SUVが人気カテゴリーになる以前から堅調に売れてきた「トヨタ ハリアー」は、1997年に誕生し、2013年に3代目となる現行モデルが登場。このモデルから、レクサスのRXとは異なる独自の車種となった。
この売れ行きも堅調で、2019年には発売から約6年を経過しながら、月平均で3000台以上を登録。ハリアーは上級SUVとあって、価格が330万~450万円前後に達するが、その割に人気が高い。
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そんなハリアーの新型が4月13日に発表。まるでクーペのような“振り切った”デザインは、早くも「カッコいい!」と話題を集めている。
ともすれば人気モデルは保守的な進化を遂げる場合が多い。そうしたなかで新型ハリアーはなぜ攻めたデザインを採用したのか?
文:渡辺陽一郎
写真:TOYOTA
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正式発表の新型ハリアーは6月17日発売
新型ハリアー。全長4740×全幅1855×全高1660mmで、現行型よりやや「ロー&ワイド」になっている
ハリアーが2020年6月17日にフルモデルチェンジを受ける。従来型からの変更点を見てみたい。
まず外観は、基本的には現行型を踏襲して都会的な雰囲気だが、主力グレードには切れ長のプロジェクター式LEDヘッドランプを装着。フロントマスクを鋭角的な印象に仕上げた。
リアビューもコンビネーションランプに特徴があり、左右を細い光のラインで繋ぐことにより、後ろ姿のワイド感も強調している。
新型のボディサイズは基本的には従来型と同等だが、数値を比べると、新型は15mm長く、20mm幅広く、30mm低い。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も30mm拡大したから、ワイドで低く伸びやかな印象だ。
クーペルックを強調! デザインに振り切った新型ハリアー
新型ハリアーのリアスタイル
現行型ハリアーのリアスタイル。見比べると、新型がリアゲートを寝かせ、よりスタイル重視に振っていることがわかる
新型の外観は、リアゲートの角度を少し大きく寝かせたから、5ドアクーペ風にも受け取られる。ボディサイドも緩やかな曲面で構成され、従来のハリアーに見られた艶っぽい雰囲気を一層洗練させた。
約7年ぶりのフルモデルチェンジだから、インストルメントパネルのデザインも刷新される。
従来型ハリアーのインパネも、合成皮革の使い方が巧みでステッチ(縫い目)も入り、質感は充分に高かった。新型はこの雰囲気を受け継ぎながら、さらに立体感を強めて見栄えを上質にした。
ATレバーやカップホルダーが収まるセンターコンソールには、充分な幅とボリューム感を与えた。この形状により、運転席と助手席には引き締まった雰囲気が演出されている。
従来型の内外装は、開放感やリラックス感覚の伴うデザインだったが、新型はスポーティな印象を強めた。
新型ハリアーの方向性にはRAV4の進化も関係
2019年4月に発売されたちまち大ヒットとなったRAV4。両車とも人気モデルであるが故に、ほぼ同サイズのハリアーとどのように差別化を図るかが課題の一つだった
この方向性は、RAV4の進化とも関係している。
日本でも復活した現行RAV4は、従来型に比べてオフロード感覚を強めた。RAV4の4WDは前輪駆動ベースだから、ランドクルーザーのような後輪駆動の車種とは違ってシティ派に分類されるが、それでもフロントマスクは野性的でSUVの原点回帰を感じる。
4WDの「アドベンチャー」や「G・Zパッケージ」には、後輪左右の駆動力配分を積極的に変化させるダイナミックトルクベクタリングAWDも装着した。
このようにRAV4がSUVらしいオフロード指向を強めたことを受けて、ハリアーはスポーティな方向に発展している。
アウトドアで使いこなすSUVの典型を求めるならRAV4、5ドアクーペ的な都会の走りを楽しむならハリアーという選び方が成り立つ。
そして従来型ハリアーは、3代目のRAV4やそのロング版に位置付けられるヴァンガードをベースに開発されたが、新型はエンジンやプラットフォームを現行RAV4と共通化した。
従って新型ハリアーのエンジンは、RAV4と同じく直列4気筒2Lと、2.5Lハイブリッドになり、従来型の2Lターボは廃止された。動力性能も基本的にRAV4と共通だ。
プラットフォームは、TNGAコンセプトに基づく「GA-K」と呼ばれるタイプ。セダンのカムリやレクサスESにも使われ、RAV4とはホイールベースの数値まで共通だ。サスペンションも前輪がストラット、後輪がダブルウイッシュボーンで同じ形式になる。
新型ハリアー独自の進化と注目の価格
クーペルックがより強調される新型ハリアーのサイドビュー。RAV4と多くの部分を共用しながらきっちりと差別化も図られている
その一方で進化も見られ、ショックアブソーバーは、さまざまな走行領域で滑らかに伸縮するタイプを新たに採用。カーブを曲がる時などは、4輪のブレーキを電子制御によって独立作動させ、旋回軌跡が拡大するのを抑える。
新型ハリアーは、基本部分を現行RAV4と共通化させながら、さらに独自の進化を遂げた。
装備については、トヨタセーフティセンスの衝突被害軽減ブレーキに注目したい。昼夜の歩行者、夜間の自転車も検知可能になった。従来型ハリアーでは、歩行者を検知できなかったから、安心感が大幅に向上している。
グレード構成は、2Lノーマルエンジン、ハイブリッドともに、ベーシックな「S」、中級の「G」、上級の「Z」を用意。このうち、「G」と「Z」では、本革シートなどを備えるレザーパッケージも選べる。
駆動方式は全仕様に前輪駆動の2WDと4WDがあり、ハイブリッドの4WDは、後輪をモーターで駆動する「E-Four」だ。
現時点では各グレードの装備内容と価格は未定だが、販売の主力になるのは「G」だろう。現時点で確認できている範囲でも、「G」では安全装備やLEDヘッドランプの機能が従来型のプレミアム以上に向上する。
そうなると「G」の価格は、2Lエンジン車が350万円、ハイブリッドになると400万円(いずれも2WD車)といった水準だ。
アルファードとも競合? 時流に沿った新型ハリアーの進化
高級感と実用性の高さではハリアーとも共通点が多いアルファード。トヨタの販売店統合でより実力ある車種が選ばれるなかに投入されるのがまさに新型ハリアーなのだ
ハリアーのライバル車は、一般的にいえばSUVのCX-5、あるいはCX-8、CR-Vなどだが、車の性格や質感を考えると同じトヨタのクラウンやアルファード&ヴェルファイアかもしれない。
SUVが人気を得た理由は、格好良さと実用性の両立にあり、上級セダンのクラウンやミニバンのアル&ヴェルも同じような魅力を備える。
販売店によると、クラウンからアルファードに乗り替えるユーザーも増えており、魅力を増したハリアーもそこに加わるだろう。
SUVは荷物を積みやすいワゴン、3列シートのミニバン、フォーマルなセダンなど、いろいろなカテゴリーの魅力を兼ね備える。そのためにユーザーから見ればライバル車も多彩だ。
ハリアーのようなSUVが売れ行きを伸ばすと、ミニバンやセダンといったカテゴリーの垣根が低くなり、縦横無尽の競争も発生する。売れ行きの「実力主義」がますますエスカレートするわけだ。
特に2020年5月からはトヨタの全店が全車を販売する。ハリアーのフルモデルチェンジは、この流れにも沿っており、タイムリーといえるだろう。
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みんなのコメント
見慣れたデザイン。
未だにレクサスRXと比較して
自己満足する人達が乗る車。