこう。
1位:クラウンコンフォート
タクシーに乗るのが大好きな筆者なのだが、クラウンコンフォートがデビューしてしばらくして、街なかで結構見かけるようになっても、なかなか乗ることができなかった。駅のタクシー乗り場で順番を待っていても、「今日は乗れそう」と思っていても、結局ひとり前の人に当たってしまったりして、乗れない日々が続いた。そして、ある日やっとクラウンコンフォートのタクシーに初めて乗ることができた。
背が高く乗りこみのしやすさに感動したものの、ワクワクしながら後席に座ると「あれっ」と思ったのをいまも覚えている。“クラウン”と言う名を冠しているものの、クラウンコンフォートは6代目マークII(X80系)がベースとなっていた。
クラウンコンフォートに乗りこみ、後席に座ると、住宅のソファのように深々を座ることになる独特のリヤシート、そしてタクシーながら抜群の静粛性など、クラウンセダンをベースとしていた、それまでのクラウンタクシーと比べると、“フツーのクルマ”らしさが目立ち、クラウンタクシーとの世界観(ヒエラルキー?)の違いというものを当時感じたのを覚えている。
しかし、6代目マークIIがベースとはいえ、コラムシフト(なんとMTもあった)にベンチシートという、当時のタクシー定番仕様は用意されていたし、セダンボディでありながら、よくぞここまで、乗降性だけでなく後席居住性まで向上させるなど、タクシー車両を強く意識したクルマづくりをしているものだと感動してしまった。
クラウンコンフォートは、2008年に液噴タイプの1TR-FPE LPガスエンジンに代わり、それまでより一気に37馬力アップされた。その当時、新エンジン搭載車に乗った時の従来エンジン車と比べてのパワフルさの違いを後席で驚きとともに味わっていた。2013年の改良では、デジタルタコグラフの普及もあり、タコメーターが全車標準装備となったことも印象深く覚えている。走行距離50万kmからが本調子が出てくるともいわれる、クラウンを名乗るタクシー車両のラストを飾ったのがクラウンコンフォートだったのである。
2位:3代目クラウン
3代目の登場は1967年9月。それまでとは異なり、“オーナーカー”を全面に押し出すための“白いクラウン”というキャッチフレーズが有名。クラウンとしては初となる2ドアハードトップも設定されている。
筆者が幼稚園に入るか入らないかのころ、ちょうどクルマに興味を持ち始めたのだが、家族と一緒に乗ったタクシーとして、いまも鮮明に記憶しているのが3代目クラウンタクシーであった。後席の真ん中でベンチシートにしがみついて、運転士さんがマニュアルコラムシフトを操作しながら運転している様子を、まさに“ガン見”していた。
大きめな三眼メーターの一番センターよりは、乗用仕様ならば三針式時計があるのだが、タクシーのそこはダミースペースとなっており、たいていの運転士さんはそこにタバコを置いていた。大きめなウインカーランプが“カチカチ”と音を立てて点滅するのも大好きであった(4代目“クジラ”では、スピードメーター内に収まる小さなものとなってショックだった)。
3代目クラウンは“日本の美”を意識したエクステリアデザインを採用してデビューしたのだが、後期モデルでは当時アメリカ車で流行していた全体に直線基調を強調し、とくに顔つきが大幅に変更されている。前期モデルのとくに顔つきがいまひとつだったようである。
評判が良くないとその後大幅に改良を施されたものも存在
3位:初代クラウン
日本初の純国産乗用車としてデビューしたのが初代。トヨタ以外のメーカーが、欧州メーカー車のノックダウン生産を行うことで実力をつけようとしていたなか、トヨタは自主開発及び純国産の道を歩んだ。乗用車とはいうものの、タクシーニーズも強く意識しており、そのため観音開き式ドアを採用したとされている。
当時はまだ自動ドアを採用するタクシーは少なく、助手席にまさにお客の乗降時にリヤドアの開閉を行う“助手”が座っていたとのこと。そして、この助手が手早くリヤドアの開閉ができるように観音開き式ドアを採用したとの話がある。
ただ、当時はいまでは信じられないが“純国産”ということに耐久性に関して疑問を抱くタクシー事業者も多く、反応はいまひとつだったので、それまでタクシーとして使っていた、耐久性のあるトラックシャシーにセダンのボディを架装した、“トヨペット マスター”も併売されていた。
それ以降、JPNタクシーにその座を明け渡すまで、クラウンは60年強にわたりタクシー車両をラインアップしてきた。非常に酷使され、そして乗客への快適性の高さが意識されるタクシー車両があったからこそ、いまもなお抜群のブランドステイタスを誇るクルマとしてのクラウンが信頼を得られたといってもいいだろう。
4位:9代目クラウン
このあたりからセダンとハードトップのモデルサイクルが異なってくるので、ここでいう9代目は4ドアハードトップでの9代目とする。
9代目4ドアハードトップは1991年10月にデビュー。9代目からは全車3ナンバーワイドボディを採用。それまでのロイヤルサルーンシリーズだけでなく、V8エンジン搭載車もある、“マジェスタ”という上級シリーズも設定された。
8代目では一部で3ナンバーワイド版を設定し、後にデビューする初代セルシオにも搭載されているV8エンジン搭載車もラインアップしたが、“シーマ現象”の前に苦戦を強いられており、9代目ではマジェスタシリーズが用意されたようである。ただし、マジェスタが新開発モノコックボデーなのに対し、ロイヤルシリーズはペリメーターフレームを採用していた。
マジェスタは好評だったのだが、ロイヤルシリーズは全体が丸みを帯びており、とくにリヤビューの評判がいまひとつであった。そこで1993年に早めのマイナーチェンジを実施した。当時は「マイナーチェンジでそこまでやっていいのか」と物議をかもした大幅なものとなり、とくにリヤビューはナンバープレートの位置をバンパー下部から、左右のリヤコンビランプに挟まれる形のバンパー上中央部に移設されたりして、イメージの大幅刷新を行った。
クラウンと言うと、伝統的なモデルという印象は強いが、時おり新しいトレンドを採り入れるなど積極的な動きも目立つ。そして、あまり評判が良くないとスパっと“保守路線回帰”のような改良を行う。意外なほどこのようなことを歴代モデルは繰り返してきたのである。
5位:13代目クラウン
12代目は言わずと知れた“ゼロクラウン”。それまでのクラウンは“船を漕ぐような”とも表現される、古き良き時代のアメリカ車の乗り味に近い、かなりソフトというか、ゼロクラウンのデビューした2003年あたりのほかの日本車と比べても、独特の“クラウンワールド”が存在していた。そこで11代目ではロイヤルシリーズとスポーティなアスリートシリーズの2つのシリーズ分けを行なったりしていた。
そして12代目ではプラットフォーム、搭載エンジン、サスペンションなどメカニカルコンポーネントを一新させた。ゼロクラウンでもロイヤルシリーズとアスリートシリーズが用意されていたのだが、長い間クラウンを乗り継いでいる“お得意様”からは、「足まわりがロイヤルシリーズでも固くなった」という声が多く寄せられたようで、13代目では“先祖返り”というと表現はあまり良くないが、とくにロイヤルシリーズでは、ゼロクラウン以前のソフトな乗り味が意識されたものとなった。
ゼロクラウンは若い世代のクルマ通には評判は良かったのだが、まだ、その当時は初代に近いモデルから乗り継いでいるような、“お得意様”もまだまだ多くいた。販売現場の声をしっかり聞き、それが顧客満足度向上につながるのならば新型車の開発に反映させる。伝統的なモデルのクルマづくりの難しさを垣間見ることができた。
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みんなのコメント
デザインもこれらの世代が好きだし、エンジンも特色があるので。
13ロイヤルサルーンG V8はクラウンがフラッグシップセダンだった時代の最後の輝き。
17アスリートV 1JZ-GTEはクラウンの長い歴史の中でも唯一のバカっ速ターボエンジン。
古くても充分魅力的だし、今でも所有してみたいと思いますね~。